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すれ違い

2008/05/12
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たくさんの方に楽しんで頂けていれば嬉しいなぁと思います。
稚拙な文章ばかりですが、よかったんじゃない?と思ったらポチっと拍手してもらえると
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さて、今回は読みきり、堂郁 恋人期間 年齢フリー

堂上教官にライバル出現?的なお話です。
一部視点が手塚です。





それは、午前の館内巡回から事務室に戻る途中。

一緒に巡回をしていた堂上が突然ピタリと足を止めた。
何事かと思い、手塚も足を止め堂上の視線の先を伺った。

そこには、自分の同僚で上官である堂上の恋人
笠原 郁の姿があった。

笠原の前には、あまり見慣れない男性図書館員の姿があった。
優しげに笑うその男は笠原よりも背が高く、並んでいると良くバランスが取れていた。

はにかんだ様に笑って何度もお辞儀をする郁に軽く手を上げて答え
男性館員は向こうの廊下に消えた。

それを見送って、笠原も事務室に入っていった。

何か微妙な状況で微妙な物を目撃した気もしないが
チラリと上官の様子を伺うが、険しい表情はいつも通りだ。

何事も無かったように歩き始めたので、特に気にする事ではなかったかと
ほっとして事務室に戻った。


                    ***

その日の休憩時間
図書館の食堂に足を運ぶと、昼食を取っている同僚の姿を見つけた。
またしてもあの男性図書館員と一緒だ。


そして、タイミングの悪い事にその2列向こうの席に堂上と小牧の姿を見つけた。
あの位置からは、笠原たちの姿は丸見えだ。

何か話して笑っている。

お前・・。彼氏がいる女としてちょっと問題じゃないのか?と思ったが
プライベートの上、どのような事情があるかも解らないので
とりあえず見なかった事にしてその場を後にした。


昼休憩を終えて、事務室に戻ると、なにやらピリピリとした空気が流れていた。
どうやら、空気の元は堂上と笠原の間から流れているようで
流石に鈍いといわれている自分にも二人の間に何かが起こったのが察せられた。

困り顔で二人を見ている、小牧にそっとどうしたのかと問うと
ちょっとねと。言葉を濁された。

恐らく、あの男性館員が原因なのだろうと推察されたが
違っていたら更に溝を深めかねないので、黙って様子を見る事にした。


                    ***

午後の館内巡回はタイミングの悪い事に
手塚と小牧、堂上と笠原というペアで編成されていた。

流石に仕事なので、二人は険悪な雰囲気のまま巡回に出た。

事務室には小牧と自分だけが残された状態だ。
あまりにも気まずいので、再度小牧に何があったのか確認した。

「小牧二正あの二人、何があったんですか?」
「あー。うん。なんかちょっとすれ違い?かな。」
「もしかして、昼食の時の?」
「ああ。手塚も見たのか。そうそう。まあ堂上も大人げないからね」
「まあ、でも仮にも彼女が他の男と二人で仲良く飯くってたら思う所くらいはあるんじゃないですか?」

昼食の時の楽しげな笠原の様子を思い出すと
やはり彼氏としては面白くないだろう。

「なんでも、笠原さんとしてはたまたま?何度か助けてもらったお礼にお昼をご馳走した
 ってだけらしいんだけどね。」
「助けてもらうって・・。何かあったんですか?あいつ」
「俺も言い合ってたのを聞いてただけだから詳しくは知らないけど
 館内業務の時のリファレンスとかで困ってた時とか何度か助けてもらってたみたい。
 んで、今日はたまたま館内移動中に階段から落ちそうになった子供を助けた時に
 ちょっと勢い付いちゃって自分が階段から落ちそうになった所を清水三正に助けられたんだって」

あの男性館員は清水三正というらしい。
士長である自分たちより階級が一つ上だ。

なるほど、先ほど事務室前でお礼を言っていたのはそういった経緯だったのかと納得した。

「しかし・・それならあそこまで険悪になるような事でもないように思うのですが・・」
「うーん、そこが堂上の大人げない所で、二人の不器用な所だよね」

と、事の発端を小牧が説明し始めた。

                    ***

昼食を終え、郁が事務室に戻ってきた。
何だか楽しげな様子で、これはまずいなと小牧は思った。

先ほど、食堂で郁と図書館員らしき男性が楽しげに昼食を取っている所を
堂上と目撃したばかりだ。
何か事情があるんだろ。別にかまわんと堂上は言っていたが、その表情は険しく
とても「構わない」という様子ではなかった。

それはそうだ。
大事にしている部下でやっと手に入れた可愛い彼女だ。
自分に一言もなく、楽しげに二人きりの昼食など取っている所を目撃したら平静でいられるはずもない。
しかも牽制のきく特殊部隊員ではない。
相手は図書館員だ。


特殊部隊員の中で郁が入隊時からの二人の様子を知らない者はいないので
からかう事があっても、本気で郁にモーションをかけるような者はいなかった。

それは、二人が付き合うようになって郁が「山猿」を卒業してからも変わらない
郁は堂上のお姫様。手を出せば血の雨覚悟。それが特殊部隊内の不文律だ。


当の郁はそんな事は梅雨知らず
戦闘職種大女、クマ殺しの異名まで付いているとなれば
そういう対象に見てくれる男の人がそんなにたくさんいるわけない。
と自分が今どれだけ魅力的な女性になっているか全く気づいていない。

更に、堂上一筋という所も手伝って、ますます他からの視線に鈍感だ。


雲行き怪しいなぁと見守っていたが
先に口火を切ったのは堂上だった。

「随分と楽しそうだな」

当の郁は堂上の様子に気づかず、上機嫌でハイ。などと答えているから目も当てられない。

業務時間中ならば、止める事もできたが、生憎今はまだ昼休憩。
あと15分ほど残っている。

「昼食は随分と盛り上がったみたいだな。そんなに楽しかったか?」
「?そこまででもないですけど。ちょっと話が弾んだだけですよ」
「誰とそんなに話が弾んだんだ?」
「清水三正と今日はご一緒しましたが・・」
「誰だ、清水三正とやらは」
「あー、えっと図書館員の方でたまーにリファレンスとかで困ってる時に
 たまたま、何度か助けてもらったので」
「ほぉ。初耳だな。たまたまリファレンスで助けてもらって二人きりで昼食か?」

流石にこの一言で、堂上が何が言いたいのか郁も察した様子で
噛み付くように言い返した。

「どういう意味ですか!?私はただ、今日、館内移動中に階段から落ちそうな子供を助けた時に
 うっかり自分が勢いあまって落ちちゃいそうになった所を助けてもらったんで
 何度かリファレンス助けてもらったお礼も兼ねてお昼をご馳走しただけです!」

「清水三正とやらも、ちょっと仕事のフォローしたり階段から落ちそうになったのを
 ちょっと助けただけで階級が下のお前にメシを奢らせるとはな」

「ちょっ!流石にソレは失礼じゃないですか?教官!別に奢ってくれなんて言われてないですよ。
 お礼をしたいって言ったら、別にいいって断ってました。
 でも、あたしがそれじゃ気がすまないって言ったら、じゃあお昼を一緒に食べてくれればいいって
 それなら、せめてお昼を奢りますって事になっただけです!!」

「お前は!飯を一緒に食ってくれるだけでいいって言われてなんとも思わないのか?!」
「何ともって何ですか?言っている意味がわかりません!」



二人の間にますます険悪な雰囲気が流れる。
流石にこのままじゃまずいなあと思いフォローを入れてみた。

「まあまあ堂上。ちょっと落ち着きなよ。笠原さんは助けてもらったお礼をしただけだっていってるんだし」
「別に俺は落ち着いてる」
「とてもそうは見えないよ。そんなにカリカリして」
「どういつもりか聞いただけだ!」

取り付く島なしと判断し、相手方の笠原にフォローを入れてみる。

「笠原さんも、大事な彼女が知らない男と二人で楽しく昼食なんて、彼氏的には衝撃だって思ってあげられない?」

ふくれっつらで背を向けている郁にそう問い掛けると何かちょっと思う所があったのか
少し雰囲気が和らぎ、郁が口を開こうとした瞬間、堂上の最後の一撃が落ちた。

「小牧!余計な事を言うな!俺は別に笠原が誰と飯くってようが喋ってようが気になんかしてない!」
「ちょ、それ!私が別に他の男の人と仲良くしててもどーでもいいって事ですか?!」

郁が食って掛かった所で昼休憩終了のチャイムが鳴る。

「知らん!煩い!もう業務時間だ!私語は慎め!」

堂上のその一言で一気に険悪な雰囲気に逆戻りした。

丁度戻ってきたばかりの手塚が戸惑うのは無理もない状況だった。


                    ***

その日は一日最悪だった。
業務内容に支障をきたす事はなかったが、それも最低ラインギリギリでといった所だ。
流石に、小牧が慣れた様子でフォローしていたので
大爆発が発生する事はなかったが、定時になり後は日報を提出して終了という段になった所で
二人に対して、小牧から痛烈な一言がお見舞いされた。

「ちょっと、二人でちゃんと話して明日から業務に支障でないようにしといてね」
「業務に支障は出してないだろうが。プライベートだ」
「出まくりでしょ!?班員としてはやりづらい事この上ない。」
「気にするな」
「気になるに決まってるだろ。いつ襲撃があるかもわからないのでこんなでまともな
 采配出来るわけないだろう。いつまでガキっぽくネチネチやんないで
 スッパリ腹決めて話し合っておけって言ってるのが解らない?」

丁度、その時コンコンとドアをノックする音が響き
最も有難くない来客が現れた。揉め事の中心、清水三正だ。

「笠原さん、まだ業務中?ちょっといい?」

郁は困ったようにチラリと堂上と小牧の様子を伺ってすみません。まだ終わってないんで。と断った。

「じゃあ、終わってからでいいから時間いいかな?ちょっと話したい事があって」
「えっと・・・。でも何時に終わるか解らないし・・。」
「何時でもいいよ。図書館の庭の所、時計のあるベンチの所わかるよね?そこにいるから」
「ハイ・・・、解りました。」

郁は堂上の様子を伺いながら、断りきれずしぶしぶと頷いた。


「笠原!喋ってないでさっさと日報出せ!」
「ハイッ。今すぐ書きます!」

堂上の怒声が飛び、郁は慌てて書きかけの日報を書き出した。
清水三正はごめんね邪魔してと言って事務室を後にした。


その15分後に郁は日報を堂上に提出した。

「堂上教官。日報です」
「・・・。問題ないな。上がれ」
「ハイ。御疲れ様でした。」


気まずい空気のまま、郁は事務室を後にした。
恐らく清水三正とやらの待っている場所に向かったのだろう。


小牧が大仰にため息をついて、堂上に告げる。

「堂上。あんまり意地張るなよ。あっち。多分本気だよ。手放す気あるの?」
「お前には関係ない。」
「まあ、関係ないといえばないけど、あるといえばあるでしょ。これでも一応お前は同僚兼友人で
 笠原さんは部下兼友人の恋人なんだからさ」
「・・・・・」
「取り返しつかなくなっても知らないからね」
と小牧は呆れ顔で席を立ち じゃあお疲れ様。と事務室を後にした。



傍から見ても堂上が動揺しているのは明らかで、恐らく今すぐに飛び出して
郁を連れ戻したい気持ちで一杯なのだろう。

手塚はそんな様子に困惑した。
自分も器用ではないがこの上官もあの同僚もそれ以上に不器用でもどかしい。
ただ、出来ることはないと判断しせめて堂上が動きやすいよう
さっさと日報を提出して事務室を後にした。


                    ***


一人、事務室に残された堂上は提出された日報をチェックしながら
頭の中は別の事で一杯になっていた。

自分でも大人げない態度をした事は充分理解していた。
郁がそういうつもりではない事も充分解っている。

ただ、知らない男と楽しげに昼食を取る郁の姿が頭に焼き付いて離れない。
立てばカップルと見えるほどにバランスの取れた身長。
見るからに優しく誠実そうな雰囲気。

自分には無い物を持つその男に嫉妬したのだ。
そして、好意を向けられている事に全く気づかない郁の鈍さが腹立たしかった。


小牧に言われた一言が痛烈に心に突き刺さっている。
手放す気があるのか。と。

手放すつもりなどない。ただ、自分よりも彼女を幸せに出来る男がいるとしたら
それは、自分のエゴでしかないのではないか?



では、もし自分は郁があの男に心惹かれ、自分の元から離れてしまったら。
と想像していてもたってもいられなくなった。

彼女が自分の以外の男に微笑み、手を繋ぎ、口付けを交わす。
そんな事を想像するだけでも、心臓が潰れそうな程に苦しい。

口付け後のあのはにかんだ微笑を自分以外の男が受け取るなんて想像もしたくない。
それがどんなエゴでも、譲る事等、到底できない。


堂上は勢い良く立ち上がると、二人がいるであろう場所へと全速力で走った。


                    ***

郁が待ち合わせの場所に到着したのは定時を30分ほど過ぎた時間となっていた。
約束を取り付けた、相手は予告通り人気のないベンチに座り込んで
携帯を弄っていた。

郁が近づいていくと気づいて立ち上がる。

「お待たせしました。すみません。遅くなって」
「いや。こっちこそ仕事中に呼び出そうとしてごめんね。上官に怒られちゃったでしょ」
「あ、怒られるのはいつもなんで別にそれは大丈夫です」

そうなんだと優しげに笑って、郁にベンチに座るよう仕草で示した。

郁は並んで、ベンチに座り、その要件を早く聞いて
堂上に電話を入れようと考えていた。
流石にこの状況を明日まで持ち越すのは考え物だ。
班員に迷惑をかける上、自分もなんだか落ち着かない。

「笠原さん?」
「あ、すみません。ぼっとしちゃって。えと、お話なんでしょうか?」
「うん、笠原さん。タスクフォースなのにリファレンス凄く頑張ってるよね」
「そうですか?全然できなくて失敗ばっかりですけど」
「そうかもしれないけど、タスクフォースの隊員はリファレンスとかは
 任意にまかされているじゃない?」

そういえば、前に堂上が自分の想い次第という様な事を言っていた。

「割り切ってリファレンスを図書館員に任せちゃう隊員も多いのに、凄く頑張ってるなぁって
 いつも見てたんだよ。」
「そう・・なんですか。ありがとうございます」
「苦手なのに一生懸命頑張ろうとしている姿が気になっちゃって、困ってるのを見てたら
 力になってあげたいなぁって」
「だから、いつも困った時にタイミングよく助けてくれてたんですか?」

自分はそんなに目立ってたのかと思うと恥ずかしく、情けなかった。
確かにでかいし、目立つのかもしれないけど。
これからリファレンスする時、なんか見られてるかもって余計緊張しそう・・・。

「で、俺でよければリファレンスの練習とか付き合ってあげたいなって」
「あ、有難うございます。でも大丈夫です」
「どうして?遠慮とかいらないよ?」
「えと、でも悪いですし・・・」

堂上と険悪になりそうだから・・と言ってしまいたかったが
言うと、親切で助けてくれていた清水三正に揉め事の種になりました。
と宣言するようなものなので言い淀んだ。


「じゃあ、こういったら解ってもらえるかな?」
「?」
「笠原さんの事、いいなって思ってるんだ。俺と付き合ってみない?」


?!
今・・この人なんていった?!
私のこといいって?何?人がいいとかじゃなくて?
付き合ってみない?ってそれはリファレンスの練習の事じゃないよね?!


「え?!つ・つつつきあうって!?」
「うん。恋人前提で付き合ってみてもらいたいなって話なんだけど」

郁は思い切り立ち上がり、ペコリを大きく頭を下げた。

「す・・すみません。それは無理です!」
「どうして?好きな人とかいるの?」

まあ座ってよと、物慣れた様子で腕を掴まれ、座るように促される。
好きな人がいるから、ダメなんですと断ろうとしたら
相手が腕を掴んだまま、自分の背後を見つめているのに気づき郁も振り返った。




堂上だった。
走ってきたようだが、息はさほど乱れていない。


「教官?どうしたんですか?日報ダメでした?」
「違う」
「じゃあ・・」

何かあったんですか?と聞こうとしたら掴まれたままになっていた腕を
堂上に強引に引っ張られ清水から引き離された。

清水は、状況が解ったような解らない様な複雑な顔をしている。
そこで、郁はさっきの返事を返していない事に気づき
慌てて、言うつもりだった言葉を口にした。

「す、すみません。清水三正。私、好きな人がいるのでお付き合いできません!」

その言葉に、堂上が驚いたように目を丸くした。
当の清水はその言葉で全て理解したように
頭をカリカリと掻くとそっか。残念と笑い立ち上がった。


「彼氏いたんだね。ごめんね。気づかなくて。ひょっとして余計な迷惑かけちゃったかな?」
「いえっ。そんな事は。リファレンス、色々フォローして頂けて助かりました」
「うん。それは別に業務の一環だから。これからも困ったら気にしないで聞いて」
「あ、でも・・・」
「業務だから。利用者に速やかな情報を提供するフォローに他意はないからさ」

じゃあ彼氏と仲良くね。リファレンス頑張ってと軽く手を上げて清水三正は立ち去った。

                    ***

清水三正が立ち去って、堂上と郁は二人きりになった。

すっかり日も暮れて、人影は全くない。
ベンチ脇には照明が灯っているの暗くはない。

先に口を開いたのは堂上だ。
「ちょっと座れ」

促されるまま、二人でベンチに腰掛けた。

「今日はすまなかった。ちょっと言い過ぎた」
「いえっ、私こそ・・すみませんでした。色んな事、全然気づかなくて・・」
「お前が鈍いのは今に始まった事じゃないしな」
「ちょ、それどういう意味ですか?」
「お前は自分が思ってる以上に、男共の目に【女】として映ってる」
「え?いや。それはそんな事ないんじゃないかと」
「じゃあ、今の清水三正はなんて言ってた?お前と付き合いたい。といったんじゃないのか?」
「・・うっ・・・。言われました」
「つまりそういう事だ。お前が思ってなくても、そういう対象としてみてる男はたくさんいる」

そんな事ない。と力説しても
さっきの今じゃ説得力がないかもしれないが、それは堂上の思い過ごしではないかと思われた。

「郁、聞いてるのか?」
「ハ、ハイ。聞いています」
「頼むから、俺の目の届かん所で他の男と二人きりになんかなってくれるな」

そういってポンと掌を郁の頭に乗せるとクシャリと撫でた。

「さっき。別に気にしないって言ってました」
「売り言葉に買い言葉だ。そんな訳ないだろうが」

憮然とした表情で堂上は横を向いてしまった。

「嫉妬・・してくれたんですか?」
「当たり前だ。俺はお前が思ってるほど人間デキてないかならな」
「なんか・・意外です」
「付き合ってる相手が他の男と楽しそうにしていて気にならん奴がいるなら会ってみたい」
「すみませんでした」
「もういい」


堂上の横顔を見つめていると、横を向いていた堂上がこちらを見た。
視線が合う。
真摯な眼差しに捉えられ、郁は動けない。

「俺は、お前が思っている以上にお前を大事に思ってる。それは解れ」
「あ、あたしも堂上教官の事大事に思ってます!」
「まあ、聞け。これから先、もしかしたら俺よりもお前を幸せに出来る男が出てくるかもしれん。
 でも俺は多分お前を自分から手放せない。お前が、俺といるより幸せになれると思う男ができたら
 お前が手を離せ。」


その言葉に郁は弾かれた様に立ち上がる。

「教官は間違ってます!あたしを、一番幸せにできるのは教官だけです。だから、他の人なんか
 入る余地はありません!あたしの王子様はあの時からこれから先もずっと教官だけです!」


郁のその宣言に、堂上は苦笑した。
お前、王子様は卒業したんじゃないのか?
それにいつまでそんな痒い事平然と言うのか・・・。


ただ、その言葉は純粋に嬉しかった。
身長がつりあわなくても、怒鳴ってばかりで口の悪い自分でも
郁は自分がいいと言ってくれる。


これからも、些細な事で揉める事など山のようにあるだろうが
郁となら越えて行ける。そんな気がした。


堂上はゆっくりと立ち上がると、郁を抱きしめやんわりと口付けた。


唇が離れると、郁はいつものようにはにかみながら微笑んだ。

この顔を見るのが願わくば後にも先にも自分だけであるといい。


「帰るか」と郁の手を握ると、郁はコクリと頷いて手を握り返した。





嫉妬堂上教官、微妙にモテる郁ちゃんのお話でした。
堂上教官は絶対嫉妬深い!

そして何故か、ちょっと微妙に最初手塚視点になってしまいました。

なんか皆キャラが崩れ気味ですね・・・。



07:19 図書館SS(堂郁)

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