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朝のぷち☆連続ドラマ小説 『新しい日々への扉』 最終話

2008/09/18
おはようございます!

木曜日ですね。今日と明日頑張ったらお休みです!
月曜日お休みを入れた方は四連休なんて羨ましい方もいらっしゃるのでは?!

私は普通にカレンダーです。

今日も頑張ってお仕事しましょうね!!


さて、1ヶ月お付き合いいただきました、連載ドラマ小説もついに本日で最終回となりました。
本当にヤマもタニもないお話に1ヶ月もの間お付き合いをありがとうございました。

これだけかよ!!と叫ばれる終わりっぷりですがコレで終わりです。

読まないほうが楽しみが残るんじゃないのか?という気もしますが。
サラサラっと読んで、読み流してくださいね。


最後に素敵サプライズがあります!(サプライズっていうのかな?)



堂郁 年齢フリー 夫婦設定 テーマ:郁ちゃんの妊娠~出産をワンシーン方式?で

こういうテーマは苦手だって言う方はスルーしてくださいね。

これはあくまでもイメージ小説でありリアリティは追及していません。
そして基本苦情は受け付けません。



朝のぷち☆連続ドラマ小説 『新しい日々への扉』 最終話





クリスマスが近づき、街も大分賑やかになった。

テレビもクリスマス一色で、図書館にもサンタクロースやモミの木等のクリスマスの装飾に彩られる。
来年は、3人でクリスマスだなと、賑やかな飾りつけを眺めているとポケットで携帯が震えた。

着信を見ると、郁からだ。
慌てて館内を出て、携帯の通話ボタンを押した。


「もしもし?どうした?郁」

「解った!すぐに行く」

「いや・・しかしだな・・!」

「・・・解った・・。何かあったらすぐ連絡しろよ?終わったら行くから」

堂上は後ろ髪引かれる思いで、通話ボタンをオフにした。
きらびやかなクリスマスツリーを眺めながら、手にした携帯をきつく握り締めた。



「どうかした?」
突然の呼びかけに堂上の肩がピクリと揺れた。
振り返ると、一緒に館内巡回をしていた小牧だった。


「ああ、これから入院するらしい」
「早いね?」
「まだ予定日までは2週間くらいはあるからな・・・」
「行かなくていいの?」
「どうせすぐは生まれないから、終わってから来てくれだと」

すぐにでも飛んで行きたい気持ちだったが
郁がそう言うからには、仕事を放り出して行く訳には行かない。

小牧がクックッと笑いを堪えるのをジロリと睨んだ。

「なんだ!」
「いや、こういうときヤッパリ男のほうがオロオロするよね」
「当たり前だ。自分の事ならともかく!自分じゃどうしようもない事ばかりだからな」
「いや、参考になるよ」
「どうせお前もすぐだ。その時は俺が笑ってやるから覚えとけ」
「・・それはそれは。俺は堂上ほどうろたえないと思うけどね」

そう笑う小牧はいつもの笑顔だった。

今のうちに言っとけと言い捨てると、堂上は再び仕事用の顔に戻り歩き出した。


***

定時のチャイムが鳴ると共に堂上が席を立つ。

行動予定表に帰宅と明日の休みを書き込んでいると後ろからポンと肩を叩かれた。
振り返ると、副隊長の緒形だった。

「いよいよらしいな?」
「はい・・」
「まあ、今更慌てても仕方ないから、しっかり励ましてやれ」

『はい』と、頷こうとして、突然館内警報が鳴り響いた。

良化の襲撃を知らせる警報だ。
全員の顔が戦闘用に切り替わる。

お前は帰れと緒方に告げられたが堂上は首を振った。

更衣室に走り装備を整える。

本当なら今すぐにでも郁の元に走りたかった。

けれどそれは出来ない。
何故、今!と思わずにはいられなかったが『図書隊』である以上、その任務を放棄して走ることは出来ない。


郁、すまない!頑張ってくれ!と強く、強く心で祈る。


指示の出た位置に走りながら、堂上は全ての感情をシャットアウトした。


***


空が明るく白んだ頃、襲撃は終わった。

撤収していく良化隊員の姿と後始末に入る図書隊員の姿が入り乱れる。

早く、病院に行かなければと思うのに足が動かない。
呆然としていたらバシンと強く肩を叩かれた。

「堂上!なにボサっとしてる!さっさと行け!」

隊長の玄田だった。
その怒声に弾かれる様に堂上は敬礼をしてその場を全速力で後にした。

空気が凍っているのではなかと思う程に頬を掠める空気が痛い。吐き出す息が白い。
それなのに、不思議と寒さは感じなかった。

ただ、一刻も早く、その気持ちに突き動かされるかのように堂上は戦闘服のそのままで、病院まで走った。



ドロドロのまま飛び込んできた戦闘服姿の男に病院の看護師が怪訝な顔をする。

堂上が事情を話すと、一人の看護師がニコリと笑い病室を教えてくれた。
急ぎ足で教えられた病室に辿り着くとネームプレートには『堂上 郁』と書かれていた。

病室は個室だった、予定より早く出産を迎えた為、個室しか空いていなかったらしい。

軽くノックをしてそっとドアを開けると、ベッドに横たわる郁の姿があった。
布団のかけられているその腹部にあの膨らみはもうなかった。


静かに中に入ると郁がぼんやりと目を開く。
そしてこちらを見て笑った。

その笑顔に、無事な姿に、安堵する。


いつだったか、母親に出産は命がけだといわれて大げさだと渋い顔をすると
母親は至極真面目な顔で堂上を諭した。

今は医療技術が飛躍的に向上して、出産で命を落とす危険は
昔よりも格段に減ったけれど、それでもどうしようもできない事があるのが出産という行為だと。

『いのち』をこの世に送り出すという事はそれだけ大変で奇跡的なことなのだと。

甘やかな未来の想像ばかりをして、その前に訪れるだろう『出産』という行為を軽く見ていた自分を堂上は恥じた。

かといって、こればかりは堂上が交代する訳にはいかない。
せめて、郁がベストな状態で出産に臨めるように、本を読んだり母親に聞きながら
自分が出来る限りのサポートをしてきたつもりだった。


それでも、ずっと不安は消える事はなく、一日一日郁の様子を注意深く観察し
無事に成長しているという安堵ともうすぐその日が来るという不安が交互に押し寄せてきた。

この不安を郁に話す事等できる事もなく、ただ自分の中で静かに葛藤した。
安全な出産には、何よりも母体の心身が健やかでなければならないのだから。



無事に出産を終えた郁の姿に、張り詰めていた緊張が一気に解けていく。
一歩ずつゆっくりと郁へ向かって歩いた。

「遅い・・産まれちゃったよ」と僅かに頬を膨らませて笑う郁はいつもの郁だった。
「すまん。突然襲撃があって・・」
「ううん。いいの。お疲れ様、篤さん。怪我・・してない?」
「ああ。大丈夫だ。お前は・・・大丈夫か?」

郁が頷いてがそっと手を伸ばしてきたので、その手を取ろうと手を伸ばしかけて堂上は慌てて手を引っ込めた。

「なに?」
「すまん。まっすぐ来たからドロドロだ」

真っ黒になってしまっている手を、慌てて近くにある洗面台で丁寧に洗った。
そして今度こそ郁の伸ばされた手を握る。

「郁。すまなかった。一人にして。ついててやりたかったのに」
「ううん。大丈夫。篤さんが無事で良かった・・・。それに、あたしは一人じゃなかったよ」

そう笑う顔は酷く優しく強い『母親』のものだった。
いつだったか、緊急招集の戦闘の後に縋り付いて泣いていた郁はもうそこにはいなかった。
子供産むとこんなにも変わるものなのだろうか。

怒る事も泣く事もなく、微笑む郁の変化に堂上は驚いた。

そして、こいつも俺も『親』になったんだな――

まだ、誕生した我が子も見ていないのに自然とそう思えた。
それほどまでに郁を取り巻く雰囲気は穏やかで柔らかい物へと変わっていた。


「よく、頑張ってくれた。お疲れ様」
「頑張ったのはあたしだけじゃないよ、篤さんも赤ちゃんも皆で頑張った、そうでしょ?」

出産に駆けつけることが出来なかったのに、間に合わなかったのに、頑張ったと。
お前はそういってくれるのか?

堂上は思わずこみ上げてくるものを飲み込む。
まだ、それを吐き出すには早い。


「どっち・・だった?」聞きたくて堪らなかった言葉を息を飲みながら口にする。
「どっちだと思う?」

焦らすなと不機嫌な顔をすると、郁が笑った。
そして告げた性別に、堂上の頬が緩んだ。


「今は新生児室にいるから、行ってみてきて?」
「しかし・・・」
「あたしは大丈夫。とりあえず大人しくしてれば経過も良好みたいだから」
「・・・すぐ戻る。少しだけ待てるか?」
「うん。大丈夫。ゆっくり見てきて?そして、父親になった感想、聞かせて」

クスリと笑う郁の顔には疲労が透けて見えていた。
郁の手をギュっと強く握った。

これが最後の別れという訳でもないのに、今どうしても郁に伝えたい事があった。
けれどそれは子供を見てから、伝えたい。

堂上は足早に病室を後にした。


それほどの距離もないのに息が切れてしまうのは、興奮なのか緊張なのか。
辿りついた新生児室のガラスケースの向こうに並ぶ小さな小さな命の中に下げられた札を必死で探す。


そして、見つけた。


産まれたばかりの命の塊。


涙が溢れて――
止まらなかった。


あれが俺と郁の。
そう思うと心が震えた。

早まる胸の鼓動
心臓がきつく締め付けられるような感動


眠っている様子の我が子をガラスケースに張り付くようにして食い入るように見詰めていると
ふにゃりと小さな顔がゆがんだ。

その瞬間、小さな命が何かに反応するかのように大声で泣き始める。

響き渡るその声は生命力に溢れ、その輝きに圧倒された。
今、まさに夜の闇を抜けて空に輝き始める太陽のような眩しさがそこにあった――



何かを探るように動くその小さな手が求めているのは、郁なのだろうか。
すぐにでも側に寄って抱き上げたい。

けれど、今は新生児に近づけるような状態ではなかった。
しばらくすると担当らしき看護師が、子供を抱き上げる。

程なくして、我が子は眠りに落ちたようだった。
ホッと胸を撫で下ろしながらも、頬が緩むのは止められない。

すやすやと眠るとその姿を目に焼き付けてから、再び足早に病室に戻った。
静かにドアを開けると、郁が閉じていた瞼を開いた。

郁のキラキラと輝く瞳、その気持ちは聴かなくても解る。
たった一言で充分だった。

「みた?」
「みた」

二人で笑いながら――泣いた。

喉の奥に固まっていた嗚咽が零れ出る。
熱い、熱い想いを吐き出すように堂上は泣いた。


こんな気持ちになったのは初めてだった。

郁の手をきつく握り締めて搾り出すような声で一言だけ告げる。



――ありがとう




後は言葉にならなかった。
言いたい言葉はたくさんあった。


無事でよかった。

間に合わなくてすまない。

頑張ってくれてありがとう。



愛している。郁―――



けれど、どの言葉も自分の気持ちを伝えるに足りない。

『言葉に出来ない想い』がそこにあった。

気持ちは言葉にしないと伝わらないはずなのに、今
この瞬間に、言葉ほど無粋な物はなかった。


握った手の熱さが
震える指先が

堂上の想いを郁へ余すことなく伝えてくれている。
そう感じた。


ただ、手を繋いでいるだけなのに
肌を合わせている、心も身体も、繋がっている。

そんな、静かな時間だった。




どのくらいそうしていたか解らなかった。

永遠に止まってしまいそうな静かな時間を動かしたのは郁だった。

「名前、つけないとね」
「ああ、そうだな」
「篤さん、色々考えてくれてたんでしょ?」
「お前だって考えてただろうが」

お互いに、メモを書き散らすほどに男女それぞれの名前を考えた。
けれど顔を見ない我が子の名前を決めるのは難しく
生まれたら候補から選ぼうと決めていた。

「初めての子だし、篤さんがつけて?」
「しかし・・・お前だって色々考えただろ」
「いいの。変な名前ならちゃんと反対するから」

と笑われて、堂上は憮然とした顔をした
大事な大事な我が子に変な名前なんぞつけるわけあるか。

堂上は、先ほど見た我が子の顔を脳裏に思い浮かべる。
そして、ずっと考えていた一つの名前を告げた。

酷く単純なその名前を、郁は反対するかもしれないと思ったが
郁は目を丸くした後、ぴったりだねと笑った。

「いいのか?」
「凄くいい名前だよ。篤さんとあたしの――。ううん、みんなの想いがちゃんと集まってる」
「役所で出生届出しておくな」
「うん。お願いね」


酷く疲れた様子の郁に眠る様に促す。
その髪を優しくなでているとすぐに安らかな寝息が聞こえてきた。

人生で最大の仕事を無事に終えたのだ。
男には想像もつかない程に大変だったのに違いない。


無事に命を生み出してくれた郁にも無事に生まれてきてくれた我が子にも
ありがとうと、何度伝えても伝えきれない。



眠る郁を起こさないように堂上はそっとカーテンの隙間から外を眺めた。

澄み切った冬の空に綺麗な朝日が輝いていた。


人生でこんなにも嬉しく、こんなにも朝日が綺麗だと思えたのは初めてだった。
希望の光に満ちた朝日の眩しさに、堂上は目を細めた。






 ◆エピローグ◆




 あなたが笑うと嬉しくなる

 あなたが泣くと戸惑ってしまう

 あなたが幸福だと幸せになる


 嬉しい時も 悲しい時も 楽しい時も つらい時も





 どんな時でも、あなたと共にある――



   新しい日々への扉
                    愛しいすべてのものに 心から ありがとう











これで、堂上さんと郁ちゃんの新しい日々への扉は無事に開ききりました。
扉の向こうには新たな日々が眩しい朝日とともに待ち構えていると思います。

少しずつ、色んな方向に成長していく郁ちゃんの姿が私は大好きです。
この物語の中で、郁ちゃんに女性から母親という新しい一面を見つけてもらいました。

人の親になるというのはどんなことなのか、私にはまだ解りません。
この作品を読んでくださった方には、親である方もたくさんいらっしゃると思います。

そんな皆様から見ると、未熟な内容の作品に憤りを覚えられた方もいるかもしれません。
現実がこんなに綺麗な物語ではないのだろうという事も解っています。

子供を産んで育てる事は奇麗事ではすまないと思います。
可愛い時もあれば可愛くない時もあると思います。
経済的な問題も、それに付随する諸々の生活の基盤の苦悩があると。

でもそこには溢れる愛があると信じています。


『妊娠』『出産』というのは私にとっては人生の物語の大きな一コマの様に思えていたこのテーマは私が考えてた以上に繊細で重いものだという事を、掲載直前くらいで初めて実感しました。
色々、臆病っぷりが丸出しの連載で不愉快だった方もいらっしゃるかもしれません。

けれど、たくさんの人が普通に読める『オンライン』という場所の怖さ故を思ってお許し下さいね。

時々、ドキドキしながら、リアルな指摘に冷や汗をかきながらも、最後まで掲載する事ができました。
それもこのお話を読んで下さる皆様がいるからこそです。

人の土俵を借り切っている『二次創作』ではありますが
このお話を書くことで自分の周りの全ての大事な人達に心からの感謝の気持ちを思い返すことができました。

連載中、ためになるご指摘、温かい感想、優しい励まし、楽しい三次創作。
とても嬉しく、楽しい時間でした。

最後のこんな所まで読んでくださった、閲覧者の皆様に心からの感謝を贈ります。


『ありがとうございます』




◆Special Thanks◆

イラスト提供:cube様@SCRIBBLE

無理なお願いを快く聞いてくださった、cube様に心からの感謝を。





皆様の心に、小さな幸福の種が飛んでいきますように。


2008.09.18  幸福の花:たね
07:00 図書館SS(堂郁)

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