09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

スポンサーサイト

--/--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- スポンサー広告

明日に繋がらない今日 =前編=

2008/06/06
おはようございます!

やっと金曜日!嬉しいですね!

昨日のジレジレは大人気だったようです。やはり好物は皆同じ☆

甘甘のあとには辛い物!という事で、今日はまた朝から重いです。
笑いないストーリーです。すみません。

堂郁 年齢フリー 恋人期間 (別冊を読まれてないと通じない部分が多いかもお許しを)

郁ちゃんの負傷、その時は堂上教官は・・という感じでこれまた糖質0です。
しかも長くなったので前編です。




皆の熱い応援により何とか三正へ昇任することができた。

堂上から、お祝いに何が欲しいと聞かれて、基地の近くに二人で部屋を借りたい。

そうおねだりした。



堂上の反応は想像していたものは全く違う物でその言葉は心に突き刺さった。

「バカバカしい」

「ごっこ遊びは若い奴らの特権だ」


悲しくて悔しくて、昇任祝いも堂上教官からは何もいりません!と
怒鳴り、代金を叩きつけてその場を後にした。



時間が経てば、頭が冷えて、堂上のいう事が正論だいう事が理解できた。

でも、あっさりと切り捨てられた悲しさと、自分の甘やかな想像だけの提案が
あまりにも恥ずかしく、堂上を避けてしまった。

堂上自身も言い方を失敗した事を気にしたためか郁を避けている節があった。


時間が解決してくれる。あと少しだけ一人ですねていたいそう思っていた。

そんな中、その事件は起こった。




**********************************************************************

深夜に鳴り響いた、館内放送に起こされる。

良化の襲撃を知らせる放送だ。

郁は、慌てて必要な物だけをジャージのポケットにねじ込み、寮を飛び出した。
多くの防衛員と共に更衣室に飛び込み、防弾チョッキから戦闘服まで
一揃いを大急ぎで身に着ける。

堂上から、銃を受け取り配置へと急ぐ。


今夜、堂上班はシフトから外れていたが、良化隊がかねてから
回収したがっていた、一冊の本が他図書館へ移送されることになっている。

秘密裏に夜中に出発をする予定だったのがどこかで計画が漏れて
移送車が基地を出る前に良化隊の襲撃を受けてしまった。

しかも、まずい事に郁たちが集合した時点で該当の図書が良化の手に落ちそうな
きわめて厳しい状況になっていた。


すぐに隊長から堂上班へ回収の指示が飛ぶ。


どうやら、襲撃の為一旦該当図書を館内に戻す為
シフトに入っていたタスクフォース隊員が図書を手に後退中
狙撃に合い、図書の入ったケースが中庭植え込み付近に落下。


敵もそれは予想外だったのか、展開が遅れたのが不幸中の幸いだった。


「小牧と俺で回収する。笠原と手塚は逆側から回りこんで援護!回収次第後退!」

「ハイ!」

途中で小牧と堂上、手塚と郁に分かれて中庭を目指す。

程なく中庭に到着し、目標のケースを発見。

郁と手塚は程近い茂みに身を潜める。

既に良化隊も一部到着しており、銃撃が始まる。

必死に回収しようとする良化隊員に発砲してやり過ごすが
ジリジリと、目標に接近され郁は焦った

「堂上教官!敵が接近。まだですか!?」

無線に向かって叫ぶと、堂上から応答があった。

「移動中側面をつかれた!応戦しながら現場へ急行中。発砲で良化を遠ざけろ!すぐ行く!」

そういってる間にもジリジリと良化隊員が目標物へと接近する。

これ以上待てば間に合わない!

「手塚!援護!回収する!!」

そういうなり郁は茂みを飛び出した。

手塚が待てと口を開く前に飛び出した郁に
舌打ちしながら援護射撃を開始する。

郁の俊足ですぐにケースを掴む事はできた。

無線に向かって再び叫ぶ。

「目標物回収!後退します!」

「まて!笠原、もうすぐだからそのままだ!」

そういわれたが、既に敵が目の前に迫っている。
接近に持ち込まれると人数が多い分、敵が有利だ。

「敵が複数接近!接近戦は不利です。待てません!後退します!手塚援護して!」

そう叫びながら、必死で後退を開始する。

目の端に今到着したばかりの小牧と堂上がチラリと映るが確認する余裕がない。
郁は全速力で陣営向かって走る。
その後を手塚が援護しながら追う。

堂上と小牧も援護射撃を行いながら、二人の後を追って後退を開始する。


いくつか弾丸がかすめ、左頬と左腕にチリっとした痛みが走る。

怯まず、走り続け、あと少しで陣営だという所で、郁の身体を衝撃が貫いた。



痛い・・とは思わなかった。

それはただの衝撃だった。

身体が前に飛ばされるような衝撃に、足がもつれる。

チラリと見ると左わき腹から血が流れていた。


「笠原!」と手塚の叫ぶ声が聞こえる。

今、止まれない。

止まれば捕まる・・・・・・。

走らなければ、あと少し。


郁はもつれた足を立て直し必死で銃弾の中を走りぬける。

わき腹に心臓があるようにドクドクと鼓動のような嫌な音が聞こえる。




郁が走り抜けた後に大量の血痕が残される。



もう、ダメかもしれない。そう思ったギリギリのラインで陣営に飛び込む事ができた。

ケースを他の隊員に任せると郁はそのまま地面に転がった。


後ろから続いて手塚、堂上、小牧が到着する。


「図書回収!よくやった笠原!」と誰かの声が聞こえた。

回収・・できた。よかったとホッとすると目の前が急に暗くなった。


「笠原!」と堂上の叫ぶ声が聞こえて、目を開けると視界がぼんやりしてよく見えない。

「しっかしりしろ!すぐに病院に搬送する!」

その言葉に自分は撃たれたのだと改めて感じた。


痛い・・・寒い・・暗い・・・・・・・


あたし・・・このまま死ぬの?

あたし堂上教官にまだ言いたい事があるのに、そう思って最後の力で手を伸ばす。
堂上の声がした方向に。


もう、よく見えなくて誰がいるのかも解らなかった。

伸ばした手を強く握られ、堂上だとわかった。


言葉を伝えたいのに声が上手くでない。

「きょう・・かん・・。ごめんなさ・・・・ありが・・」

殆どかすれてしまって最後は声にならなかった。


郁!と堂上が呼ぶ声すらも遠い。



ざわめきが嘘のように静かになっていく。

暗く、まるで海の底にいるようだった。



郁の意識はそこで途絶えた。



*******************************************************************

中庭に回る途中。予定外の襲撃があり、手間取った。

無線で笠原が回収に飛び出した事を知って焦った。

何とか敵をまいて中庭に到着すると、図書回収の報告があり一瞬ホっとした。

すぐに向かうつもりだったが、既に複数の良化隊員が郁と彼女の持つ図書に迫っていた。

待て!といったが、待てないと郁は後退を開始する。

小牧と二人必死で郁を援護する。



必死で陣営に向かって走る郁を銃撃で援護しながら、走りぬけた。

あと少しで陣営だという所で郁の身体が跳ねた。

すぐに撃たれたとわかった。

しかしその後、郁は再び走り始めた。


軽症か?と思いながらも確認する余裕もなくただ必死に後退した。

地面に残る血痕がそうではない事を告げていたがその現実を
頭の隅に追いやり、後退に集中した。


郁が陣営に戻った事で良化は諦めたのか明らかに銃撃が緩くなる。

今日はこれで撤収するはずだ。

そう思い、陣営に飛び込んで驚愕した。


複数の隊員に囲まれ、医務員に必死の応急手当を施される郁は
大量の血だまりに力もなく横たわっていた。


「笠原!」と呼びかけるが反応がない。

既に救急車も担架も手配されており、堂上のすべき事はなかった。
急いで郁に駆け寄る。

「しっかりしろ!すぐに病院に搬送する!」と声をかける。
郁の瞼がうっすら開いたが、その視線は何も捉えていなかった。

郁が震える腕を必死に堂上の方に上げる。

ここにいる。という様にきつく握るとかすれた小さな声で

教官、ごめんなさい。ありがとうと呟いた。


郁!と名前を何度も呼んだが、握った腕から力が抜けた。



バカが!ごめんなさいとかありがとうとか、まるで最後みたいな言葉を残すな!

そう叫びたかったが、ここはまだ戦闘中で公式の場だ。

堂上は最後の理性で必死に冷静になるように努めた。


担架が到着し4人がかりでそっと担架に郁を横たえた。

そのまま救急車へ向かって運ばれていく郁を見送る。

両手についた郁の血を呆然とみつめて立ち竦んでいたら小牧から怒鳴られた。

「堂上!付き添い!俺に指揮権残して行け!」
「いや・・それは」

「今行かなけりゃ一生後悔するかもしれないぞ!いいのか!」

いつもの小牧らしからぬ厳しい口調に弾かれたようにその瞳を見つめる。

そんな事があるとは信じたくなかったが、後頼む!とそれだけ叫んで
郁の運ばれた救急車に飛び乗った。


「付き添います!」そう宣言して堂上が乗り込むなりドアが閉まり
サイレンと共に救急車が発進した。



救急隊員が応急処置をしながら病院へと連絡をいれるのをぼんやりと聞いていた。

郁、頼む!頑張ってくれ!!

そう叫びたい気持ちを押し込み、その冷たい手を強く強く握った。



************************************************************************

病院に着くなり、郁は手術室へ運ばれ緊急手術が開始された。

ドアの閉まった手術室の前でしばらく呆然と立っていたが
しばらくして我に返り、廊下に置かれたソファに腰を下ろした。


手術室へ消えた郁の顔を思い出す。

真っ白で冷たそうな頬。
薄く開いた唇が小さな呼吸をかろうじて繰り返していた。




堂上は郁の血で濡れた両手をきつく握り締める。


あの時、側面をつかれなければ回収したのは自分だったはずだ。
あそこに横たわったのは自分かもしれなかった。


クソッと堂上は心の中で毒づいた。



郁の言葉を思い出す。ごめんなさいとありがとうは一体何に対してなのか。

ずっと気まずくてちゃんと話ができていなかった。


普段何もねだる事のない郁が、三正昇任の祝いに何がほしい?と聞いた時の
恥ずかしそうな顔を思い出す。

自分と少しでも一緒にすごしたいから部屋を借りたいと。

郁の気持ちは嬉しかった。
自分も同じ気持ちだった。

だが、同時に恥ずかしくもあり、思わずきつい言葉をかけてしまった。
言い過ぎたと思った時には既に遅く・・

あの時の郁の傷ついた表情が昨日の事のように脳裏に浮かぶ。

そして、堂上教官からお祝いはいらない!と千円札を叩きつけてでいていった時の
怒ったような悲しいような顔。


出て行く背中を見送った。


それが二人が恋人として過ごした最後の時間。


時間が過ぎればお互い気が落ちついて元に戻れる。
そう思っていた。

そしたら今度こそ、一緒にずっと住む部屋を借りないか言うつもりだった。


なかなか、お互い素直になれず、ぎこちない日々が続き
どうしたものかと思案していた矢先
小牧から郁は別れるつもりはないってさと聞いてもいないフォローを聞かされ
内心ホっとしていた。


だが、『別れるつもり』がなくても『別れ』が来る可能性がある事を今日、思い知らされた。

自分達は銃を持って戦う。

今日のような事が当然起こりえる。

どうして、こんなに暢気でいられたのだろう。
時間が解決してくれる・・などと。


今日が必ず明日に繋がっていると、どうして信じられたのだろう。



明日に繋がらない今日があること・・
何故、忘れていたのだろう。



後悔は嵐のように押し寄せる。

それは逃げ場のない枠の中で荒れ狂う波のように堂上の心を苛む。


今度間違えない。

だから、郁。


頼むから・・もう一度 笑ってくれ。






というわけで前編でした。


とりあえず、まだ前編なのでコメントは控えめに書きますが
拍手で郁ちゃんが大怪我する話って原作にないですよね。
という事でリクを頂いたのがキッカケです。

後半もそれはそれはジメジメと行きますがご容赦下さい・・・。

ではまた後編で!
07:17 図書館SS(堂郁)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。