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も・し・も =エピソード9 中編=

2008/06/17
おはようございます!

火曜日の朝ですね☆だんだんと微妙な気温で布団のかけ具合が難しいです。

風邪をひかないように今日も頑張っていきましょう!

今日は予告通りエピソード9の中編です。
ちとダーク風味なんで苦手な方はスルーです。


堂郁 恋人設定 年齢フリー もしも、良化査問に小牧が連行された際に郁も連行されていたら!






小牧と郁が連れされられてから二日。

法務部にも特殊部隊にも進展はなかった。

堂上は時間の経過と共に常に表情が険しくなり、誰も迂闊に触れないような状態だ。
同僚兼友人と部下兼恋人が連れ去られたのだ。

平常心でいられる訳もない。

手塚に至っては、堂上に声もかけられず、ただ黙々と経過を見守っている。


堂上はただひたすら、友人と恋人の無事を祈る。
最も恐れるべき事は、小牧の証言を取る為に郁を餌にされる事だ。

目の前にで郁がひどい目にあえば、いくら正論を貫く小牧といえど
言質を取られる可能性がある。


自分の信念を貫いて部下を見捨てるか
部下を救う為に自分の信念を捨てるか。

今回の件で小牧が信念を捨てるという事は毬江を苦しめた事を認めるという事だ。
それがどれだけあの友人の中で大きな問題か、想像するに難くない。


しかし、郁を見捨てて信念を貫いた友人を俺は変わらず受け入れられるのか?

元はと言えば、郁が余計な騒ぎを起こしたせいだ。
小牧には何の落ち度もない。

かえって、一人で連行された方が良かったと思っているのは間違いない。
小牧を責める点など一点もない。
それどころか、上官として郁の短慮を厳しく叱責しなければならないぐらいだ。

上官と恋人の狭間で揺れ動く心を必死に叱咤する。

今、連れ去られているのは『同僚』と『部下』だ。と


すぐに堂々巡りに入り込む思考を押し留めて必死に打開策を考える。

だが、何の手がかりもない今。どんなに考えても打開策など何も出てこない。

場所を見つけなければ乗り込む事もできない。

こうして自分が何も出来ないで座っている間にも小牧と郁がどれだけの目に合わされているか。
想像するのも恐ろしい。


チラリと手塚の進言が脳裏を掠める。

今、できるのはただ一つ。

当事者である毬江を呼ぶ事だ。



もう、未成年だ。部外者だ。小牧の頼みだ。といえる状況ではなくなってきている。

このまま何の進展もなければ・・自分は小牧の気持ちを裏切るかもしれない。

なんとかそれまでに状況が打開される事を祈るしかない。



************************************************************************

小牧と郁の連行から四日目となった土曜日。

良化隊が少しでも関係している施設や機関を洗い出し
防衛部の協力も得て随時偵察を行っているが進展はない。

ひたすら、奴らの向かいそうな場所をしらみつぶしに探すと言う
地道な作業の繰り返しだ。

それでも何も出来ずに待ち続けるよりも幾分気持ちは楽だった。
作業に集中する事で一瞬でも忘れる事ができる。

昼を回って二時間ほどたっただろうか。

隣で作業していた手塚の携帯がマナーモードで震える。
メールを確認した手塚が堂上に自分の携帯を見せた。

「笠原たちの居場所です」
低い声に堂上は思わず手塚の顔を見据えた。
手塚は目を伏せたまま上げない。

「情報元はいえません。そういう条件なので。証拠は出せませんが確実性の高い情報です」

きつく唇を引き結んだその硬い表情をしばらく見つめ、堂上はゆっくりと頷いた。

なんの手がかりもない中での一筋の光だった。

「解った。ひとまず玄田隊長に上げて判断を願う」

その時だった。

コンコンというノックと共に、私服の柴崎が顔を出した。
そしてその後ろに続く女性の姿に堂上が思わず立ち上がる。

「柴崎!お前!」
「お叱りを受ける謂れはないかと思います。
 既に四日、何の進展もない方針を取られている方々に対する問題提起って事で
 僭越ながら、毬江ちゃんにご協力願いました」

シレっと言い放つ柴崎に堂上の拳が震える。

ただ、助かったと思ったのも正直な気持ちだった。
場所が特定でき、毬江の証言があればこの問題は一気に収束できる。

既に四日経過しており、小牧や郁の。
とりわけ女性である郁の身が非常に危険になっているはずだ。
もしもまだ言質が取れていないのであれば
そろそろ敵が焦って最後の手段に移る可能性が高い。


毬江も知らせてもらえてよかったと言ってくれている。

小牧にすまない気持ちはあるが、堂上は渋い顔で頷くと隊長に指示を仰ぐといって
事務室を後にした。



**********************************************************************

査問とは名ばかりの精神的拷問の日々だった。

車での移動は目隠し。
隣に部下である郁の気配を感じながら小牧は内心舌打ちした。

まずい事になったと正直に思った。

自分ひとりであれば黙り通せる事も、郁の出現で敵がそれを餌にする可能性が出てしまった。

毬江の人権を侵害した等という難癖など認めるつもりなどない。
ただ、仲間が助けに来るまで黙秘し続ける事。
それが自分の取るべき対処であると理解している。

ただ、もしも部下である彼女を盾に取られ証言を迫られれば
黙秘を続けることができるのか。


部下を見捨てるか、自分の信念を捨て去るか。どちらかしかない。

仲間の救出が遅れれば、そのときは必ず来る。

その時、自分はどうするのか。

小牧は答えのない迷路に落とされた気分だった。



ぼんやりと回らない頭で考えていられたのも最初の2日だけ。
窓を厳重に閉め切った一室で延々と尋問を受ける。

数十人に取り囲まれ、詰問口調の怒号を浴びせられ続ける。

答えようとする端から言葉尻を取られて話が捻じ曲がる。

ただ、毬江がこの事態に巻き込まれていない事だけはかろうじて解りほっとした。
それさえ解れば後はどうでもいいと思った。

別室に監禁されている部下の事をチラリと思う。
堂上にも彼女自身にもすまないと思う気持ちはある。

だが、それも毬江を守る為ならばどうでもいいことだった。

まともな睡眠を取る事も許されず水すら満足に与えられない。
現代社会でこのような扱いを受けるなど夢にも思わなかった。



恐らく、ここに連れてこられてから四日目といったところだろうか。

ひたすら黙秘を続ける小牧に痺れを切らした相手方はついに
小牧の恐れていた行動を現実にした。



珍しく、飲み物を与えられる。
ペットボトルの水だった。

自白剤入りかと思ったが、キャップもあいておらず
怪しさはないので、一口飲んだ。

あまりに乾いていた為、一気に半分ほど飲んでホッと息をつく。
しまったと思ったが水のせいで一気に意識が回復していく。


いつも周りを取り囲む様にしている男達が小牧の左右に分かれた形で立ち並ぶ。

そして小牧の正面に見える唯一の入り口が開き
そこに現れた人影に小牧は思わず舌打ちをした。

それは部下である郁の姿だった。

見た感じ髪や衣服に乱れはない様子だ。
寝不足なのか目の下には隈ができている。

中に突き飛ばされるようにして郁が小牧の前に立ち尽くす。

「小牧教官!!!」
「・・笠原さん・・大丈夫?」
「はい・・あたしは・・何も」
「なら良かった・・・・」

全く良くない状況だが、郁はまだ気づいていない。
こちらの惨状に怒りを露に良化委員を怒鳴りつける。

「ひどい!こんな事してただで済むと思ってるの!?」


良化委員は特に悪びれる様子もなく、尋問をしているだけだと言い放つ。

郁が小牧に近寄ろうとした所を良化委員二名がそれを止める様に
郁の両腕をそれぞれ押さえつけた。

「ちょ!離してよ!!!!」

郁が暴れようとしたので、暴力沙汰を止めなければと小牧が重い口を開こうとした瞬間

郁は何かを思いとどまるように急に大人しくなった。

小牧は郁がここで暴れて良化委員に怪我をさせれば一気に図書館側が不利になる事を
理解しているのだとわかり安堵する。

いつの間にかこんなに成長してるもんだね。と小牧はここにはいない友人に呟いた。

しかし、穏やかな気分でいられたのはほんの一瞬だ。


ニヤリと笑った良化委員側の中心人物の表情を見た途端
小牧は全てを悟った。

郁がこの場所に引き出されたのは、他でもない。
自分の証言を引き出す最後の拷問の為だ。


流石に郁自身それに気づいたのか、体を硬くしている。

その場にいる委員は全て了承済みなのか。
郁の前に二名の隊員が進み出る。

そして一名が郁の背後に一名が郁の正面に立つ。


左右の腕を押さえつけられている状態でさらに前後も取られると
もう取り囲まれた状態だ。


リーダー格の中心人物はゆったりとパイプ椅子に腰を下ろして
鷹揚に喋り始めた。

「笠原士長といったね」

郁は答えない。黙って男を睨みつける。

「君からも小牧二等図書正に真実を話すようにいってもらえないか?」
「小牧ニ正はそんな事をしていません。事実無根です」
「そんなはずはない。既に被害の報告が上がってきている」
「何かの間違いです」
「君が助言してくれれば君の罪状には目を瞑ってもいいぞ」
「そもそも、この被害報告自体が何かの間違いですから、証明されればあたしの罪状だってないも同然です」

郁の頑なな対応も織り込み済みなのか、相手側は特に驚いた様子もない。
いっそわざとらしいほどの困った顔を作って見せる。

「さて、困ったな。とりあえずもうしばらく君たちにいてもらわないとならない事になるがいいか?」

と意味深げに郁と小牧をチラリと見る。

「望む所よ!小牧教官!喋る必要なんてないです!」
「勇ましいね。流石図書隊の女性だ」
「余計なお世話よ!」
「さすがに女性とはいえ訓練をつんだ隊員に暴れられるとこちらも身が危険なんでね。
 悪いと思うが武器を隠し持っていないか身体検査させてもらう」

そういうと、前後に立っている男たちが郁の体に無遠慮に手を伸ばしてきた。

郁は驚いて身を捩る。

「よせ!」と小牧がどこから出したのかと言うほどの怒鳴り声を発した。

その反応に気を良くしたのか、リーダー格の男が目配せすると
伸ばされた手が一度下ろされる。


「話す気になったか?」

小牧はギリっと悔しそうに唇を噛む。

その様子を見て、郁はこれから自分の身に起こるだろうこと。
それが小牧への尋問に使われることを確信した。

怒りで頭が真っ白になる。
怒りで身体が震えたのは初めてだ。
なんて・・卑怯な。これが公序良俗を謳う、良化委員のすることなのか。


もし小牧が話さなければ、部下を見捨てた事になる。
でも話せば、小牧はしてもいない罪を認め、図書館が不利になる。
それは小牧が愛しているであろう毬江を意図的に差別し苦しめたという事実を
認めるという事なのだ。

郁が思わず、汚い真似をと低い声で呟くと、何とでも言えと言いたげな顔で
チラリと見返された。


暴れて逃げる事はできそうだ。
だが、それ自体も図書館が査問に抵抗したという事実として取られ
こちらもやはり不利だ。

郁は焦る頭で必死に考える。

目の前にぐったりと座り込む小牧の姿が痛ましい。

ここまで攻め抜かれても屈しない信念を自分が折らせる訳にはいかない。
そこまでして守りたいと思っている女の子を陥れたなどという罪を認めさせる訳にはいかない。

郁は覚悟を決めた。


それは、到底受け入れられる事ができるものではないと解っていたが
自分と小牧との事は別の事だ。

堂上はよせと言った。
あの時堂上の指示に従わなかったのは自分だ。

たとえ・・・想像も絶するような扱いを受けたとしても
命までは取られない。それは解りきっている事だ。

もしかしたら、それを後で逆手に取って良化側を不利に出来る可能性もある。


郁はジロリとリーダー格の男を睨んでから口を開いた。

その瞳にもう迷いはなかった。

「小牧教官。何も話す必要はありません。例え何があっても。小牧教官は正論を貫いて下さい」

その言葉に小牧が驚いた様に目を見開いて郁の顔を凝視した。

「笠原さん・・・」
「ここについてきたのはあたしの勝手です。その事で小牧教官の重しになる事はできません。
 こんな汚い奴らに屈する事なんてない!」

小牧は硬く目を瞑った。

リーダー格の男は呆れたようにため息をつくとすぐに下卑た笑いを浮かべた。

「あまり頭は強くないみたいだ。仕方ない。とりあえず身体検査だ。隅々まで調べろ」

その言葉を合図に男の手が再び無遠慮に伸ばされる。
今度は止まることなく衣服の上から、男達の手が滑っていく。

その感触に郁は嫌悪感を露にする。

遠慮なくささやかな胸の上を何往復も触られて唇を噛みしめる。

チラリと見ると、小牧が歯を食いしばって必死に郁を見つめている。
郁は困った様に笑った後、小牧に静かに告げた。

「小牧・・教官。目を瞑ってて下さい」と。

貴方は何も見ていない。


その意図を悟ったのか、小牧は目を瞬かせ。
詫びるような表情をした後、固く目を瞑った。


その様子に、郁はホッとした。


いくら覚悟が出来ていても仲間の前でそういう姿を見られるのは辛い。
そして、自分が言わなければ小牧は目を逸らす事をしないだろう。

自分を見つめる小牧の瞳は正論を貫く事で出来る
全ての傷を心に刻む。覚悟の瞳だった。

自分の心に付いた傷を誰にも悟らせずにそれを笑顔の下に隠す。
そういう人なんだろうと郁はおぼろげに思った。


男達の手はその間も止まる事なく、上半身から下半身へと移る。

ゾワっとした悪寒が背中を走り抜ける。

「もう武器なんてないって解ったでしょ!」

満遍なく全身を探られた後、郁はそう叫んだ。
リーダー格の男はやはり悪びれる様子もなくニヤニヤと笑う。


「そういえばもう四日も風呂に入ってないんだったな」

と唐突にそんなセリフを吐いてきた。

「それがなに!」
「流石に女性を四日も風呂に入れないとなれば問題かもしれん。
 ただ、ここには風呂がないんでな。拭いてやる事ぐらいしかできんが」

その言葉に、汚い考えが透けて見え、郁がワナワナと震え出す。

「そこまで下種か!良化委員は!」
「勘違いしてもらっては困る。これは『配慮』だよ。」

ととって付けた様な理由に郁はギリっと歯を噛みしめた。

相手はこちらの反応を見て楽しんでいる様で、その目はさあ?どうする。と
あからさまに告げている。

郁は怒りに燃える瞳で睨み返すことしかできない。
絶対に、屈したりしない。
こんな奴らに涙なんて見せない。


しばらくして絞られたタオルが二本。
リーダー格の男が、上から下までしっかりふいてやれと声をかけた。

前に立っていた良化委員がニヤニヤと笑いながら郁の衣服に手をかける。

引き裂くような真似はせず、ゆっくりボタンを外していく。
あくまでも『配慮』という名目の為だと解る。


郁は目を固く瞑るときつく唇を噛んだ。

これは、ただの拷問だ。査問などと品のいいものではない。
こんな奴らと戦い傷ついているという事実に打ちのめされる。

ボタンが三つ外されたところで

「もうよせ!」と堪りかねたように小牧が叫んだ。

その瞳は見たことのない程、獰猛な光を放っている。
追い詰められた獣が隙を見せれば噛み付いてくるような・・そんな瞳だった。

「部下に何をしても無駄だ。何があっても俺は正論以外には屈しない!
 俺を屈服させたかったら正論でこい!!!」


それが小牧に出来る精一杯だった。

正論を貫き、郁を救う事が出来るかもしれないたった一つしかない言葉。



怯んだ敵に追い討ちをかける様に
ドアの外からガラスの割れるけたたましい音が室内に響き渡った。






という訳で中編でした。


ハードなお話を期待されていた方には申し訳ないのですが
本人が得意ではないので、というか見た人にショックを
あまり与えたくないので出来る限りソフトに仕上げています。
(じゃあ書くなよ!とういつっこみはナシで(苦笑))

後はまとめ編という事で後編ですね。

すみません。こんなヤマもオチもないストーリーで。
あと一話分宜しければお付き合い下さい。
07:16 図書館SS(堂郁)

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