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も・し・も =エピソード8 奥多摩特別訓練編= Ver.堂上 前編

2008/06/29
おはようございます。

あっという間に日曜日ですねー。
明日から会社か。
トホホです。

アリナシ挙手ありがとうございます楽しく拝見しています!

というわけで?堂上Verです。同じ内容だろ!という突っ込みは受け付けてません(笑)

堂郁 年齢フリー 恋人前 もしも当麻事件がなかったら。なぜかの奥多摩特別訓練編 ver.堂上 前編!
このお話は時系列的にエピソード8 水族館の後です。



ここしばらく、情勢は安定しておりタスクフォースの出動回数は激減している。

ある日、隊長の玄田が思い立ったかの様に奥多摩での特別訓練を発表した。

会議室にタスクフォース隊員全員が集う。
玄田は意気揚々と特別訓練の説明に入った。

「あー、最近は情勢も安定している。丁度いい機会なので親睦を深める。
 という意味も込めて、タスクフォース全隊員を対象に奥多摩特別訓練を実施する」
概要は手元の資料の通りだ。


堂上は配られた手元の資料を手早く確認した。

内容は、タスクフォースを半数に分けて奥多摩へ向かい
各班2名ずつバディを組んで制限時間内にミッションをクリアする。

という内容だ。

また、思いつきでこの隊長は何を言い出すのかと思ったが
未だかつて、この隊長の暴挙を止める事の出来た人間など居ない。

堂上が内心ため息をついていると、前に座っていた笠原が突然絶叫した。

「えええええ~~~~~?!」

思わず立ち上がった笠原の口を後ろから強引に塞いで座らせる。
もう見慣れた光景に隊の誰も反応しない。

玄田も何もなかったかのように説明を続ける。


「無事に班員全員がミッションをクリアした班には俺から特別褒賞を与える!」

その言葉に全員が色めき立つ。

元来、こういったイベントごとをこよなく愛するタスクフォースらしく
堂上班を除き、全員やる気満々だ。


説明の終わった会議室にポツンと堂上班だけが残される。

「あー・・・とりあえず決まっちゃったみたいだから頑張るしかないね」
と小牧が苦笑する。

手塚も神妙な顔で笠原の方をチラリと見た。

笠原は笠原でチラリとこちらの様子を伺う。

堂上は眉間に皺を寄せた厳しい表情で、決まったもんは仕方ない。
全力をつくせ。と呟いた。

今、堂上が頭を悩ませているのは唯一つ。
彼女の扱いをどうするかという事だ。

事務室に戻る道すがら、小牧と堂上がバディについて打ち合わせる。

「俺と手塚、堂上と笠原さん。これしかないでしょ」
「いや・・しかしだな、」
「手塚と笠原さんて訳には行かないんだから、そしたら俺と笠原さんだけどそれでいいの?」

別に俺はいいけどねと笑う小牧に堂上は渋い顔をする。

いい訳あるか!と思ったがソレは個人的感情でしかないのでその言葉は飲み込む。

「一応、堂上が班長なんだから紅一点の笠原さんのサポートは班長がするとしたもんでしょ」
と正論で説かれて、堂上は内心ホッとした。

自分の気持ちに特別な物がなければすんなり受け入れられる話だが
特別な気持ちがある以上、そこに拘ってしまうのは仕方ない。

建前も出来たのでなんとか、仕方ない風を装って解ったとため息をついてみせた。


「二人ともあたしと組みたくないって。そんなに頼りないかあたしは」
と後ろを歩いていた笠原が訳のわからないため息をつく。

手塚は手塚でそういう事じゃないだろと至極真面目に返している。
「あんたは自分が優秀でひっぱりだこだからっていい気になるんじゃないわよ!」
「な!お前被害妄想も大概にしておけよ!今話題になってるのはソコじゃないだろ!」
「じゃあなんなのよ!!」


突然後ろでケンカを始めた部下達に堂上と小牧は歩みを止めて振り返る。

「ちょっと、笠原さん、手塚なにやってんの」
「だって!小牧教官も堂上教官もあたしと組みたくないみたいだから!」

堂上は呆れてため息をつくと、涙目になっている笠原に声をかけた。

「そういう事を言ってるんじゃない」
「じゃあどういう事なんですか!?」
「お前、全部目を通したのか?」

グッと言葉に詰まった笠原の様子にやはりなと思う。


呆れたように手塚がさっきの絶叫はなんだったんだよと尋ねると
笠原はクマが出るかもしれないのに二人だけで山彷徨うとかありえないと思ってと呟いた。

その回答に、堂上は眩暈がしそうになった。
アホかと怒鳴ろうかと思ったら、すかさず小牧がフォローに入る。
こういう時はやはり、この友人の存在が有難い。

「今回の特別訓練。バディを組んで目的地を目指す。制限時間内に辿り着けなければ失格
 班員全員が辿り着ければ班にご褒美。ここまではいい?」

小牧の説明に笠原はコクコクと頷く。
どうやらここまでは理解しているらしい。

「問題はここから、制限時間は3日。各バディは二人きりで出発して基本はどこのバディとも
 行動を共にしない。二人で助け合って目的地を目指す訓練だからね」

ここでも頷いているので理解しているようだ。
小牧がさてここで質問。
といつもの謎かけを出す。回りくどく言わずにストレートに話せばいいのにと思うが
これがこいつのやり方なので、黙って成り行きを見守る。


「制限時間は3日なんだ。つまり1日じゃ辿り着けない場所なんだよ。
 バディは常に行動を共にする。どういう事かわかる?」

笠原は小牧の言葉を必死で考えているようだ。

しばらくして、何かに思い至ったのか驚いたような顔をする。
やっと解ったかと思えば、出てきた言葉があまりにも見当違いで思わず怒鳴り返してしまった。

「って・・えええ!?じゃあ夜とかどうするんですか?!地面に寝るとか!?」
「アホか貴様!何のためのテントだ!野営訓練もかねてるんだよ!」
「あ。そっかー。じゃあ問題ないじゃないですか。ビックリしたぁ」

問題ありすぎだろう!あまりの笠原の暢気さに頭の血管が切れる。


「アホ!物事はもっと深く考えろ!お前の脳みそは何層に別れてるんだ!
 頼むから、案件は最下層まで運んでからじっくり吟味しろ!」
「はい?!毎度毎度、失礼千万なセリフはどっから叩き出されてるんですか!」
「俺の脳みそからに決まってるだろうが!お前と違ってこっちはいつもフル稼働なんだ!」

「ちょっと、堂上も笠原さんも落ち着いて。面白い言い合いする所じゃないから」

小牧のフォローに思わず、声を揃えて、面白くない!と怒鳴り返した。

堂上はため息をつくとまだ理解できていない笠原にわかるように補足説明をした。
「テント二個も担いでいく訳には行かないんだよ!
 つまりバディと同じテントに入るんだ!解ったか!」

その言葉に笠原は目をパチパチと瞬かせてからえええ!?と絶叫した。
堂上はやっと解ったのかとジロリと睨んだ。

「理解が遅い!」
「あ、じゃあ!あたしが足手まといって事じゃなくてあたしと同じテントに泊まりたくないって
 そういう事だったんですね!?」

その言葉に顎が落ちるかと思う程に口をあけてしまった。
こいつ・・・バカだバカだと思うことは多々あったがまさかここまでとは。

小牧も手塚もあきれ果ててため息をついている。
しかし、流石に立ち直りが早い小牧が、もう一度根気強く説明を付け加えた。

「笠原さん。普通逆。いくら特殊部隊とはいえ年頃の女性が仕事とはいえ男と
 二人きりでテントに泊まるってのは笠原さんが抵抗あるでしょ?」

そういわれて、郁はポンと左手の掌に右の手で作った拳を乗せた。
「なるほど!」
「ナルホドって・・お前なぁ」

と手塚が呆れ顔で郁を見る。
郁はジロリと手塚を睨んだ。

「なによ!」
「ほんとに女かお前は」
「女じゃなかったらナニよ!」
「いや・・もう少しこう・・慎みとかないのか?男と二人きりで山の中だぞ?」
「はぁ?仕方ないでしょ、訓練なんだから。どう慎むのよ?」
至極真っ当な意見に手塚は思わず眉をひそめた。

笠原の意見はもっともだが、堂上としては手塚に一票だ。

「つまり、お前は堂上教官か小牧教官とバディ組むんだ」
「当たり前でしょ?あんたとあたしは同期なんだから、普通上官と組むわ」
「そういう部分も含めてどっちが組むべきか検討してたんだ」
「別にどっちでも同じでしょ。堂上教官か小牧教官と同じテントで寝泊りしつつ目的地目指すんだし
 一人で行く訳じゃないんだから」

シレっと言ってのけた笠原に小牧が爆笑する。
「いやー男らしいね!ちょっと意外だったけど、よかったよ。」
「何がですか?」
「教官たちと同じテントに泊まれません!なんて泣かれたら困っちゃうからね」
「なんですかソレは。どこの女子高生ですか」


と言い放つ郁に堂上はお前充分脳みそが女子高生並みだとため息をついた。

「もういい。解った。お前は大丈夫なんだな?」

とりあえず、本人が問題ないのであればそれでいい。

2・3日の密着生活がなんだ!
そのくらいいくらでも耐えて見せてやる!

この瞬間、俺のミッションには笠原に手を出さずに訓練を終了する。
という課題も加わった。

笠原が頷いたのを見て了承と取る。

「小牧教官か堂上教官なら・・別に。他の隊員だとちょっと気を使いますけど」
「お前は俺が面倒見る。まあたかだか2・3日だ」

俺か小牧以外のヤツと一緒に行かせるなど有り得ん!と怒鳴りたかったが
そこは押さえた。

しかし、今回は班内調整だからなんとでもなるがくじ引きなどでは
とんでもない事態になる所だった。

なんだか妙な策略の香りがしないでもないが、そこを暴いた所で始まらない。
もうハラを決めてさっさと終わらせるに限る。

まあ、笠原さえ問題がないのであれば四六時中二人でいるというのは
ある意味魅力的な話ではある。

思わずにやけそうになるを堪え、ダメなら棄権もありだからな。

と付け加えるように言い放ち堂上はさっさと歩いた。

後ろから笠原が追ってくる気配がしたので、顔を見られないように
足早に事務室へと戻った。



その夜、部屋でビールを呷っていると、小牧が顔を出した。

どうせ話は昼間の特別訓練の事だ。

そのニヤケ顔を見れば何も言われなくても解るというもんだ。

「なんだ。不機嫌だね」
「別に、いつもどおりだが?」
「いやー。ニヤニヤしながら飲んでると思ってきたんだけど」
「何で俺がニヤける必要があるんだ?」

小牧の視線がチラリと机に動いて、堂上の顔に戻される。

「可愛い可愛い笠原さんと二晩も一緒に居られるなんて嬉しいなぁって」
「アホか!訓練だろ。大体別に笠原とだから特別って事あるか!」

そう虚勢を張ったところでこの友人には丸見えであるのは
解りきった事だが、そうだなと言える程に手の内を見せる気にはなれない。

「なんなら。バディ代わってもいいよ?」
「お前が班長が面倒見るべきといったんだろが」
「そりゃね。でもそんなに嫌なら笠原さんがかわいそうだから俺が代わるよ」
「・・・・。別に嫌な訳じゃない」

そう?ならいいけどね。

そのカワウソストラップ。
なんか笠原さんぽくて可愛いね。

とさり気なく言われて堂上は飲みかけのビールをふいた。


「アホ!あいつのドコがカワウソだ!クマ殺しだろ!」
「まあ、そういう事にしておいてあげるよ」

小牧は立ち上がると、意味ありげに堂上に笑いかける。

「いくらダレもいない山中だからって笠原さんの意思を無視して淫らな行為はしないでね。
 流石に訓練中に班長が唯一の女子隊員に暴行なんて事になったら致命傷のスキャンダルだから」

「アホか!ダレが暴行なんぞするか!」

小牧はアハハハと笑いながら部屋のドアを閉めた。


堂上は残ったビールを一気に飲み干して、缶をベコリと潰した。

******************************************************************************

なんだかんだといいつつ、結局特別訓練の日がやってきた。

各バディは決められた複数の出発地点から時間差で出発する。

緊急連絡用の無線機が各バディに渡される。
タイムアップなどになると、無線機で連絡が入り、ある一定箇所に誘導の上
失格回収となる。

それじゃあお先にと手塚と小牧のチームが先に出発した。

褒賞とか気にしないでマイペースでねとフォローを忘れない辺り流石に小牧だ。


その1時間後、自分達のバディも出発した。


「笠原、事前説明したように大体50分歩いて10分休むペースでいく
 様子を見ながら行くが、キツかったら限界になる前に言えよ」

「はい。足を引っ張らないように頑張ります」

必死で頑張ろうとする笠原の様子に思わず苦笑してしまう。
隊長の思いつきだけの訓練にここまで真剣に取り組んでいるのは
もしかしたらこの笠原だけかもしれない。

はりきっているのは全員褒賞目当てだ。

「別に無理する必要はない。単なるイベントだ位に思っとけ」

そう声をかけたが、笠原が荷物の配分などを気にしている事は
聞かずと知れたことだ。

テントなど重いものは堂上が持つ。
笠原は基本自分の荷物だけだ。

いくら体力があっても男女の身体の構造に違いがある以上
力にも差が出てくる。
当然の事なのだが、笠原はそれを認めたくないようで必死に男と同じであろうとする。

女だからムリなどと、自分で決め付けない姿勢はとても好ましいが
気負いすぎるとろくな事がない。

配慮をしつつペースを作る。

最初の内は結構快調なペースで歩けていたが、昼食を取り
午後も3時を過ぎると笠原の足取りが重くなったのが解った。

かなり息も上がっている。

少しペースを落とした方がいいかと思っていたら
後ろから倒れるような音がしたので慌てて振り返ると
笠原が転んでいた。

「おい。大丈夫か?」

慌てて少し戻り手を差し出した。
「はい・・ちょっと躓いて・・・」
「少し休むか」
「いえ!まだ・・あと少しくらい・・」

明らかにムリをしているのは表情と身体の様子でわかる。
既に立ち上がろうとしている膝が震えている。

堂上はゴツンと拳骨を落とした。

「アホ。無理する必要はないと言ってるだろうが」
「でも・・教官は全然大丈夫なのに・・あたし」
「俺も疲れた。ちょっと休むぞ」

そう言って近くの倒木に問答無用で腰掛ける。
その様子をみて笠原もしぶしぶそれに習った。

このくらいしないとこいつは休みたいと言わないから困る。
とりあえず、水筒を傾けていると、笠原が少し水を飲んで
すぐに片付けようとしているのが目に入った。

この汗で僅かしか水分を補給しなければ遠からず倒れる。
堂上はため息をつくと、注意を入れた。

「水を節約したい気持ちは解るが、きちんと水分をとらないと脱水症状で倒れるぞ。
 それこそ一大事だ。水ならなんとでもなる。ガブ飲みしろとは言わないが
 ある程度適切に補給をしろ」

笠原はハイと俯いてもう一口水を飲み込んだ。

結局20分ほども休憩して再度出発する。
笠原の様子からこれ以上、今日は進まない方が良いと判断して
野営地としてあたりをつけていた場所へと向かった。


「教官てすごいですね。地図とコンパスだけでこういうのちゃんと解って」
「アホ。そんなのは座学で習った事の応用だろが」
「・・・・」
「ま、お前に座学云々言っても仕方ないのは既に承知だ。とりあえずこの辺は
 地形もいいし、今夜はここにテント張るぞ」

そういって荷物を降ろすと、すぐにテントの設営に取り掛かる。
こういうのはさっさとやりきらないと、一度休むと腰が重くなるのだ。
今までの経験でイヤと言うほど感じてきた事だ。


「ちょ、、教官すごいですね!!!疲れてないんですか?」
「アホ!疲れてるからさっさとやってるんだろ。動けなくなるぞ!」

すでに限界かと思われる笠原を叱咤してテント設営を終わらせる。
終わった途端に座り込んだ笠原は既に立つ気力もなさそうだ。

そして、ふと肝心な事を言い忘れていた事を思い出す。
迷ったが、念のため声をかけた。

「笠原、余計な世話かもしれんが、トイレは我慢するんじゃないぞ」

やはり笠原は真っ赤になり困った様子だ。

それはそうだろう。いくら訓練中とはいえ
男にトイレの心配をされるのは女としては恥ずかしいことだろう。

だが、言わなければまた限界まで我慢しそうな気がしてならず
余計なお節介は承知の上での発言だ。

笠原は、これ以上はよせといわんばかりに
解ってますとコクコクと頷いて見せた。

言葉がきいたのか、ちょっと所用ですと笠原がテントに入る前に
野営地を離れる。

あまり遠くに行き過ぎるなよと声をかけたが返事はなかった。

遠くに行き過ぎても近くすぎても問題があるのが難点だ。


その間に着替えを済ませた。
ほどなく笠原が戻ってきて失礼しますとテントに入ってくる。

荷物をあけて着替えを取り出している。
外にでるかと思っていたら、突然着替えを持った笠原がテントから出ようとしている。

慌てて、ちょっと待てと笠原を呼び止めた。

「そんなもん持ってどこ行く気だ」
「え?ちょっと着替えを・・・」
「アホ!外で着替える気か!」
「や・・だってココじゃ流石に・・・」
「そういう時は外に出てくれって言えばいいんだ!」
「でも・・それじゃ上官に失礼だから。大丈夫ですよ。もう暗いし他のチーム近くにいないし」

もしも、チラっとみえても何が見えたかなんて解らないですから。

その言葉に思わず怒りがこみ上げた。
いくら山中で周りに人気がないとは言え、妙齢の女が野外で素肌を晒すなど
言語道断だ。

ありえないと解っていても万が一、誰かに出くわすような事があったらどうなると思ってるんだ。
人気のない山の中で女が裸だか下着だかわからない格好でいたら
何があるかわかったものじゃない。


笠原の腕を引っ張って強引に止める。
「バカ!何かあってからじゃ遅いんだよ。外に居るから着替えたら呼べ!」

そう言って堂上は乱暴にテントを出た。


しばらく外で空をみながらぼんやりとしていた。

しかしいつになっても中から声がかからない。
いくら女の着替えとはいえっても、そう大層な着替えをするとも思えない。

中の気配は止まっていて動いている様子が感じられない。

痺れを切らしてまだか?と声をかけた。
途端慌てた声で、終わりました!!と返事が返ってくる。

何をしてるんだあいつは。
そう思いつつ、念のためもう一度入るぞと声をかけてからテントに入った。


郁は慌てて脱いだ服をリュックにしまっている。
その顔は真っ赤だ。

着替えでなんで赤くなる必要があるのかと思ったものの
そこは見ないふりをして寝袋にもぐりこんだ。

「明日も早いからな。さっさと寝るぞ」

その言葉に郁も慌てて隣に置いた寝袋に入った。


山の夜は静かだ。
聞こえるのはなんだか虫の音とか風の音とかばかりで
笠原の呼吸の音と自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。

意識していないといえば嘘になる。
だが、訓練中だと自分を律する事が出来る程度に感情はコントロールできる。

しかし、さっきから隣でモジモジモジモジと動かれると
気になって仕方がない。

恐らく今になって気まずい気がして戸惑っているのだろうという事は丸見えだ。
仕方なく、落ち着かせる為に声をかけると
笠原が飛び上がらんばかりに驚いた。

「なななななななんですか!?」
「なんだ、どうした」
「いや、教官こそ」
「お前が落ち着かないからどうかしたかと聞こうとしたんだ」
「いや・・あの・・・なんか・・やっぱり緊張しますね」
「・・・・・アホか。」

その言葉に思わず顔が綻んだ。暗いから見えるはずもなく
表情を隠す必要はなかった。

バディを検討している時に
小牧でも俺でも別に構わないと言われた時には、少々ガッカリしたので
俺と二人で居るという事を意識してくれるというのはある意味嬉しい。


「や!アホって!!」
「お前が全然問題ないから大丈夫デスって言ったんだろうが」
「う・・・そうですけど・・なんか思ってたより恥ずかしいっていうか」

堂上は思わず頬が熱くなるのを感じた。
必死に感情をコントロールしているのに恥らわれたら
箍なんて簡単にはじけ飛びそうになる。

少し手を伸ばせば抱き寄せられる距離に意識している女がいるのだ。
それを改めて本人から意識させられると堪らない。

思わず手を伸ばして抱き寄せてキスをしたいという衝動に駆られる。
もちろん、そんな事が出来るわけはない。

恥ずかしいとか言うな!こっちが恥ずかしいわと出る限りの怒声を浴びせた。
半分は笠原にか半分は自分にだ。

怒鳴られてしおれたのか、笠原は無言で寝袋の中にもぐりこんだようだ。

しばらくした沈黙の後、さっきは流石に怒鳴りすぎたかと思い
改めて、フォローを入れた。

「心配しなくていい。何もせん。頼むから大人しくさっさと寝てくれ」

さっさと寝てくれないと持たない。と心の中で続ける。

郁はその言葉に安心したのかハイと返事が返ってきた。
しばらく何かモゾモゾとしていたが、やがて静かな寝息が聞こえてきた。


これだけ山を登ってくれば当然疲れているはずだ。

出来る限り隣を意識から外し
堂上も瞼を閉じるとそのまま深い眠りに引き込まれた。





というわけで堂上バージョンでした。

もうね、ギュっといってチュっとしたくて
たまらないですよ。

訓練中に!?という突っ込みは受け付けてません。
訓練でも隊長の気まぐれ訓練で
そこまで真剣勝負な戦闘に入ってるわけじゃないって事で(笑)


06:50 図書館SS(堂郁)

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