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【寄贈品】誰よりも先に

2011/11/27
おはようございます!

いつもご訪問、拍手、コメントをありがとうございます~。
少しずつフカフカと浮上し始めているたねの元に、とある方から素敵な贈り物が!!

なんとっ、初の図書館SSとの事!
これは皆様と分かち合わなくては!!と言う事で早速掲載許可を頂きました♪

鯛枝朗様!ありがとうございます!!


一言残して言って頂ければ、お伝えさせて頂きますのでどうぞよろしくお願い致します♪
と言うわけで、あの日の郁ちゃんとどじょさんにターイムスリーーーッポ★





「―――風邪うつすかもしれないけど、いいな」
そう囁かれたかと思うと、抱き寄せられ、唇に柔らかくて温かいものが触れた…


「はぁーっ… 」 思わず溜息が出てしまう。
もう残っているはずのないその熱なのに、思い出すたび、触れ合ったその場所に温かさがありありと甦ってくるような気がする。
生まれて初めてのキス…
教官にしてもらったのが本物のキスだったら、あたしがしたのはキスっていうよりぶつけただけってカンジだったもの。
だから、あれはノーカンでいいよねぇ。
キスって、あんなふうに優しくて柔らかくて、身体も心も溶けちゃうような気分になるもんなんだなぁ… 知らなかった…

ダメダーーー あたしったら仕事中に何考えてんだっ!
仕事!仕事しなきゃっ…

訓練日で体を動かしているならともかく、事務作業日だとついつい昨日の堂上とのことが頭に浮かんで、作業がちっとも進まない。
いつもの倍以上の時間をかけているのに、まだ半分も終わっていないのだ。
改めて処理画面に向き、「よし!」と気合を入れ直して入力作業に取り掛かる。

だめだめっ!こんなことでは、また堂上教官から拳骨食らっちゃう。
教官が入院中に事務作業の能力あげられるように頑張んなきゃっ!
復帰したときに『ポン』してもらえるくらいに…

あー、でも、あんなに近くで教官の顔見たの初めてだったな。
しかも、蕩けるような甘い表情で…
いつも眉間にしわ寄せてばっかなのに、あんな笑顔もするんだぁ…
あんな優しい笑顔… 反則技並みにかっこいい…

だーーーーっっ!! だからー、今そんなこと考えてる場合じゃないんだってばっ。
雑念! どっか行け雑念!

気持ちを入れ替えて始めた作業のはずなのに、いつの間にやらまた堂上のことを考えてしまい手が止まっていた。
無限ループのように襲い掛かる雑念を振り払うべく、郁は力強く頭を振った。


「―――おまえ、さっきから何やってんだ。」
突然、隣の席の手塚から声を掛けられ、郁は飛び上がらんばかりに驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
「べべべべべべ別にー!! ななななな何でもないけどっ!」
い、今の見られてた? あたし、よもや口に出したりはしてなかったよね?
平静を保とうとしたけれど、明らかに動揺してしまった。

「おまえアホかっ! 朝からずっとおかしいだろが。
ぼーっとして溜息ついてたかと思うと頭ブンブン振り回したり、またぼーっとしたり。」
頭振って溜息ついたら、そうでなくても無い脳ミソが溶けて出て行ってんじゃないか?
と手塚の突っ込みは相変わらず手厳しい。
「ちょっ! 無い脳ミソって! ちゃんと自分の分の書類くらい、あたしだってすぐ片付けられるわよ! あんたには関係ない! ほっといてよねっ!」
「何だ その言種はっ! なら、ぐずぐずしてないでさっさとやれよ!
おまえが残した分は俺に回ってくんだよっ! だいたい、さっき『すぐやる』って言ってたろうが!」
「――― っき・す…ぐやるって…」
ぼふんと爆発音がしたかのような勢いで郁は一気に顔が熱くなった。

「アハハハハハハハハー! もう駄目だー。 ハーハハハハ! 笑い死しそう…
笠原さん、解りやすすぎ…」
斜め前に座る小牧が突如として、史上最大級の上戸を爆発させた。
困惑した手塚と真っ赤になった郁の前で、小牧はひーひーと体を捩りながら腹筋がつるまで笑い続けた。


◇◆◇


コンコン―――
控えめなノックと共に顔を出したのは、待ち人ではなかった。
「ごめんねー俺で。」
期待した心が一瞬しぼんだが、表情には出さず取り繕えたはずだ。
爽やかな笑顔で病室に入ってきた小牧に「おう… どうした」と少し怪訝な思いで問う。
堂上班の公休日は昨日だったので、今日は勤務日。確かシフトによると事務作業日のはず。
しかも、面会時間ギリギリ。何かあったのかと心配して当然だ。

「別になんでもないよ。 何も無くても班長のお見舞いくらい来たっていいでしょ。」
はいコレお見舞い。とレジ袋ごと持ってきたものを渡される。
「いつもすまんな。別に何も持ってきてくれなくてもいいんだぞ。」
袋の中を覗くと、一口大にカットされてプラスティックパックに入ったすいかだった。

大人になってからはあまり食べる機会は無かったが、子供の頃は大好きで、夏になるとしょっちゅう食べていた記憶がある。
口のまわりから手やらシャツやらテーブル周りまでべとべとにして必死で食べた。
「すいかか。懐かしいな。」
「でしょ? 俺も売ってるの見たら、急にさっきすいかが懐かしくなっちゃってさ。」
流石に病室に丸ごとは持ってこれないからね。どうする?冷蔵庫に入れとく?
小牧の言葉に思わず動揺して、パックのすいかを落としそうになった。

取り敢えず冷蔵庫に入れておいてもらい、代わりに缶コーヒーをふたつ出してもらう。
病院だから、缶は缶でもこれで我慢してくれ。とひとつを受け取り、動揺を鎮めるようにゴクゴクと飲んだ。


「そうーいえばさー。防衛部の同期の奴らが堂上の事心配してて、転院したら見舞いに行くって言ってたよ。」
「なんだ? そんなの気にしなくていいって伝えてくれ。」
特殊部隊のみならず防衛部も戦闘職種であるが為、誰かが負傷入院するのは残念ながら日常茶飯事だ。ほぼ常に誰かが入院しているような職業で、いちいち『お見舞い』なんてしていたら時間的にも懐的にも忙しくて大変だ。
で、同期の誰たちなんだ? 話題が変わったことで、なんとか落ち着きを取り戻して尋ねることができた。
「んー? ええっと… 岡崎・杉崎・鈴木・須山… あと誰だったか忘れた。」

っんげほっげっ!… 飲みかけていたコーヒーで咽る。
噴出してベッドを汚さなかったのは、褒めて欲しいくらいだ。

意味ありげな笑みを浮かべつつ「何してるの。堂上ったら。」と言う小牧に向かって、厳しい表情で睨み返す。
「おまえ… さっきから何が言いたい。」
「何って、普通の会話でしょ。」
「じゃぁ聞くが、その意味ありげなイントネーションは何なんだ。」

さっぱり解らないよと、にこやかな表情の裏にからかいが含まれていることは、長年の付き合いでこそ読み取ることができる。
だいたい『さっキスイカガ懐かしく…』だの、『おかざキスぎさキスずキスやま…』などと妙なイントネーションで喋るのは、既にばれていることを暗に匂わせるために決まっている。

どう切り出したものかと考えあぐねていると、小牧は小さく吹き出しながら「ごめん もう降参。」と両の手のひらをこちらに向けた。
「んー。笠原さんがさぁ…」
「!い…笠原が何かしたのか?!」
つい、ガバリと背当てにしていた枕から身を乗り出してしまったが、慌てて元に戻る。
小牧は目を丸くして拳を口元に当てながら、堂上解りやすすぎ…と肩を震わせて笑いを堪えようとしたが、案の定無理な話で…
「ぶぶっ… 堂上… いくらなんでも、もう名前呼びって… くくく… で、やっぱりそういうことなの?」
自分でも顔が赤くなったことが解ったので、ぷいと顔を背けて「おまえ、敏感すぎだろ」と呟くように答えた。

深呼吸を3つほどしてから、笑い続ける小牧に向き直り、お前にだけは言っておくと、前置きをしてから「つまりは、そういうわけだ。」と告げた。
まだ笑われるのかと思いきや「おめでとう。ホントよかったね。」と、小牧は急に真摯な顔つきで答えた。
「俺さ、誰よりも先にそれが言いたくて、今日来たんだよね。」

8年前に出会い、4年前に再会して(尤も、むこうは全く顔を覚えてはいなかったが)、多くの偶然が(一部作為もありはしたが)重なって、ようやく辿り着いた。
その間の葛藤する自分の姿をずっと見てきたこの友人は、臆面もなくそう言ってのける。
そういうところが、こいつには敵わないと感じさせられるところのひとつだ。
「ああ、ありがとな。俺も、お前に最初に伝えたかった。」
そう素直に言える自分自身も、少しは変化したのだろうか。

「ま、これから… ってことだけどな。」
「そ。これから恋人としてのふたりが、始まるんだよね。」
上官と部下ではない、彼と彼女としての時間が始まる。
かつて『恋人』といわれる女性と過ごした時間も、人並みに経験はある。
当たり前のことだが、そのどれもが同じであったことは一度も無い。
郁と過ごす時間はどんなふうになっていくのだろうか。
今は、誰にも解りはしない。
掴んだものを自分から手放す気は毛頭無いけれど、どんな未来が待っているのだろうか。
が、願わくば笑顔のあいつが、ずっとこの手の中にあり続けて欲しい。
大切な大切な宝石だから。この手の中で輝き続けて欲しい。
そう思うと、胸の奥がほんのり温かくなった。



「ところで、なんでおまえにすぐ解った? まさか笠原から報告されたとか…」
ふと思い出したので、改めて尋ねてみる。
「んー。笠原さんがさぁ…」
先ほどの言葉に戻って、小牧は今朝からの郁の挙動不審っぷりを話し始めた。
ホント笠原さんのダダ漏れっぷりには参るよ。と言いつつ、手塚とのやり取りに至っては、思い出すだけで上戸を炸裂させ、目に涙を浮かべながら、あー腹痛ぇ… と息も絶え絶えだ。

小牧が帰ったら、すぐに電話を架けて釘を刺さなければならない。
しかし、どのように切り出せば、あの郁を落ち着かせることができるのか、早速思い悩む羽目になったことは言うまでもない。





END








ENDだけどENDじゃなぁぁぁぁあああい!と叫びたくなっちゃう甘い甘い始まりの物語ですねっ。
あんなちゅーされちゃったらもう!郁ちゃんはそりゃ翌日業務どころじゃないですよねぇ。

絶対、手帳に何やら可愛らしいマークをつけたりして教官と初めて――。
なーんてカウントしてたりして。

これからはもっとマメに顔見せろとか言われても、きっとまたチューくらいはするよね?と出発前に激しく歯磨きしている郁ちゃんが脳裏にふわふわと浮かんでおりますとも。
もちろん堂上さんもまた(微笑)

今日は郁が来る日か(←既に当たり前のように郁呼ばわり♪)
さっき磨いたがもう一回磨いておくか?なんつって。

備品補充のチェックをしてくれた小牧さんに「最近堂上歯磨き粉の減りが早くない?」なんて突っ込まれたりして、な!
そんでもって答えてないのに、「ああ、そういうことか。そうだよねぇ。なんだったらアレも買ってこようか?」とか言われて「病院でそんな事出来る訳ないだろうが!余計な世話だ!」とか言っちゃって。
「アレって、マウスウォッシュの事だったんだけど、堂上何だと思ったのさ?っていうか病院でナニするつもり?!」

なーんて大爆笑されてしまったりな。

ああ、広がる~。

鯛枝朗様、めくるめく甘酸っぱな世界をありがとうございました!!
07:00 寄贈品

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