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も・し・も =エピソード8 奥多摩特別訓練編= Ver.堂上 後編

2008/06/30
おはようございます。

またしても月曜日ですねぇ・・・・・・。
また一週間ガンバリましょう!

今日で六月も最後の日ですね!
明日から私の大好きな某ステキサイト様で30日連続更新が始まります。
もうずっと楽しみにしていたのでワックワクです!



堂郁 年齢フリー 恋人前 もしも当麻事件がなかったら。なぜかの奥多摩特別訓練編 ver.堂上 後編!
このお話は時系列的にエピソード8 水族館の後です。


イメージ壊れたよ!という苦情は受け付けませんよ~




眩しさに目を開けると朝だった。
隣ではスヤスヤと気持ち良さそうに郁が寝込んでいる。

まずは起こさないようにテントを出て着替えをする。
一通り支度が済んでから、テントに戻ったが
まだ暢気にムニャムニャと眠っている笠原の頭をそっと撫でた。

起きる気配がない。このまま寝顔を堪能していたいのは山々だが
あまり遅くなると、進行に影響が出る。
残念だが、気持ちを抑えて笠原をたたき起こした。

「ほら!さっさと起きて支度しろ!」
「ギャァ!!!」

あまりにもすごい悲鳴に思わずたじろぐ。
俺はチカンか!ヘンタイか!?

ちょっと撫でたがそのくらい、いいだろう。
昨夜どんだけ耐えたと思ってんだ。


「なんだ!何もしてないだろ!」
「いや!スミマセン。寝ぼけました」
「いつまでも寝ぼけてないでサッサと支度しろよ。外にいるから終わったら呼べ」

寝顔よりも強烈な寝起きの笠原を正視できず
堂上はさっさとテントを出た。

ビックリさせやがって。
寿命1か月分くらい減った。



今日の行程は昨日の疲労も手伝ってかなり過酷だった。
全くこんなお遊び訓練、どうやったら思いつくんだ。

と心の中で毒づく。
後ろでは笠原が荒く呼吸を繰り返している。


「笠原、大丈夫か?」
「は・・はい。」
「思ったよりもキツイな。まあこの調子ならゆっくり行っても明日の午前中には目的地につける」

励ますつもりだったが、笠原が急に暗い表情になる。
恐らく自分が足を引っ張っていると思っているに違いない。

どうしてこうこいつは透け透けなんだ。

「お前と一緒だから明日の午前中な訳じゃない。どこの班もそんなもんだろ。
 先に訓練した先輩達も班員全員到着できたのはたった2班だけだったそうだ。
 だから別に気にする事ない。今回もそれなりに棄権者が出る」

チラリと笠原の様子を見るとその言葉で少しは安心した様だ。


真剣に訓練に取り組んでいる笠原には言っていないが
今回指定された出発地点と地図を後から見比べていて解ったのだが
ここから出発したら絶対、三日ではつかないだろう!という
ハズレ出発ポイントがある。

どうりで出発地点の選択がくじ引きだったわけだ。

つまり、元々絶対棄権が出るシステムになっているのだ。
どうせ、例の『褒賞』に限りがあるせいでの策略なのだろう。
ちょっと勘がいい者ならもう気づいているはずだ。

今回、ウチの班員はそのポイントには当たっていないから
順当に進めば、問題なく目的地へ着ける。

まあ、小牧も手塚も褒賞など気にしていないだろうから
別に棄権したところでなんのペナルティもない。


ある程度進んでおけばいい。

堂上は必死についてくる笠原の様子を見ながらペースを落とした。



2時半を過ぎた頃、急に天候が崩れ始めた。

「天気が悪くなってきたな。これは来るかもしれん」

こういう雲が出ると一気に雨が来る。
テントを張る予定の場所まではまだ多少距離がある。
移動してからテントを張るのでは時間が足りない。

この付近でテントを張れそうな場所はない。
雨風がしのげそうなのは、恐らくこの岩場付近!

説明する間もなく、足早にその場所を目指す。
徐々に降り出した雨は一気にスコールのような大雨になった。

なんとか目的の岩場を見つけたが、全身ずぶぬれだった。

秋口の雨は冷たい。
一気に体温が奪われる。

「笠原、すぐに着替えろ。体温が下がる」
「あ・・・はい」
「着替えはちゃんとビニールに入れてきてるだろうな?」

笠原のリュックをチラリと見る。
びしょぬれだ。

こういう野外行程では着替えはピッチリビニールに入れて
突然の水没や雨などで着替えが濡れないようにするのは基本だ。

事前にビニールに入れてくるように説明もしてある。

「一応・・・・」

そう返答があったのでホッとする。
こんな所で着替えがないのでは凍死まで行かなくても
確実に風邪だ。

ゴソゴソとリュックを探って笠原が硬直する。

「どうした?」
「・・・・ビニールの口がちょっと開いてて、少し濡れちゃいました」

堂上はため息をついた。

「たく、どうしてお前はそうなんだ。ビニールに入れておいても口が開いてりゃ
 意味がないだろうが」
「・・すみません、でもちょっとだけのもあるから適当に着ます」
「アホ!濡れた服に着替えても意味ないだろ!」
「ずぶぬれよりはマシだし・・・」
「俺のシャツを貸すからとりあえずソレを着ろ。下は流石に予備がないから
 貸してやれないが」

笠原は慌てて首を横に振る。
「大丈夫です!きてれば乾くし!!」
「向こう向いているからさっさと濡れたのを脱いでタオルでよく拭け。
 それから着替えろよ!慌ててぬらすなよ!」

乾いたシャツを笠原に渡して後ろを向いた。


ゴソゴソと背後で音がする。
パサリパサリと衣服が落ちる音に心臓が高鳴る。

思わず振り向きたい気持ちを抑えて目を閉じてそのまま固まる。
少しでも動けば、笠原に不安を与えるだろう。

こんな場所で、後ろに男がいて裸にならなければならない女の心理など
想像すら及ばない。

チラチラと見られている気配がするが全く動かず声がかかるを待つ。


どのくらいそうしていたか解らないが笠原から躊躇いがちに声をかけられた。

「教官、終わりました」

念のため、そっち見るぞと断ってから振り返った。

笠原の為でもあるし自分自身の為でもある。
万が一こんな所で下着姿等拝んでしまったら、もう止められる自信などない。


振り返って笠原の姿に目を疑った。
自分が貸した白いシャツはやはり大きかった様でゆったりしている。
そのハンパさが、妙な色気を醸し出していて思わず頬が熱くなった。

笠原自身、寒いのか恥ずかしいのかわからないが
妙にもじもじと恥らった様子なのがまた堪らなくそそられた。

緩みそうになる理性を引き締め、その場をごまかすために着替えを始める。

「俺も着替える。見たきゃ見ててもいいが、見たくなければ向こうむいておけ」

当然笠原は慌てて後ろを向いた。

男が着替えるから向こうを向けというのはなんだか妙に情けない。
素直に後ろを向いてくれた事に安堵する。

パッと見は解らない程度だが
少し反応してしまったものをみられるのは流石に気まずい。


服を脱ぐとかなり寒く、一気に鳥肌が立つ。
手早くタオルで拭いて着替える。

チラリと後ろを見ると、郁がガッチガチに硬直したまま
向こうを向いていて思わず苦笑した。

「おい。終わったぞ」
「あ・・ハイ」

振り返った笠原は自分で自分を抱きしめる様な格好をして
しきりにくしゃみをしている。

雨に濡れて風邪をひいたか?
熱を確認する為に笠原の額に手を当てた

「風邪ひいたか?」
「いえ・・なんかちょっと寒くて。濡れたからだと思います」
「ちょっと熱いな。」
「そうですか?」

仕方ない。とりあえず少し暖めるか。
とはいっても、ここには何もない。

寝袋にすぐ入れるより、一度体温で暖める方が効果的か?

やましい気持ちじゃない。これはあくまでも緊急の対処だ。
雪山で遭難した時に裸で抱き合うのと変わらない。

流石に裸になる必要はないが。
もし裸だったら・・・、まずいな。

そんな事を考えている間も笠原のくしゃみは止まらない。

とりあえず身体を安定させる為に岩を背にするように座り
震える笠原を抱き寄せた。

当然驚いた笠原は暴れ出す。

「暴れるな。何もしない。こうしてれば少しはあったかいだろうが」

そう言ってから、気づいてしまった。
ささやかな柔らかみが自分の身体に当たっている。
こいつ!!
なんで下着を着けてないんだ!?

薄いシャツごしだ、下着の有無くらい解ってしまう。

ささやかな柔らかさの中に隠れている僅かな固い感触に
理性が飛びそうになる。

このシャツをたくし上げ、そこに触れたいと
本能が訴えかける。

ダメだと必死に自身に言い聞かせ、深呼吸をした。

笠原を離したほうがいいかと思ったが
今更突き放せば微妙な雰囲気になる事請け合いだ。

気づかないフリをして、そのまま抱きしめているとやはり温かい。
自分の身体も随分と冷えていた事を思い知る。

笠原も諦めたのか体の力を抜いた。
身を任された喜びに思わずギュッと強く抱きしめてしまった。

抵抗されるかと思ったが、抵抗はなく
大人しく笠原は腕の中に落ち着いた。


ザーザーとすごい雨音と共に笠原の心音が聞こえてくる。
それはとても心地よく、堂上の中に入り込んでくる。

好きだと言ってキスをしたい。
腕の中にある温かい体に掌や唇を這わせたい。
こいつはどんな声で鳴くのだろう。

心の底からわきあがる欲望に堂上は頭を振って妄想を振り払う。
気分を変えるように笠原に声をかけた。

「すごい雨だな。これは明日まで動けんかもしれない」
「・・・・・」
「笠原?疲れたのか?」
「・・いえ。ちょっと・・ぼーっとして。」

よく見れば、頬が先ほどよりも赤く、呼吸が荒い。

ぐったりとした様子に堂上はもう一度額に手をあてた。
明らかに先ほどよりも熱くなっている。

しかも身体が小刻みに震えている。

「お前、熱出てるぞ」
「あ・・ウソ?すみません大丈夫です」
「アホ。大丈夫な訳あるか!」
「明日まで寝たら直ります。今日はもう移動しないんですよね?」
「この雨で移動は危険だからな。とりあえず回収してもらうにしても
 この雨では難しい。今寝袋出してやるからちゃんと入って寝ろ」

薬を飲ませて、寝かせるかと思ったが
腕の中で荒い呼吸を繰り返し始めた笠原から返事がない。

「おい、笠原。解熱剤だけは飲んでおけ!」

身体を揺すってみたがユサユサと力なく揺れるだけで閉じられた瞳は開かない。

このまま寝かせても熱が酷くなるだけだ。

こうなったら、もう緊急処置しかない。
気は進まないが、仕方ない。

堂上は舌打ちすると、近くにおいてあった自分のリュックを引っ張りよせ
中から解熱剤と水を取り出して自分の口に放りこんだ。

そして、薄く開いた笠原の唇に自分の唇を合わせ、水と解熱剤を押し込んだ。
反射で笠原の喉がゴクリと動き薬と水を飲み込むのを見届ける。

嚥下された事を確認して、もう一度水を口に含んで笠原の唇に流し込んだ。

触れた唇の柔らかさが心地よく、緊急処置だとわかっているのに胸が高鳴る。

図書隊で使用されている解熱剤は効果が高いのだが
その分水を大目に摂取しないと胃を荒らす。

これ以上唇を合わせるのは堂上としては避けたい事態ではあったが
笠原の胃の具合を考えればもう少し水を飲ませてやらなければならない。

ため息をつきつつも、何度かそうして笠原に水を与えた。

当然、そんなに何度も唇を合わせていれば
身体が自然と反応する。

緊急処置とはいえ、生命の危機という事態ではないのだから当然だ。
それ以上の行為を求めて騒ぎ出す心と身体を理性で押さえ込んだ。

しかし、初めてのキスがこういう形というのはどうなのだ。
いや、コレは応急処置なのである意味キスではない・・・。

しかもコイツは記憶がないときた。

意識があれば口移しなどする訳がないが。

とにもかくにも、バディが自分だった事に安堵する。
例え小牧といえど、この役は譲れない。

外はまだ酷い雨が降り続いている。
明日も続く様であれば無線で棄権の連絡を入れよう。

このままずっと笠原の身体を腕に抱いていたい気持ちはあるが
それでは熱が奪われて風邪が酷くなる。

グッタリとした笠原の身体を寝袋の中に入れ
自分も早めに寝袋に潜り込んだ。

****************************************************************

翌朝、堂上が目を覚ますと雨は上がっており、良い天気になりそうな気配だ。
足場は悪いが、これなら移動はできる。

昨夜は結局早めに寝袋に入ったものの、郁の様子が気になり寝付けず寝不足だ。
堂上は寝不足でスッキリしない頭を振りつつ支度を整えた。

眠る笠原の額にそっと掌を乗せる。
昨夜の熱さは消えていた。

「おい。笠原・・・」

何度か呼びかけると、んー。と笠原が伸びるようにして目を開けた。
「どうじょう・・きょうかん?」
「大丈夫か?気分はどうだ?」
「あたし・・寝ちゃいました?」
「熱出してな」
「ウソ!?あれ・・でも熱くないですよ?」
「解熱剤が効いたんだろ」

その言葉に、笠原はああそうかと頷いた。

そしてアレ?と首を傾げた。
「あたし、いつお薬飲んだんですか?」

その言葉に思わずバッっと自分の口を押さえて赤くなってしまった。


その反応に今度は笠原が驚いて眼を見開いてから
え?!と自分の唇を押さえて堂上を見た。

「もしかして・・キス・・しました?」
「バカか!貴様!!キスじゃない!緊急処置だ!不可抗力だろうが」

緊急処置といいながらも、笠原の唇の柔らかさに押し負けて
何度も唇を重ねた事。その先を求めて熱くなった身体を思い出すと
思わず赤くなるのを止める事ができなかった。

あっさり悟らせる自分が情けない。


笠原の頬が途端に赤くなる。
堂上は気まずげに視線をそらした。

「緊急事態とはいえ・・悪かった。しかし、他に方法がなかったからな」
「いえ・・元はといえばあたしが熱なんか出したせいだし・・手当てしてもらったのに
 すみません。ちょっと驚いて」

やはり、意識のないうちに唇を奪われるというのはいくら緊急事態でも
女にとっては重要な事だったのかもしれない。
申し訳ないという気持ちも多少はあるが、やましい気持ちだけでした訳ではない。

とりあえず少しでも気が楽になるようにと
これはただの緊急処置で人工呼吸と変わらん。
ノーカンだ。と頭をぽんと叩いてやった。



その後、二人は気まずいながらも慌しく支度をして目的地を目指した。
正午を少し過ぎた時点で、なんとか目的地に到着する事ができた。

そこには既に小牧・手塚のペアの姿もあり
他の班員の姿もチラホラあった。

こちらを見て小牧が手を上げる。

「お疲れ様。すごい雨だったね」
「お前たち早かったんだな」
「まあこっちは男だけだからね。でも、ついたのは1時間前くらいだよ」
「そうか、まあウチの班は全員クリアしたから一応褒賞は出るな」
「どうせ隊長だからジュースとかじゃないの?」

それにしてもと小牧がニヤリと笑う。

「なんだ?」
「夜も寝ないで歩いてきたの?」

その言葉に思わず怪訝な顔をする。
そんな事ある分けないことは小牧なら聞かずとも解るはずだ。
意図を測りかねて不機嫌そうに返事を返す。

「そんな訳あるか。あんな雨の中歩いたら自殺行為だ」
「確か雨は3時くらいからずっと降ってたよね。ってことは結局朝まで休んでたんでしょ?」
「当たり前だろうが」
「なのになーんでそんなにすごい隈つくってんの?」

小牧がクククと笑う。
思わず顔を触ってみたが、隈など触って解るものではない。

戸惑っていると、笠原に顔を凝視された。

「ほんと!堂上教官!隈がスゴイですよ!!あたしのせいですか?!」

その言葉にさらに小牧が大爆笑する。

「ちょ・・ちょっと笠原さん。爆弾発言」
「え?え?なんで?」
「笠原さんが堂上を寝かせなかったみたいじゃない」

そういわれて笠原は真っ赤になって反論している。

「ち!違います!あたしが熱だして倒れちゃって、それで!」
「ああ、そうなんだ。見たところ元気そうだけどもうヘイキなの?」
「はい。堂上教官が看病してくれて。だからそれで・・」

頼む!それ以上喋るな!!!
思わず口移しの事まで喋られたら堪らない。

もういい!と怒鳴ってなんとか笠原を黙らせた。

小牧がニヤリと笑い、どんな看病したんだよ。
まさか、雨の洞窟で口移しで薬飲ませたりしてないだろうね。
とハラを抱えて爆笑した。

こいつ!見てきたような事を。と思いながらも
言わなければ解るはずもない。シラを切るつもりでいたら

笠原が思い切りひっかかってしまい、思わず目を剥いた。

「え~~~なんで知ってるんですか!?」

バカ!と堂上は思い切り郁の頭を殴った。


「アホ!カマかけられて引っかかるやつがあるか!」
「え?今のカマですか!?」
「当たり前だ!誰が解るってんだ。」
「でもすごい的確でしたよ!?」

いやーーーもうダメ!
すごい!二人ともすごいよ!!!!
ありえない!!

は・・はらいてぇ~と笑い転げる小牧をうるさい!
と怒鳴りつけた。

もう何を言っても無駄だと解ったが、これ以上話を広げられたら
堪った物ではない。


***************************************************************************

結局、班員全員が辿りつけたのはタスクフォース全体で4班となった。

景品は明らかに折口あたりからの横流し品であろうと思われる
ご招待チケットだった。

統一の物ではなく班ごとに違うチケットはあからさまに余り物という感じだ。

堂上班に与えられたご招待チケットは
「東京ディスニーランド」一日フリーパス付 ペア宿泊券

それが2枚。

全員で渋い顔をする。

手塚が微妙な顔で、自分は興味ありませんから辞退しますと使用権を放棄する。
「じゃあ俺が貰ってもいいの?」
「はい。自分は行きませんから、彼女とでも使ってください」

小牧はじゃあ有難くと一枚手に取った。

残った一枚はそっちのバディで好きに分けたらと言われて笠原が固まった。
顔には行きたい。と書いてある。

しかし、迷っている様子だ。

「これは堂上教官に。あたしは迷惑かけただけで何もしてないから」
とチケットを渡してきた。それを拒否する。

「俺はいらん。お前行きたいって顔に書いてあるぞ」
「いえ!行きたかったら自腹で行きますから・・。これは」

とチケットを無理やり押し付けられた。

こんな物ものらったところで行く相手もいない。
というか全く興味がない。


「俺はいい。お前が柴崎とでも行ってきたらいいだろうが」
「いや。上官を差し置いていただけません」

そうやって延々とやりとりしていると、小牧が笑いながら
じゃあいっそ二人で行けばいいじゃないと突っ込んだ。

その言葉に二人で赤くなりながら小牧に怒鳴り返した。


「何言ってるんだ!」
「何言ってるんですか!」

「いやー。ほら気があってるし。それが正しい使い方でしょ?」
「それは・・そうだが。やはり問題があるだろ・・色々」
「何?何が問題なの?」
「だから・・・・。その・・、今回は訓練だったから仕方ないが
 付き合ってもない男女が同室のホテルに泊まるとかは問題だと言ってるんだ!」

今回の訓練とはわけが違う。
ホテルなんかで笠原と二人になったら、もう自分を止められる自信などない。

湯上りの浴衣姿などまともに見れたものでもない。

コイツは何を言うのかとジロリと小牧を睨む。
笠原は当然赤くなっている。

なぜか小牧は爆笑した。

「俺は別に二人で泊まれなんていってないじゃない!コレフリーパス券と宿泊券なんだよ
 ディズニーランドだけ日帰りで行ったらどう?って聞いただけ。
 なんだ、二人してやる気ありすぎでしょ」

その言葉に真っ赤になりながら、解りにくいんだよ!と怒鳴り返した。

ああ、確かに。

泊まらなくてもディズニーランドには行けるな。
そういう事なら、行くのはやぶさかではない。

考え込む笠原の前にヒラリと目の前にチケットをかざしてどうすると聞いた。

「・・教官が嫌でなければ・・あたしは行きたいです」
「・・解った。なら行くぞ。一応、もらったもんは使わないと勿体無いからな」

再び二人で出かける口実が出来て嬉しい。
思わず頬が緩みそうになって、着替えてくると事務室を後にした。

しばらくするとパタパタと足音が近づいてきて笠原に呼び止められる。

「あの!!堂上教官」
「なんだ?」
「もし・・ディズニーランド断りにくいだけだったらほんとにあたしはいいんで」
「・・別に嫌なら断る。行ってもいいと思ったから行くかと聞いたんだ」

何か躊躇う様な素振りを見せる笠原に苦笑する。
冗談のつもりで、お前がいいなら、泊まりでいってもいいんだぞと
からかうと笠原はビクリと肩を揺らした。

流石に、冗談がきつかったようだ。

冗談だと笑ってやると、笠原はギュっと拳を握って何か思いつめる様にこちらを見返してきた。
「あの・・ヤじゃないです・・・」

今、なんていった?

思わず怪訝な表情になる。

イヤじゃない。そういったか?何がだ??

「何がだ?」
「教官と・・泊まりでディズニーランド。別にいやじゃないです。教官が迷惑じゃなければ」
「あのなぁ。お前、今回の訓練とは話が違う。褒賞とはいえプライベートだぞ」
「わかって・・ます。でも勿体無いから」

笠原の言葉に、思わず顔が真剣になる。
こいつは男とホテルに泊まるという事の意味が解らないのか?

いくらその手の事に疎いとは言っても、妙齢の女性が気軽に言って良い言葉ではない。

聞き様によっては、事に及ぶのを了承した。そう取られる発言だ。
どうせ、こいつの事だ。意味を深く考えてないのだろうとは思うが聞き捨てならない。

自然厳しい表情になる。

「お前は解ってない。泊まりたいなら泊まってもいいが、何があっても俺は知らんぞ」

暗に、泊まれば手を出さないとは約束しない。と仄めかせた。
果たして笠原に通じたのかはわからないが忠告はした。

笠原はしばらく何かを考えていたようだが
教官が嫌ならいいですとそれだけを呟いた。

「嫌な訳あるか」

お前が嫌がる事をする可能性は充分あるがな。

そう付け加えてやろうかと思い笠原を見つめる。

視線が交差する。

一呼吸置いて、笠原が何か言おうとした。

丁度、ザワザワと何人かの隊員たちが歩いてくる足音とざわめきが聞こえて
言葉が飲み込まれた。

少し待ったが、もう言葉は出てこないようだ。

堂上は泊まりでいいんだなと念を押す。
笠原がコクリと頷いた。

まあ、後で柴崎にでも話せば考え方も変わるだろうと思い
気が変わったらいつでも言え。と逃げ道を作ってやる。

日時の調整はまた今度なと更衣室へ向かった。



その後、更衣室で先輩に会った。

ニヤリとこちらを見てひじでつついてきたので怪訝な顔をする。
「なんですか?」
「なんですか?じゃねぇよ!どうだった?訓練」
「は?どうもこうもありませんが」
「おいおい。しらけてももうバレバレだぞ!」
「何がですか!」
「笠原ちゃんと雨の洞窟で 口・う・つ・し!」

といって唇をンと突き出す仕草をされて堂上は赤面した。

周りにいた数人のタスクフォース隊員がドッと笑う。

「や!あれは、アイツが熱だしてるくせに薬も飲まないで倒れたから仕方なく」

「仕方なくても仕方あってもしたんだろ。いいなぁ役得で」
「役得って!別になんもありません!」
「いやいや。最近可愛くなった笠原ちゃんと狭いテントでご一泊
 雨の洞窟でご一泊なんて早々体験できるもんじゃないぜ」

と言われて、確かにとは思ったがそんないいもんじゃありませんでした。
とつっけんどんに返した。

そうして、先輩3人に取り囲まれる。

「なんですか・・」
「で?ヤッったのか?ヤらなかったのか!?」
「な!!!なに言ってるんですか!ヤルわきゃないでしょうが!」
「本当に・・本当か!触ってもないのか?」
「本当に本当です!触ってません!ありえません!」

噛み付く様に言い切った堂上に詰め寄った先輩の内二人が
ガッツポーズをした。

「よっしゃ!」

その様子に堂上は怪訝な顔をして、ハッと隊長である玄田の姿が
思い浮かんだ。

「もしかして・・」
「もしかしなくてもだ」

やられた!と思ったがもう後の祭りだ。

賭けの対象にされていた。

チッと舌打ちすると、先輩が舌打ちはいけないなぁと
ニヤニヤと肩を叩いた。

「どういう賭けだったんですか」
「ん?お前らがどこまでやるか!」
「はぁ?!」
「何もしない、キスまで、おさわりまで、最後までの4つだな」
「つまり先輩二人はキスまでにかけたと?」
「あったりー。ちなみにこいつはおさわりまでに賭けたんだよな」

とガックリしている先輩を指差して笑った。

堂上が拳を握り締めてフルフルと震える。
ガックリしていた先輩が、もっと根性出せ!堂上!二日も二人きりで何やってんだよ!と
とんでもない八つ当たりをしてきた。

堂上は声を限りに、人をかけの対象にするな!と怒声を飛ばした。

飛ばされた先輩達は痛くも痒くもないように
そういうのは発案者である隊長に言ってもらわないとなぁ。と笑い飛ばした。

「ちなみに隊長は最後までにかけてたぜ。無謀だよな大穴狙い!」
「小牧と手塚は知ってたんですか?」
「そりゃそうだ、お前ら以外全員参加だからな」
「あいつら、何にかけてました?」
ジロリと堂上は先輩を睨む。

「確か、小牧はキスまでだな。さすが長年の同僚は的確だ。
 で手塚は相当抵抗して賭けを拒否してたが
 全員参加だって隊長に脅されて何もしないに賭けてたぞ」

お前部下の期待裏切るんじゃねぇよ!

とまた更衣室は笑いの渦に包まれた。






『その時堂上は!』という事でいかがでしたでしょうか?
イメージ崩れたぁ~という苦情は受け付けてません(笑)


結局郁ちゃんの知らない所で教官はやられっぱなし☆
お気の毒だけど楽しくてしょうがないですネ。

さて、気になるディズニーの行方はまた後日~。
07:06 図書館SS(堂郁)

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