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もどかしさ =Ver.堂上=

2008/06/08
おはようございます。

平日に比べて土日って早いですね・・・・・・。

今日はリクエストが多かった堂上教官Verです。

が!失敗っぽいです。なんか意外と難しいですね堂上教官をモヤモヤさせるの。
原作は郁ちゃん視点なので・・・。

どうにもうそ臭い(笑)

まあオマケって事で!

堂郁 年齢フリー 恋人前設定 もどかしい堂上教官!




業務が終わり、あとは帰るだけという段になって
笠原が手塚に声をかけているのが聞こえた。


どうやら明日の夜、親睦会と称した合コンがあり
それに誘っているようだ。

珍しい誘いに何気なく会話に聞き耳を立ててしまう。


案の定、手塚は合コンは苦手だと断った。
笠原自身も特にこだわりはないのか、解ったとアッサリ了承した。



合コン行くのか?と思いつつ聞ける訳もなく
そ知らぬふりをしていると、笠原のほうから俺を誘ってきた。


緊張しています!と宣言しているような様子で声をかけられる。

「あのー、堂上教官。堂上教官はどうですか?」

思わず、眉間に皺を寄せてしまった。
好きな女から合コンに誘われるというのは複雑だ。

「合コンだろ?俺は合コンに興味ない。大体、お前の周りなら皆、下ばかりだろうが
 俺が行ったら浮くだろ」

もっともらしい理由で断ると、郁はあからさまにホっとした顔をしたので
なんだ、俺が行くとまずいのかと喉元まで出かかったが
気づかない振りをして流した。


「大体、なんで俺を誘う?」と素朴な疑問を口にすると

笠原がいいにくそうに口を開く。

「なんか、堂上教官とお話したい子がいるらしいです」

そういわれてますます複雑になった。
俺に興味がある他の女と楽しく合コンしろと好意を持つ女に言われたのだ。

そりゃただの部下と上官ではあるので何の問題もないが。

チッと内心舌打ちをしながらも、念のため郁の参加を確認する。

「・・・・。お前は行くのか?」
「はい・・。ちょっとした恩のある先輩に拝み倒されて・・。一応」

そんな会にノコノコ行きたくはないが、メンツによっては気が気ではない。
まあ柴崎がついていれば大丈夫かと思い、念のため柴崎は行くのかと聞いてしまった。

ちょっと、出すぎた質問だったか?と思ったが笠原の方は特に気にした様子はない。


「柴崎は防衛員じゃないので頭数に入ってません。建前、防衛部のプチ親睦会ですから」

その回答に、堂上は思わず渋い顔をしてしまった。

笠原一人で合コン・・・・。
笠原とて子供じゃない。柴崎や手塚についてきてもらう必要など元よりない。

ただ、酒に弱い笠原のことだ、合コンにいって何かがあってもおかしくない。

『行くな』といえる訳もなく、解った、行くと答えた。


どうやら意外な回答だったらしく、笠原が目を丸くする。

「参加するんですか?」
「参加だと言ってるだろうが!何度も聞くな!」
「え?だって、合コン興味ないって」
「うるさい!気が変わったんだ。参加するとまずいのか!」
「い・・・いえ、まずくはないです。・・喜ぶと思います」

その会話を向かいで聞いていた小牧がクックックと笑いをかみ殺す。
何故笑っているのか理解できず、笠原は首を傾げているが
こっちには丸解りだ。

「何かおかしいですか?小牧教官」
「いや・・ククク・・別に。堂上が、合コンとか珍しいから」
「そうなんですか」
「いや・・大変だなぁと思ってさ」

というとヒクヒクと小さく笑い続けている。
あまりにもしつこく笑い続ける小牧に うるさい!ほっとけ!と怒鳴った。


笠原は意味不明という表情で、じゃあ手塚は不参加、教官は参加で伝えておきます。
場所とか会費は決まったら連絡しますんで。

お先に失礼します。

と事務室を後にした。


その後も、小牧はヒクヒクと肩を震わせて笑い続け
いつまでも引っ張るな!と再度怒鳴りつけるハメになった。

手塚は何が何だかわからない様な様子だったが
特に何も言わずに残務を処理していた。

*********************************************************************

親睦会当日は訓練日だったので堂上も残業がなく終了できた。

一緒に会場に行くのかと思ったら、一度着替えてから行きます。
と現地集合を宣言された。

待ってる。という訳にも行かず、ただ頷いた。

「ああ。解った」
「お疲れ様でした」

そういって、笠原は先に事務室を後にした。



堂上は更衣室で訓練日用の通勤着に着替え
そのまま会場に指定されている店に向かった。
とりあえず店に到着し中に入ったものか思案していると

一人の女性に堂上ニ正と声をかけられた。
向こうはこちらの顔を見知っているようで、今日の幹事です。と笑った。

「堂上ニ正、お疲れ様です。今日は参加有難うございます」
「いや、俺なんかが来てよかったのか?」
「勿論です。後輩が喜びます」

入りませんか?と誘われ、断るのも変なのでそのまま中へと入った。

見慣れない防衛員や見覚えのある面々が既に着席していた。

幹事の女性防衛員が、笠原で最後ですね。と呟いたのでどうやら面子は
コレで打ち止めらしい。


どこに座ったものかと思っていたら、こちらあいてるのでよかったら!と
女性防衛員二人に誘われた。

断る訳にも行かず、招かれた席についた。

「はじめまして、堂上ニ正、私笠原より1つ上で山本士長です。
 そっちの子は笠原と同期で波多野士長」


紹介された笠原の同期の女子が宜しくお願いしますと頭を下げた。

「ああ、堂上ニ正だ。宜しくな。こんなおっさんと話しても楽しくないだろうが」
「堂上ニ正面白いですね。全然おじさんじゃないじゃないですか!」

と笑った。

柴崎とも笠原とも違ったその明るく軽快な笑い方にちょっと驚きながらも
このくらいの年齢の女性はこんな感じだったかと思い
やはりオヤジだなと自分がおかしくなった。


そんな話をしていたら、遅れていた笠原が到着した。
幹事に笠原おそーいと声をかけられて謝っている。

その姿を見て硬直した。

なんだ!?あの格好は。

合コンは先輩に頼まれて仕方なく・・・とか言ってたくせに
やる気ありすぎだろ!?

フンワリした膝丈のスカートにニット。
わざわざ合コンなんて場にそんな格好で来たのはどういう理由だ。
普段、殆どスカートなんてはきませんと言ってたのはどいつだ!と
口から飛び出しそうになる。

表面上は冷静を保っていたが、思わず視線が鋭くなってしまうのは止められなかった。


笠原がチラリとこちらを見たので来るかと思ったが
幹事の隣に座っていた男に声をかけられて、そいつの横に座った。


笠原が座ってすぐに先に頼んでいたビールのジョッキが並べられた。
幹事の音頭で乾杯し親睦会が開始される。


チラっと横目で確認すると、笠原は苦そうな顔でビールをチビチビと舐めている。
あいつ・・ビール嫌いのくせに。無理するなよと思いながら
堂上は自分のジョッキを呷った。


何だかやけに隣の男が話しかけているようだが、知り合いか?

どうやら、視線が笠原にばかり動いていたが見え見えだったようで
隣の女子防衛員に「笠原のこと気になります?」と笑われた。

ついいつもの調子でアホか!と
怒鳴りそうになるのをかろうじて飲み込む。

「いや、そういうわけじゃないが珍しいカッコをみたんでな。いつものアレは
 女らしさの欠片どころか人間の欠片があるかないかだ」

「アハハ、確かに!笠原は時々凄いよね」と山本と名乗った士長が笑った。

波多野士長も確かに。朝とかいきなり朝飯三杯大盛りで食べてから
柴崎の残したおかずまで平らげるのは圧巻ですよね。と暴露トークを開始する。

普段見る事のない笠原の日常を聞くのは面白く、そうなのか。とつい頬が緩む。

「あいつはそんなに食うのか・・・」
「凄いですよー。それであの体型だから皆羨ましがってます」

「女らしさの欠片といえば、この前風呂上りにショートパンツとタンクトップで
 どこか行こうとしている笠原に会ったんですけど、どこに行こうとしてたと思います?」
「部屋に戻る所、とかじゃないのか?」
「ハズレです。なんと、共有スペースに行こうとしてたんですよ。太股丸出しで!」

堂上は思わず、飲みかけていたビールにむせた。
ゴホゴホと咳き込むと、大丈夫ですか?と声をかけられ頷いた。

「そ・・それで・・」
「共有スペースには男がわんさかいるのにそれはないでしょって言ったら
 首傾げてました。なんで?って」

そういって笑う波多野に山本があれじゃ彼氏が出来たら彼氏は大変だわ。
と一緒に笑い出した。


あいつ・・アレほど露出の多い格好で男の前をチョロチョロするなと言ったのに
まだ解ってないのか。

チラっと視線を動かすと
当の笠原はというと、隣の男に何か言われて真っ赤になって俯いている。

その様子に、何を言われているのか気になってたまらないが
ここで席を移動する訳にも行かない。

こんな事ならやはり一緒に店まで来るべきだった。
堂上はそう心の中で毒づいた。


よく見れば、隣の男はチラチラと郁のむき出しになった脚に視線を
動かしている。

当然正座など長時間出来るわけもなく、崩れ気味な足元はやけに艶かしい。
せめてスカート丈が膝丈だったのが良かった。
あれでミニなどはいていたら、外聞構わず店から引きずり出す所だ。


この店はタスクフォースでの飲み会で何度か利用した事があり
座敷だとわかっていたはずなのに、なんであいつはスカートなんだ。

数え切れない飲み会に一緒に出ているが郁がスカートをはいてきた姿は
一度も見た事がない。

堂上は不機嫌を顔に出さない様努めながら
チラチラと郁の様子を観察した。

なにやらメニューを広げて注文をしている。
その横から、隣の男が郁のジョッキを取り上げ飲み始めた。

オイ!それはずうずうしすぎないか!?
笠原も何か言ったらどうなんだ!

と思いながらも、そういえばタスクフォースで乾杯が強制ビールだった時に
いつも自分もしている事を思い出し、チッと内心舌打ちをする。

「堂上ニ正。ビールもうないですね。追加しましょうか」

そう声をかけられて、また笠原に視線を集中してしまった事に気づき
気まずそうにうなづいた。

「ああ、そうだな。頼んでいいか?」

もちろんです。と笑うと山本はもう視線については何も聞かず
店員にビールを追加注文した。

「堂上二正って今フリーですよね?」

そう波多野に問われてああ。と返事を返す。

「もう誰か決めてる子とかいるんですか?」
「・・・まあ、そうだな」
「へーーーー!ちなみに私達の知ってる人ですか?」
「それは、ちょっとな・・・」

そういって曖昧に笑った。

その言葉を聴いて山本が残念ーと呟いた。
「私、堂上ニ正結構好みだったので残念です」
「・・おだてても何もでないぞ」
「冗談じゃないですよー」

と笑いながら
でも、あの子じゃ太刀打ちできないかなと山本はグラスを口に運んだ。

その言葉に山本は堂上の決めている子が誰なのかを悟った事が伺えた。

やはりこれだけ視線を送ってしまうと、バレバレだろう。
しかし今はそんな事は気にしていられない。

合間合間にチラっと視線を笠原に送ると
あろう事か、隣の男が笠原の肩を抱き寄せている。

明らかに笠原は困った顔をして断っている。

それなのに、執拗に笠原に触れ、最終的には腰にまで手を回している。

これ以上黙っていられる訳もなく立ち上がると
笠原も立ち上がって、席を外した。

恐らく、トイレだろう。

ホッとしつつも立ち上がってしまった手前、また座るのも変なので
自分もトイレの方向へと向かった。



トイレは通路の奥で手前の方で待っていても通行の邪魔になる事もなく
飲み会の会場からも死角になっていた。

丁度良いので大丈夫なのか確認しようと
そのまましばらく待っていると赤い顔をした笠原が戻ってきた。
明らかに酔っていて、足取りも怪しい。

こちらの姿を見て驚いたように立ち止まった。

「堂上教官・・」
「お前。飲みすぎてるだろ。大丈夫か?」
「あ・・ハイ。ちょっと・・飲みすぎちゃって・・・」
「もう帰るなら、送るぞ」

これ以上あんな男の横において置けるか。

その想いが自然と『送る』という言葉になって出てしまった。
だが、郁は何か迷っているかのようにチロリとこちらを見る。


「でも、教官。楽しんでるのに悪いです」

楽しい訳あるか!と怒鳴りたいところだが、そんな事を言えば
誘った笠原が気にする可能性もある。努めて穏やかに言葉を返す。


「別に俺はいい。そこそこ飲んだしな」
「・・・・」

煮え切らない郁の態度に、チラチラと見ていたあの男とのやり取りを思い出し
嫉妬に似た感情がわきあがる。

思わず、思ってもない言葉が口をついて出た。

「まあ、お前があの男とこのままホテルにでも行きたいなら俺は先に帰るが」

その言葉に笠原はギョっと目を見開いた。

「行きたいわけないじゃないですか!好きでもない人と・・そんな」

そう言って郁は涙ぐんだ。
まさか泣くとは思わず、うろたえる。

つまらない嫉妬からの意地悪だった。
俺は一体いくつだ!と自分で自分を諫め、冗談だと郁の髪を撫でた。

「・・ひどいです・・。あたしを誰とでもすぐホテルに行くみたいに・・」
「すまん、言いすぎだった。あいつがお前に随分ベタベタしているのに
 お前が断らんから、その気があるのかと思った」

動揺して思わず、よく見ていなけりゃわからなかったような事まで口走り
失敗したと思ったが、笠原はそこは気にならなかった様で
言い訳をするように激しく首を振った。

「違います!先輩だから・・どこまで拒否していいか解らなくて・・
 こういうの慣れてないから」

呟く様に零れ出た否定の言葉に、ホッとした。

「帰るんだな?」

と念を押すとコクリと頷いたので安心する。

俺はトイレ行ってから戻るから、幹事に帰るって言っとけ。と
郁の頭を軽く叩いて堂上はトイレへと向かった。



所用を済ませて戻り、幹事に支払いしようとすると
もう笠原からもらってますから大丈夫です。

ちゃんと送ってやってくださいね。と意味ありげなウィンクを送られた。

これは・・ばれてるなと思ったが、不機嫌そうな顔でわかってると頷くのが精一杯だった。

さて、帰るかと思い笠原の方を見ると
隣の男が執拗に声をかけている。

どうやら自分が送ると主張しているようだ。

威嚇も込めて、笠原を呼んだ。

「笠原、帰るぞ」
「あ、ハイ。今行きます」

隣の男はジロリと堂上を見上げたが、睨み返して堂上は店を先に出た。


*****************************************************************************

しばらく待っていると郁が出てきた。

「すみません、お待たせしました」
「いや、大丈夫だ。行くか」

といってから歩き出す、酔っているだろう笠原を気遣っていつもの歩調ゆっくりにして歩いた。

チラリと後ろを伺うと
笠原がおぼつかない足取りでゆっくりと後ろをついてくる。

少し迷ったが、ふらつくなら掴まれと腕を示した。

笠原が驚いたようにこっちを見たので、嫌なのか?と思ったが
少ししてからおずおずと腕を伸ばしてきたので安堵した。


またゆっくりと歩き出す。それに合せて笠原も歩く。

フンワリと風に乗ってシャンプーのような石鹸のような良い香りが鼻をかすめ
ドキっとする。

沸き上がる、邪な感情を必死に押し殺す。

ゆっくりと歩きながら、今日一番の疑問を笠原にぶつけた。
自然不機嫌な声になってしまう。

「お前、今日なんだってそんな格好してるんだ」
「へ?格好?変ですか?」
「そういう事じゃない。合コン・・やる気ないとかいってて、やる気ありすぎだろ、その格好」

男釣るつもりか!と心の中で付け足す。

「ち・・違います!これは、先輩がどうしてもスカートをはいてこいって・・
 一応、ちょっとだけ恩があるから断れなくて」

とモゴモゴと言い訳を聞いて、ああそういう事かとなんとなく納得した。
こういう所はやけに素直だからな。コイツは・・・。


あの男の為に着てきた訳ではないと解り
安堵でふぅ。と自然にため息が出た。
このまま帰るのなんだな。と思いどっかでちょっと休んでから帰るか?と聞いた。

笠原はどっかって?と首を傾げた後
慌てて腕を放して真っ赤になって立ち尽くした。

不審に思い振り返る。

「なんだ?どうした」
「ど・・・どっか・・って・・。ホ・・・ホテルとかの事ですか!?」

その郁の言葉に思わずギョっとした。
そして、アホ!と怒鳴り飛ばした。

「誰がそんな所だと言った!公園とかでちょっと水でも飲んで酔い覚ますか?と聞いたんだ!」

どんな思考の飛躍だそれは!お前、俺がそうだって言ったらどうするつもりだ。

「そ・・そうですよね!すみません。公園・・行きます」
「何なんだ、お前は。さっき、誰とでもホテル行く女じゃないとかほざいておいて」
「ちが!それは、堂上教官がさっきそういう事言ってて、今どっかで休むかとか言うから!」

俺とだったら行ってもいいって意味なのか?そう口をついて出そうになるのを飲み込む。

無防備にそんな誤解を招く発言したら、俺だって男だからな。
連れ込むぞ。間違いなく。

そう思いながらも、口からは思考とは真逆の言葉がついて出る。

「お前、俺が付き合ってもいない女を酔いに任せてホテル連れ込む男だとでも思ってるのか」

厳しい顔つきで睨むと、笠原は大きな身体を小さく縮めた。
そしてションボリと俯く。

「そうじゃ・・ないです」と小さく呟かれて、毒気が抜かれた。

「・・・まあ、いい。とりあえず水でも買って少し休むか」

ホラといって腕を示すと、笠原はもう一度すみませんと呟いて腕に掴まった。


水を買ってやり、公園のベンチに腰掛けた。

そう大きな公園でもないので、人気はない。

季節柄寒くも暑くもないので丁度良かった。


笠原はペットボトルの水に口をつけると、自分は缶ビールのプルをあけた。

「堂上教官てお酒強いですよね・・まだ飲むんだ」
「アホ、あれっぽっちで飲んだ気がするか」
「あれ?でもさっき、ほどほどに飲んだって」

そう何気なく指摘され、しまったと思った。
程ほどに飲んだという言い訳をした事を思い出す。

何か上手いいい訳もでこず
勢いよくビールを呷ってとほっとけ!と不機嫌そうに言い放った。


怒らせたと思ったのか、笠原はそれっきり口を開かず黙って水を飲んだ。


しばらく沈黙が続く。


何か話さなきゃと思い、忘れかけていた事柄を思い出す。

「そういえば、お前。俺の分の会費払ったらしいな?」
「あ、今日は付き合ってもらった上、送ってもらうからと思って」
「アホ。そんな事気にする必要ない。上官が酔っ払った部下の面倒を見るのは当たり前だ」

そういってサイフから会費を取り出し笠原に渡す。
笠原は受け取れないという様に両手で押し返すように辞退する。

「本当にいいです。お水買ってもらったし」
「バカ。値段が全然違うだろうが!」
「いつもお世話になってますから」
「それは、仕事だ。プライベートとは違うだろ。部下に奢らせるなんて俺が嫌なんだ」


年下の女性に飲み代を奢られるというのはどうにも落ち着かない。
大体、士長の手取りがいくらかなんて、隊内関係者にはバレバレだ。

ますます、払わせる訳にはいかない。

笠原はじゃあとしぶしぶ金を受け取った。


恐らく、自分が誘ってしかも送らせるような事になってしまった事を
こっちが思っている以上に気にしての行動だというのは理解できた。

「俺が自分で来たんだからお前がそこまで気を遣う必要はない」

むしろ、ついてきて良かったと心底思ってるところだ。と心の中で続ける。


いつもそうするように、笠原の頭をクシャっと撫でる。

笠原の柔らかな髪の感触がたまらなく心地よくて、そのままクシャクシャと
しばらく撫でていた。

が、流石にこれ以上は問題があるだろうと思いスッと手を離す。

何だかうっとりと目を閉じている笠原が妙に可愛らしく
思わず、お前・・あいつと何か約束したのか。とボソっと呟いてしまった。

笠原は少し驚いたように首を傾げる。

「あいつって・・田川さんですか?」

通常隊内関係者との飲み会はほぼ階級呼びが定着している。
その方がお互い気楽だからという暗黙のルールだ。

まあ多少親しくなれば普通にさん付け呼び捨てなどになって行くが
既に、さん付けにしているあたり、二人の関係が自分との関係よりも
親密の様で、再びモヤモヤとした感情が沸き上がる。

「なんだ?随分親しげだな」
「いや!最初からオフだから階級呼びするなって言われたんで」

それでも、じゃあってそんないきなり親しげに呼べるモンか?
俺も階級呼びはよせ、といえば『堂上さん』とでも呼んでくれるのか?

とつい悶々としてしまい、自然と眉間に皺が寄る。

笠原は何が悪かったのか解らないという様に、首を傾げている。



あいつとどの程度の関係なのかもう聞かずにはいられなかった。
『上官』の立場だけで踏み込んでいい内容ではなかったが堪えきれず
じっと笠原を見つめた。

「付き合うのか?」


否定して欲しい・・。

その気持ちが届いたのか届かないのか解らないが
付き合いません。という回答にホッとした。

踏み込んだ事を聞いた事を誤魔化す様に、言い訳が零れ出る。

「ああ、まあ別にいいんだが、あまり変なのに引っかかるなよ」

余計な事を言ってしまいなんだか気まずく、そっぽを向いた。

しばらく沈黙があって、チラリと笠原を見ると俯いている。
やはり余計な事をいったのか?と心配になる。


「なんだ、どうした?」
「いえ・・・ちょっと酔いまわってきたなって・・」

さっきから水しか飲んでないのに酔いが醒めるんじゃなくて
まわってきたという言い訳に何か引っかかるが
笠原は俯いたまま追及しないで欲しそうだったので何も言わず

もう一度ポンポンと笠原の頭を叩いた。


これ以上この件を引き伸ばしてはいけない様な気がして
何気なく話題を変えた。

「お前、あの幹事になんか恩があるとか言ってたよな。なんか寮であったのか?」


笠原はあからさまにホッとしたような顔をして、『恩』について話し出した。

もっと高尚な恩があるのかと思いきや・・・・。
たった100円のジュースの為に俺は合コンに連れ出され・・・
あまつさえ、こいつは自分に邪な感情を持っている男の前に
あんな格好で引き出されたのか!!

沸き上がる怒りを押し殺す事は不可能で握り締めた拳がフルフルと震えた。

笠原は暢気にどうかしました?などと聞いてくるに至り、怒りは臨界点を超えた。

暢気で単純な笠原の頭に思い切り拳骨を落とす。

「バカか!貴様!たかが100円くらいで涙ぐむな!それに、ジュース一本でそこまでなのか!?
 そりゃ感謝の気持ちは大事だろうが、それぽっちであんな男の為に綺麗な格好して
 ベタベタ触らせやがって!」

と思わず、自分の嫉妬をそのまま笠原にぶつけてしまいハッっとする。

ベタベタ触らせやがっては行き過ぎだったか!?と思ったが出た言葉は引っ込められない。

笠原に堂上教官には関係ないじゃないですか!などといわれたら立ち直れない所だったが
予想に反して笠原はしゅんとしていた。


100円だって、恩は恩です。

と呟いた。


そう来るなら、と思い自分が奢った水の恩を主張した。
「なら、俺の奢ってやった水も恩だな。今度返せよ!」

ジュース一本でスカートでお触りつきなら、俺にだって同じ物を返してもらえるんだろうな。
そいつは100円でもこっちは150円だ!外の自販機だからな!

50円分サービスつくんだろうな!と心の中で続けた。

笠原はハッとしてうろたえる。

「返せって・・・何を・・・・・・」
「行ってみたい店があるが男一人だと行きにくい。今度の公休、付き合え」

デートの誘いとしか思えないような誘いである事はわかっていたが
笠原は何も言わずコクコクとうなづいて了承した。


単純だなと思うと同時に二人で出かける約束を取り付ける事ができて
思わず頬が緩んだ。


笠原がこっちを凝視しながら赤くなる。

こいつ・・俺の事、少しは上官以上に何か思ってるのか?

そう思ったが、笠原は基本純情乙女の様で
ちょっとしたことですぐ赤くなったりするので
そのあたりが好意の判断基準にならない。

ただ、一緒に出かけてもいいという了承は少なからず
嫌われてはいないと受け取れる。

たかが水のお礼というのは何だかだが、そこは素直に嬉しい。


もしも・・こいつを彼女にできたら、手を繋いだりキスをするだけで
いちいち可愛くてどうしようもないだろうな・・・・・。


と心の中であらぬ想像をして恥ずかしくなり、残りのビールを呷って妄想を吹き飛ばした。

ふと見ると、横で笠原が頭を激しく振っている。

訳がわからない行動に驚き
何やってんだ。気分悪くなるぞと声をかけた。

これ以上二人きりで公園などにいたら、自分が何をするかわかったものではなかったので
名残惜しくはあったが、ここらが切り上げ時と諦めて立ち上がる。

「そろそろ、酔い覚めただろ。帰るぞ」

そういうと、笠原も立ち上がる。



先に歩き出すと、後ろから笠原が追いかけてくる気配がした。





というわけで、もどかしぃ~というテーマで堂上verでした

堂上教官はもう自分が郁ちゃんLoveを自覚しているけれど
なんだかこう一歩勇気がでないんだよな。
という状況です。

だから、激しく嫉妬に燃えている・・ケド言えない~という事で。

さて一人で行けないような店って何でしょう・・・・。
口からでまかせっぽいですよね(笑)


今度二人で行ってもらいましょうかね・・・・。
なーんて。
堂上VERは恐ろしく難しいです!

郁ちゃんの視点で原作が書かれているのでその様な書き方が
自然なのでなんだか不自然でしょうがないんですよね。

付き合ってないんだから『郁は』じゃなくて『笠原は』に
なるのかなーと思って笠原にしてみましたが、微妙ですね。

ムズカシィ!

がんばったな!という優しい方はポチっと拍手で健闘を称えて下さい(笑)
07:33 図書館SS(堂郁)

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