07月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

スポンサーサイト

--/--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- スポンサー広告

寄贈品三夜連続放送:戀(こい) =糸し糸しと言う心= 第三夜

2008/10/13
こんばんは。皆様。

S様からの寄贈品を掲載させて頂きます。
本日、ついに最終話。

S様!本当に有難うございます。
皆様もどうぞ、S様の素晴らしい作品をご堪能くださいませ。

素敵だと思われましたらぜひ拍手から一言だけでも☆
公開なら外からでも確認可能ですので!
非公開でも私から必ずやS様にお伝えいたします♪


三夜連続放送(堂郁 恋人設定)
 戀(こい) =糸し糸しと言う心= 第三夜 『しんじつ』 『けつまつ』 『あとがき』 です。


連載中の一部にR15指定程度の描写がある為、R15指定と致します。
15歳未満の方は閲覧、ご遠慮下さい。




秋の夜長 三夜連続放送 第三夜

戀 =糸し糸しと言う心=  作: S様




◆しんじつ

「郁」
抱き締める腕の力強さとは反対に、淡々とした声で名前を呼ばれる。
「郁」
「郁」
繰り返し名前だけを呼び続ける堂上の姿に、郁の中の怒りのボルテージが急速に萎まってゆく。
後に残るのは信じて貰えなかった哀しみ。
だけど繰り返し呼ばれる声音に、内側から滲み出るどうしようもない程に愛しいと言う感情。
「うう~、きょ、うかっ~」
泣きながら郁も堂上の身体に腕を回す。
「郁」
「否定、しないで」
「ああぁ」
「嫌いに、ならないで」
「ならない」
「信じて」
「ああぁ」
「私が好きなのは、堂上…っん」
これ以上の言葉は要らない。とでも言うように激しく唇を塞がれた。

「…うっ、ん、……あっ、あつっ、し、さっ…」
今までの穏やかな交わりが子供騙しだったかのように、激しい抱擁に意識と身体がついていかない。
「郁」
「郁」
繰り返し名前を呼ばれる声は、子供が親に縋り付く声にも似て…
涙で滲む視界に映った堂上の表情は、泣くのを我慢した子供のようで…
その反面
痛いほどの押さえつけられる腕の強さ
肌をさまよう手のひらの荒々しさ
でも手荒い訳ではないぬくもりとともに伝わってくるのは

図書隊一等でもない
厳しい教官でもない
頼りになる班長でもない
余裕のある年上の男の人でもない
ただの一人の男である『堂上篤』だった。

初めて余裕のない堂上を感じた。
でもそれが郁にはとても嬉しいと感じていた。
初めて触れ合った時から感じていた焦燥が薄れていく。

堂上は
年上だから
慣れているから
仕方ないと思っていた。

自分だけが
いつまでたっても
慣れなくて
焦っていて
置いてかれるように
感じていた。

でも今初めて
生身の『堂上篤』に触れて
自分と同じなんだ、
と頭より身体で実感した。

だから
自分も
臆病な
慣れてない
自分を曝け出しても
良いんだ…
と自覚した瞬間

「っあ、ああああああんん」

一際甘い喘ぎ声が上がった。
上げた郁自身驚いたが、関を切ったかのように声を抑えることが出来ない。

「ぅうんっ、まっ、まって!や、やぁああぁぁ!」
自身が制御出来ない不安になるなか
「郁」
耳元で囁かれた名前に、郁が視線を上げると、堂上が今まで見た中で一番嬉しそうな表情を浮かべ、唇に軽い口付けを繰り返してくれた。
その仕草に、郁はさらに身体の力を抜いた。

激しくなる律動
押えることのない声
自分の奥底から沸きあがってくる熱
何かがあふれ出したように感じた瞬間
郁の頭の中が真っ白になった。

薄れゆく意識の中で
郁は初めて堂上と一つになれた
と実感した。

肉体的よりも
精神的な意味合いで





◆けつまつ

水の流れる音にゆっくりと意識が浮上する。
目を開けると薄明かりの室内が見える。
自分は今何処にいるんだろうとぼんやりと郁が思っていると、ドアの開く音が聞こえ、堂上の姿が現れた。
「郁、気が付いたのか?」
「教官…、わ、たし……?」
まだぼんやりしている郁の髪を梳きながら、堂上がさらに声をかける。
「喉渇いてないか?水飲むか?」
堂上の言葉に頷く事で返事を返すと、ペットボトルを渡された。
一口口に含むと自分が酷く咽喉が渇いている事を思い出した。
一気に飲み干すと、苦笑した堂上が更にもう一本渡してくれた。
「…すまなかった」
ポツリと言われた言葉に、郁はびっくりして堂上に目を向けると、窓の外に目を向けながら酷く気まずい表情をしているのが見えた。
「辛くないか?……さっき手加減が出来なかったから」
言われた内容に郁は顔を熱くなるのを感じた。奇声を上げなかったのが奇跡かも知れない。
「えっと、その…大丈夫、です」
しどろもどろに返事を返すと酷く曖昧な表情が返される。
その表情が嫌で郁はさらに言葉を重ねた。
真面目で、責任感の強い人だから、今回の行為は少し不本意だったのだろう。
自戒を含めて触れてくれなくなるかもしれないと焦りを感じた。
だから大丈夫だと繰り返えす。
「本当に大丈夫です!私訓練受けてるしっ!
それに、その……、嬉しかった、から……」
言った瞬間真っ赤になったのがわかる。
何もそこまで言わなくてもいいじゃないか~私!と内心絶叫を上げてももう遅い。
「嬉しかったって、何がだ?郁」
驚いた表情でこちらを向く堂上を見て逃れられないと確信する。
でも、先程の嫌な表情でないから大丈夫かな?と恐る恐る口を開く。
「余裕のない堂上教官初めてだから…。いっつも私ばかり余裕ないかと思って。
今日、なんか、初めて堂上教官の側にいれたというか………」
「郁?」
「………とにかく、嬉しかったんです!!」
続きを促され、仕方なしに口を開くが、表情を見られたくなくてシーツに顔を埋めて叫ぶ。
ぶっ、という声と共に、ベットに振動が伝わってくる。
笑われているのがわかるが、一緒に頭に乗せられた手に酷く安心する自分を感じている。
やっと触ってくれた。

ご機嫌な様子で自分の手を取り、頬ずりする郁を見つめていた堂上は、ふと今回の切っ掛けを思いだす。
「なぁ、郁」
なんですか?といわんばかりの表情でこちらに視線を向ける郁に問いかける。
「だったら、何であんな行動してたんだ?」
あの行動の意味はなんだ?
言われた瞬間、郁が思いっきり目を開き硬直したのがわかる。
そして徐々に顔が赤くなっていくその様子を見ていたある瞬間、手を伸ばし腕の中に閉じ込めた。
「は、放してください」
咄嗟の判断だったが、正解だったようだ。
シーツを掴んで被られる処だった。一度ミノムシ状態になられると引きずり出すのが大変なのだ。
「お前なぁ~、今回の原因だったんだぞ?」
「そ、そうですけど、意味なんて…」
逃れようとする郁をさらに抱き締め、その耳もとで囁く。
「俺はずっと気になっていた。俺が側にいるのに。誰を思ってしてるのかって」
言われた内容に郁は大人しくなるが、絶対俺と目を合わせようとしない上、あ~とか、ううう、とか言葉にならないうめきを上げ、全身真っ赤になってる。
そんなに言いにくい事なのだろうか?
言うまで離さない。とばかりにさらに腕の中に閉じ込めると
「わ、笑いませんか?」
「何がだ?」
「絶対に!笑いませんか?」
「笑わない」
「怒りません、か?」
「………わかった」
一体どんな理由があると言うのか。
固唾を飲んで待ち続けていると………。


「…………堂上教官の匂い、を、感じてたんです」
そうすると安心するから……
と、聞こえるかどうかの小さい声で郁が呟く。
「なら、どうして俺が近寄ったら緊張するんだ?」
「……………………から」
「郁?」
小さすぎて聞こえなかったため問い直すと、開き直ったのか大きな声で繰り返された。
「だって、シャワー浴びた後って堂上教官の匂いがしないからっ!
………………緊張するんですぅ~う」
一気に言った後、空気が抜けたように小さくなって呟かれた内容に、唖然とするしかない。
しかも
「石鹸の匂いだと今からするってよけい意識してしちゃって落ち着かないんです」
などと言葉を続けられるとどうしろと?
言った後恥ずかしいのだろう、今だに逃げだそうとする郁の身体をベットに押さえつけ
表情を見ると真っ赤だ。その表情に堂上は真実だと確信する。
あまりの内容に力が抜け、堂上はそのまま郁の上に突っ伏した。
「教官?」
恐る恐る聞いてきた郁に、堂上は顔も上げずにため息と共に呟く。
「…お前は引っ越したばかりの家に不安がる犬か」
知らない匂いの家で落ち着かない犬を鎮める方法に、飼い主の臭いがする衣類などを一緒に置くと良いと聞いた事がある。まさにそのままじゃないか。
野性的だと思っていたが、よもやそこまでとは…。
「ちょっ、いくらなんでも酷いです!」
横できゃんきゃん郁が騒いでいるが構うものか!
口を塞ぐように口付けをすると、最初暴れていた郁は徐々に大人しくなった。
抵抗がなくなった段階で、堂上はようやく郁から離れた。
見下ろした郁の表情は、ものすごく納得いかないと言っているようだが、頬を染め潤んだ瞳が裏切っている。
「今度からいつも使ってる物を保ってくる……」
苦笑と共に提案した内容に、郁の表情が嬉しそうにゆるんでいくのがわかる。
そんな事で喜ぶな。と思うと共に、自分の側が一番安心すると言われた事にどうしようもない感情が胸の奥に灯る。
再び口付け、その身体に手をのばす。


郁にとって堂上の側が安心する場所。
でもそれは堂上にとっても同じ事。
今のようにそれぞれの部屋へ別れるのではなく
ずっと側にいる事を望んでいる自分がいる。
傍らで安心して眠っている郁の左手を手に取り、その甲に口付ける。
この想いを伝えてもいいだろうか?
一つの決意を胸に堂上は郁を抱きしめ眠りについた。


Fin







◆あとがき

ようやく終わりました。
着地地点はネタが浮かんだ当初のままですが、途中が紆余曲折しました。
堂上さんが動いてくれなくて、色々書いては書き直す事数回。
自分的には図書館戦争の最初の作品なのですが、感覚的には最後の作品のような感じです。(^^;
堂上さんの服に頬ずりする郁ちゃんの絵が浮かび、それに嫉妬する堂上さん
(過去ではなく現在の自分に嫉妬する)余裕のある姿ではなく、実物大の姿を見せて、それでも側に居たいと言う郁ちゃんの言葉で、堂上さんがプロポーズを決意する。
がコンセプトだったんですが、無茶苦茶長くなってしまいました。
最初の予定は2・3Pの予定だったんですが、なんでこんなに長くなったのか・・・。
多分自分の中の二人のイメージが一番出ている作品になったと思います。
少しでも楽しんで頂けると嬉しいです。 (S)






S様、ありがとうございました!私はこのお話が物凄く胸に沁みた。
下手な言葉では上手く現せない位に切なく、幸せになれました。 
たくさんの方にこの作品が届きますように byたね


21:00 寄贈品

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。