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バナナはお好き?

2014/12/30
感涙!!  LaLa版図書館戦争 本編最終回!!

祝!! 別冊連載予告ー!!

という訳で、おひさしぶりでございます!
気づけばメリーなクリスマスも過ぎてしまい、仕事が片付かないまま年末休みに突入のたねです。

いつもたくさんの拍手やメッセージ、メールで励ましを送っていただきまして本当にありがとうございます。
とてもとても嬉しく拝読させていただいております。
お返事がなかなかできないのですが、本当にとてもうれしいです。ありがとうございますm(__)m


先日はインフル情報をコメントしてくださった皆様!ありがとうございました。
打ってかからない日々を送っている、打たなくてもかからない日々を送っている
打ってるけど毎度かかる、かからない等やはり個人差が激しいということがよくわかりました~~。

なので、散々迷った末に、インフルワクチンは結局打ちませんでした(^^;;
どうなるかは春に解る、と思います(ちょ!)

とまあその辺は置いときまして、ついに!!ついに!!!
涙の最終回でしたが皆様お読みになられましたか!?

まだなんです。という方も単行本待ちですという方も今回限りはぜひぜひ雑誌の表紙だけでも本屋さんでチラ見してみてくださいませませ☆
個人的には保存用も一冊買っとこうかと思うほどですよーーーーーーーーーー!

名シーンコンテストも掲載されてますしね!!
「いい子だ、喋るな」もランクインしていてほっくほくです!

おっと、ネタバレになってしまうのでこの辺で畳んでおきますが教官のあの一言にもんどりうったのは、HENたねだけではなかったと信じております!!!

そしてあのどじょさんのセリフは読者のセリフでもありましたよね?!とか叫び隊ですww
来年は別冊分の連載も始まるということで今からホックホクで三月が待ち遠しいです~♪

実写映画第二弾も発表になっていて、再び図書館熱が再燃するといいな、とそっと祈っております。

さてさて、明日で2014年も終わりということで締めに全くふさわしくもないSSを一つそっと置いていきます~。

今年はちょっと大変なことがありと、しんどい場面があった一年ではありましたが
こうして再び、図書館戦争を愛する皆様と僅かながらですがブログを通してコミュニケーションできた事をとてもうれしく思っております。

来年はどのくらい更新できるのか定かではないのですが、またちょこちょこ面白いことを見つけたら書いていけたらいいなと思いますので。
来年もお気が向きましたらどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

すっかり忘れ去られレベルのブログを覗きに来てくださっている皆様に心から感謝を。

来年も、皆様にとって幸福な一年となりますように☆

どうぞ良い新年をお迎えくださいませ。


以下、本当にどうでもいいようなSSですのでお暇つぶしされたい方がいらっしゃったら☆

堂郁 恋人前 年齢フリー テーマ:バナナ☆





仕事が終わって部屋で飲む。
時には一人で、時には小牧と。
手塚が加わったり、先輩が乱入してきたりと寮生活にプライベートなんていうものは存在しない。

テレビのチャンネルを適当に回しても特別面白そうな番組もなかったので、テレビを消してリモコンをテーブルに戻す。
カラになりかけた缶ビールの缶を振って、もう一本開けるか迷っている。そんなタイミングだった。

ドンドン!とノックとは思えぬほどの破壊音のあとに、それはもう思い切りと言っていいくらいの勢いで堂上の部屋のドアが開いた。
突然の訪問などで、驚くような繊細な神経を持ち合わせていない堂上でも驚くくらいの爆音で。

「どぅじょ~~~う!飲もうぜ~~~!」

全開になったドアから入って来たのは、もうすでに完全に出来上がっている特殊部隊の先輩隊員二人だ。
堂上班になる前は同じ班だったこともあり、良く一緒に飲む先輩たちである。

「……。もうすでにしこたま飲んできたんじゃないですか」
「なんのなんのー。まだまだイケるぜぇ~」
「おうよ!俺らの酒袋はこんなもんじゃ収まらないからなぁ」

絵にかいたような酔っ払い姿で一升瓶片手に堂上の部屋にずかずかと上がり込んできた先輩隊員二人は勝手知ったる様子で
テーブルの前に座った。

開けっ放しにされてしまったドアを閉めるべく、堂上はため息交じりに立ち上がる。
「あれ。今日は賑やかだね」
「お前もか。小牧」
「今日あんまり面白い番組もやってないし。久しぶりに堂上とどうかなと思ったんだけど」

苦笑いして立ち去ろうとする小牧の首を堂上はがっちりとホールドした。
酔っ払い相手には頭数がいた方が断然楽なのだ。

「ちょうどいい。お前も飲んでけ」
「いやー。出直すよ?」
「いや。むしろ今飲んでいけ」

引きずり込む形で小牧を誘いこむ。決して広いとは言えない部屋が一気に狭まった。

「おう。小牧か。ちょうどよかったな。ホラ。飲め!堂上、グラスとかカップとか出せ」

言われるままに、人数分のグラスを用意すると先輩隊員がなみなみと日本酒をついだ。

意外にもいい酒だったので、ラッキーと言えばラッキーだったが、隣近所からの苦情が出る前に潰れてもらわねば困る。
ほどほどに口を付けつつ、ありったけのつまみとビール等をテーブルに並べた。

「そういえば。堂上~お前笠原とどうなってんだぁ?」
「……別にどうともなってません」

どうともなれるものなら、なりたいものだ。
――が、どこをどうすればそうなれるのか相手が相手なだけに攻めあぐねているという状態なのである。

「お前、笠原があんだけアッピールしてるのにそりゃねぇだろぉ」
「……アピール?何の?」

どうやら堂上の知らない所で何か話題になっている話があるらしい――が、皆目見当もつかない。
素知らぬふりでちびちび日本酒を傾けている小牧に視線をやると、何か知っているような微妙な笑みを返されて堂上は眉間の皺を深めた。

「笠原も報われねぇなぁ」

いや、報われてないのはむしろこっちではないのか?と思いつつもそこはもちろん口には出さない。

「単刀直入にお願いします」
「バナナだよ!バナナ!」

あまりにも予想外すぎる単語に思わず「は?」と気の抜けた返事を返した堂上に、先輩たち二人がなぜか笑い転げた。

「バナナ?」

確かに最近、郁が良くバナナを食べているのは知っている。
教官もどうですか?と声を掛けられたこともある。

――が、だから何だというのだろう。
単なるバナナブームなだけとしか思えない。

「お前、女がバナナをあんだけ執拗に男の前で食ってたら、なあ?」
「そうそう。あなたのバナナが欲しいわぁ~ん♪っていうアピールだろ!アピール!」

クネクネと身体をしならせながら、しなだれかかってくる先輩を押し返す。

「……んな訳ないでしょうが!」
「いーや。笠原だって年相応の女だからなぁ」

それはそうだろうが、だからと言ってそんなアピールしてくるような女だったら事態はこんなに膠着する訳がない。
しかも朝昼構わず食べているバナナがそんなアピールだったとしたら、アホか!仕事をしろ!仕事を!と怒鳴りたくなるだろう。
まあそれは1000%あり得ないけれど。

「酔っ払いのたわごとは自室に帰って寝てから言ってください」
「お前そんなこと言ってると、他の誰かが笠原にバナナやっちまうぞ」

いつもなら聞き流す酔っ払い&先輩の戯言とはいえ、思わずこめかみがひくついてしまうのは、郁に対する下世話な妄想だからに他ならない。
まだこの話題が続いたら、手が出ていたかもしれないという絶妙なタイミングで幕を引いてくれたのは堂上が無理やり引っ張りこんだ小牧だった。

「そういえば、堂上。すっかり忘れてたんだけど――隊長が連絡よこせって言ってたよ」

もちろんそれが、単なる口実であることはすぐにわかった。
用があれば時間も場所もお構いなしで突撃してくるのが玄田という人物だからだ。

――が、酔っ払いの先輩隊員二人は当然そこまで頭が回らないようで、玄田の名前がでるなりいそいそと立ち上がる。
面倒事に巻き込まれる可能性が高いというくらいの防衛本能はしっかり残っているらしい。

「そろそろ眠くなってきたから戻っとくわー。またなーどうじょー」
「おじゃまさまー」

嵐のように来て嵐のように去っていた先輩隊員二人を見送って、堂上は思い切りため息をついた。

「……すまん。助かった」
「久しぶりになかなかの悪酔いだったね」
「しかし。なんなんだ。たかがバナナで」

堂上の一言で小牧がフッっと何かを思い出したように吹き出した。
「でも、確かに笠原さんの最近のバナナぶりは目につくよね」
「……まあ確かによく食ってるなとは思っていたが」

そんなくだらない噂話が広まるような内容では全くない。
よほどヒマだということだろうか。

もちろん図書隊が平和だというのは、大変良いことだけれど。

「欲求不満女子にされてるなんて本人は夢にも思ってないだろうな」
「そりゃそうだろう。普通思わん」
「まあ、でもこういう感じになっちゃってるんだったら事情はよくわからないけど少しそれとなく言ってあげた方がいいんじゃない?」
「俺がか?」
「班長でしょ」

確かに部下の不本意な噂話が広がっているならフォローするのも班長の務めなのかもしれない。
もしれないけれど――

「バナナだぞ?」
「バナナだけどねぇ」
「……せめて部屋で食ってこい、とかか?」

なんともあほらしい話ではあるが、本人が全く気付いていないなら何事か起こらない内に忠告してやるとしたものだろう。

「全く――たかがバナナで周りを騒がせるあたり、あいつらしいというかなんというか」
「本人には別に落ち度はないと思うけどね。注目の紅一点なだけに、ってとこかな」

さて、どうしたもんかと堂上は残りの日本酒を飲みほした。



***


もしかしたらそろそろ飽きる頃かもしれないと思い3日様子を見た。
――が、どうやら郁のバナナ熱はまだまだ冷めないらしい。

職場で注意するのは簡単だが、ギャラリーが注目しているだけに色々と騒がしくなると面倒なのだ。
もしかしたら郁の方にも主張があるかもしれないので、やはりそこは落ち着いて話を聞ける場所を選ぶべきだろう。

となると、基地外の方が都合がいい。

「……笠原」
「あ、はい」
「――その、今夜時間あるか?」
「へ?こ、今夜ですか?えと――あたしなにかミスとか」
「お前は予定を聞かれたらイコールミスなのか」
「いや、教官怒ってるみたいだったから」

言われて、眉間に知らず知らず力が入っていた事に気付く。
単なる緊張というか、躊躇いが形になっただけのものだったけれど、郁から見れば怒っているように見えてしまうのだろう。

「あー。なんだ。ちょっと話したいことがある」
「話――ですか」
「予定があるなら別のタイミングでもいいんだが」
「いえっ。全然!大丈夫ですっ」

郁がやたらと嬉しそうに頬を染めるので思わず、本題を忘れてしまいそうになり堂上は慌てて頭を振った。

「なら、今夜ちょっと付き合え」
「了解です!」

目に見えてウキウキしている郁に、まさかのバナナについてを聞かねばならぬというが本当に気が重い。
――が、せっかくなのでたまには少しいい店で食事をするというのは願ってもない機会と言えるだろう。

隣で苦笑いしている小牧を無視して、堂上は定時が来るまでの間、脳内から【バナナの件】を無理やりに追い出した。



業後、郁を伴って訪れたのはいわゆる【ちょっといい店】だった。

「ここ、来てみたかったんです!創作和食ってどんなのかな~って思ってて」
「そうか――なら良かった」
「しかも個室なんですね?」
「ここは全室個室なんだと。まあちょっと落ち着いて話すときにはいい店だぞ」

郁が目に見えて緊張しているのが分かり、堂上もまたこれからする話題が話題なだけにちょっと洒落た店にしすぎたかと一瞬後悔した。
もっとさらっと雑談風に言えばよかったかもしれないと頭の片隅では思いはしたものの
郁と食事という滅多にない機会を作りたい欲望に負けてしまったというのが本音である。

まずは運ばれてきた飲み物で乾杯をする。
堂上はビール、郁は梅酒だ。

「で、あの――教官お話っていうのは」
「……あー。それなんだが」
「はい」
「その、なんていうんだ。お前、バナナ好きなのか?」
「は?!」

郁が目玉が落ちそうなほどに目を見開く。それはそうだろう。
突然呼び出されていきなり「バナナ好きなのか?」なんて聞かれれば、「は?!」となるのが普通の反応だろう。

「最近、バナナよく食べてるだろう」
「えっと。ハイ。まあ、そう――ですね」

それがなにか?と言わんばかりの表情に、本当にそうだよなと内心思いつつも堂上は言葉をつづけた。

「そのバナナなんだが、ちょっと今――アホな連中の間で噂になっててな」
「噂――ですか?」
「まあ内容はろくでもないもんだから知る必要もないんだが、なにかバナナを食べまくる事情があるのか?」

自分で聞いていてあほらしくなる。
なるがここまできたら聞いてしまうしかない。
「いえ、別に美味しいから」と言われて終わりになりそうな気がしていた堂上の予想とは違い、郁が突然顔を赤らめてキョロキョロと視線を彷徨わせる。

「うー。えっと」
「なんだ。何か事情があるなら言え」
「この間――その。テレビを見ていてダイエットに効果的~っとかってやっていたんですよね」

あまりにも思いがけない単語に今度は堂上が目を剥く番だ。

「ダイエット?」
「ハイ」
「お前が?」
「いや、あの――ダイエットが目的って訳じゃないんですけど」
「それはそうだろ。お前のどこに減らすほど肉がついてるんだ」

ポロリとこぼれた本音に、郁の目がキラリと光る。

「ついてないからです!」
「……何がだ?」
「肉がですよ!」
「……言っている意味が全く解らん」
「だから!欲しいとこにもつかないです!肉!」
「肉が欲しいところがあるのか?」

贅肉が欲しいなど聞いたこともない。
むしろ女ならば少しでも贅肉を減らしたいと思うものではないのだろうか。
もちろん鍛えまくっている郁には減らせる贅肉などほとんどないのは明らかだけれど。

「バナナたべると、あるとこが育つっていうかおっきくなることもあるってやってて」
「あるとこ?」

もにゃもにゃと何かをしゃべっているが良く聞こえず、「聞こえん」と促すと郁が観念したように口を開いた。

「胸ですよ!胸!バナナを食べると胸が育つらしいんですよ!」

郁の顔が真っ赤に染まっているのは、もちろんアルコールのせいだけではないだろう。
つまり、テレビ番組でバナナを食べると胸が大きくなるという話を見て、噂になっているとも知らずにバナナを食べまくっていた――という事らしい。

「……笠原」
「わ、解ってます!無駄な努力だって解ってますけど!」
「いや。無駄かどうかは解らんが」
「どうせバカです!」

ちょっと瞳を潤ませながら、そんなことを言われては「アホか!」と怒鳴る訳にもいかない。
もちろん、そんなつもりは全くなかったけれど。

「まあ、気持ちは解らんでもないが」
「へ?」
「その――なんだ。テレビだの雑誌だのは相当都合よく紹介してるしな。俺にも覚えがない訳じゃない」

あと数センチだけでも背が伸びないかと、牛乳を飲みまくった事もあればグングンノビール!なんていう
怪しげな深夜通販のサプリも思わず購入した事は墓場まで持っていくつもりの秘密だ。

「教官も?」
「誰にでも多少は覚えがあるもんじゃないのか」
「えっと――あ、ありがとうございます?」

予想と違った回答に戸惑っているらしい。
落ち着きがなくなった郁に、堂上は本題を切り出した。

「お前のバナナブームの理由は解った。解ったが、もう少し人目のないところでできないのか」
「人目、ですか?」
「お前が所構わずバナナを食いまくっている事が――噂になってる」
「噂?」

やはり全くもって初耳らしい郁が不思議そうに首を傾げた。
「バナナ食べ過ぎっていう話ですか?」
「まあ、それはそうなんだが。お前にとっても不本意なあほらしい噂が立ってる」
「はあ……」
「詳細はあまりにも下らんから控えるが、食うなら部屋で食ってくるなりしてせめて男連中の前でやたらと食うのはやめておけ」

腑に落ちない様子で、郁が唇を尖らせる。
それはそうだろう、どんな噂かも解らないのにとにかくバナナはこっそり食えと言われてハイと頷ける訳がない。
堂上が逆の立場でも、詳しく説明しろと迫るだろう。

「あたしがバナナを食べると誰かに迷惑ってことですか?」
「誰かに迷惑というか、お前が迷惑を被るというのが正解だな」
「あたしが?」

少しの間何かを考えている様子の郁が、降参と言わんばかりに堂上を見つめてきた。
正直に話すべきか否か、迷って結局堂上は小さなため息と共に覚悟を決めた。

「女がバナナをやたらと食ってるのは欲求不満の現れただとかなんとかいう話だ」
「欲求?」
「……つまり。なんだ――男を誘ってるんじゃないかとかいう下らん根も葉もない噂だ」
「さそ……?」

きょとんとしていた郁の目が驚きで見開かれる。
いくら疎いとはいっても子供ではないのだから意味は理解できたらしい。

郁が勢いよく立ち上がり、その拍子にグラスの梅酒が倒れて洋服にかかった。
「うわっ!」
「大丈夫か?ほら、おしぼり」
「あ、す――すみません」

受け取り損ねて落ちたおしぼりを、郁が慌てて拾い上げて濡れてしまった服を軽く叩く。
何度か叩いてから、ゆっくりと顔を上げた。

耳まで真っ赤にして。


「笠原?」
「あの――今日のお誘いって、もしかしてソレなんですか?」

一瞬何のことか解らず首を傾げそうになって、堂上は思い切り眉間の皺を深めた。
「んなわけあるか!どアホウ!」
「だ、だって!男の人にとっては誘ってる風に見えてて、それで――教官が誘ってくれて」
「真逆だ!真逆!そういう風になる前に忠告するために誘ったんだろうが!」

部下の為を思って――というのは建前ではあるけれど、もちろんそれも本心だ。

「だいたい本当にソレが目的ならわざわざコトの前にネタをばらすバカがどこにいる!」
「あ、そっか。そう――ですよね」
「メシに誘ったのは、単に」

一緒に時間を過ごしたかっただけだ――。

寸前まで出かかった言葉を無理やり飲みこんでなんとかそれらしい言葉をつなげる。

「こういう機会でもないと、なかなかお前とはプライベートな時間は持ちにくいだろう。手塚や小牧とは部屋でよく飲んだりしてるけどお前は来られないしな」
「プライベート」
「主旨は多少アレかもしれんが、業務時間外なんだから明らかにプライベートだろうが」

少し落ち着いたのか郁がストンと椅子に腰を下ろしたので、堂上も一端席に戻った。

「えっと、あの。すみませんでした。まさかバナナ食べてくらいで変な噂とか考えもしなかったんで」
「それはそうだろう。噂している連中の脳みそがおかしいだけだ」
「最初は部屋で食べてたんですけど。柴崎がバナナ臭いって怒るから」
「まあ――なんだ。お前の努力したい気持ちは解るが、ほどほどにしておけ」

同室なのが自分ならばバナナくらい自由に食えと言ってやれるが、柴崎が迷惑だと言ってるのであれば
そこは適度に折り合いをつけてもらうしかない。

「バナナはもうやめときます。しばらく食べてみたけど全然育たないし。ほんっとバカですよね。かえって教官に迷惑とかかけて」
「別に大した迷惑を被った訳じゃない。それに、アレだ。自分で気になる部分を良くしたいと思って努力するのは悪いことじゃないだろ」
「教官――」
「自分では色々気になったりすることもあるのかもしれんが、そのままのお前がいいっていうヤツもいるってことは覚えとけ」
「へ?!ど、どこにですか!!」

目の前にいるぞ。という言葉を口にはだせず「さあ、どこだろうな」と適当に濁すと郁が思いきり頬を膨らませた。
丁度そこに、タイミングよく注文していた食事が届いた。
彩も綺麗な料理の数々に、郁の表情が途端に明るくなる。

「美味しそう!」
「美味そうだな」

同時に声に出して顔を見合わせて笑う。

「冷めない内に食うか」
「ですね!」

いったっだきまーす!と郁が勢いよく両手を合わせて、箸を伸ばす。
一口頬張って、郁の顔が綻んだ。

「美味しいです!」
「せっかくだ、今日は思い切り食って帰るぞ」
「あたしの全力はすごいですよ」

不敵な笑みを浮かべる郁に堂上もまた唇の端を引き上げた。

「ほお。なら、勝負といくか。そうだな。負けた方が勝った方を背負って帰る――でどうだ?」
「のぞむところです!」

ドンと胸をたたいた郁がスッと箸を構える。
堂上もそれに倣った。



***


「うぅ~ん。も、ムリ――」


もにょもにょとはっきりしない口調で呟く郁を背中に背負い、堂上はゆっくりと歩く。
勝負は僅差で堂上の勝ちではあった。
とはいっても限界は軽く突破してしまったけれど。

「食いすぎだろ、まったく」

笑い交じりの呟きに答えるのは静かな寝息だ。
もうお互いギブだろうという頃合いに、それは起こった。

アルコールの入ったグラスを郁が間違えて一気飲みしたのである。
自分で提案したものの、郁に背負われて帰るというのは流石にみっともなさすぎると思っていた堂上としては結果オーライと言えるだろう。

タクシーを呼んで帰るという手も考えたけれど、郁を背負って歩くという至福のチャンスを棒に振るのも勿体ないので今に至っている。

澄んだ空に浮かぶ細い月を見上げて堂上は一度足を止め、ずり落ちてきた郁の身体を背負い直す。

背中に感じる柔らかで温かい膨らみに口元を緩ませる。

「バナナなんか食わなくても充分だと思うがな」

起きていたら余計なお世話だと怒られそうな呟きは、白い吐息と共に静かに消えた。
もうしばらくこうしていたい気持ちはあるけれど、郁に風邪をひかせる訳にはいかない。

再び歩き出すと、郁がひそりと呟いた。

「きょーかん。また、一緒にゴハン――食べましょう、ね……」

寝言とはいえ、嬉しい誘いに思わず頬が緩む。
聞こえてはいないだろうと解っていたけれど、思わず本音が零れた。


「……そうだな。何度でも、どこへでも」




fin.






という訳で、バナナをむさぼる郁ちゃん騒動でしたww

先日、バナナダイエットのテレビを見ていて胸が大きくなった!!なんてやってたんですよー。
それでふと思い浮かんで郁ちゃんもこの番組見たら絶対試すと思う!!!とww

ちなみに私もバナナダイエット実践中ですー。
産後ものすごく太ってしまい、実の親にまで「ただのデブ」と言われてしまったらもう!!
いくらなんでもヤバイ!!と思いまして(T0T)

バナナダイエット初めて2か月くらい?ですがやっとこさ2キロ痩せました。
バナナのおかげなのかは正直解らないのですが、カロリー気にするのは大事ですね(^^;;

あと大好きなメロンパン封印してるのも大きいのかナ。
メロンパンてすごいハイカロリーなんですね~。ビックリでした。
【メロンパンの皮焼いちゃいました】もすっごくたべてみたいけれど、あの小さなビスケット状のアイテムだけで
300キロカロリー越えと思うと、恐ろしくてまだ食べられていません(==)

おっと話がずれずれでしたが、という訳で郁ちゃんにもバナナ食べてもらいました☆というお話でした。

アハハと思われたらポチポチっと押して言ってやってください☆
次回へのエネルギーに変えさせていただきますので♪

では、今回はこのあたりで☆
最後まで読んでいただきありがとうございました~。
14:45 図書館SS(堂郁)