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も・し・も =エピソード10=

2008/06/23
おはようございます!

またしても月曜日ですね。

魅惑・・の郁ちゃんverにたくさんの挙手有難うございます。
普通にR18になっちゃうので、今日は18歳以下の方も楽しめるように
年齢フリーを挟みます☆

これもリクエストからです。

堂郁 年齢フリー 恋人期間 もしも木島事件がなかったら。 プロポーズまでの時間

王道のプロポーズってやつですね。物語的王道イメージで。



最後まで泣き言を言い続けた郁だったが
何とか三正の試験に合格できた。

憧れのカミツレに届いた時の郁の嬉しそうな笑顔に堂上も思わず顔が綻んだ。
自分が一正に昇任した事よりもずっと嬉しかった。

よく頑張ったなと頭を撫でてやると、皆と堂上教官のお陰ですと
思い切り頭を下げられた。



その日の業後、お祝いも兼ねてお茶を飲んで帰る事になった。

祝いの品を色々と考えたが、やはり郁の望むものをやりたいと思い
思い切って何が欲しいかと尋ねた。

普段何もねだる事がない郁のことだから、何もいらないとか何でもいいとか
そんな答えが返ってきそうだと予測していたが、郁からの『おねだり』は
堂上の予想を遥かに越えたものだった。


「二人で部屋とか借りたいな」

その言葉があまりにも意外で思わず渋い顔をした。

若い隊員たちの間でそういう行事が恒例になっているのは堂上とて知っている。
だが、自分の年齢でそういったことをしている隊員はいない。

そこまで考えるやつは大概一足飛びでその先に進むからだ。


郁の返事は少しでも一緒にいたい。いつも外泊代を持ってもらうのが申し訳ない。
という理由だった。

外泊代を持つくらい痛くも痒くもない。
一緒にいたいのは自分とて同じだ。

動揺して、思わず冷静な分析結果に要らない言葉までつけて郁に返してしまった。

バカバカしい。

ゴッコ遊びは若い奴らの特権だ。



しまったと思った時にはもう遅かった。
『若い奴ら』の中に入らない自分と、そちら側に入っているだろう郁。

思い切りすれ違った瞬間だった。

それならゴッコ遊びじゃなく、俺との結婚を考えてくれないか。
そういいたかったがそれは郁の言葉に遮られてついに言えなかった。


「バカバカしいごっこ遊びで悪うございましたっ。もう言いません、昇任祝いも
 堂上教官からは何も要りませんっ!」

郁は悲しそうな顔をした後、千円札を叩きつけて店を出て行った。

一人取り残され、失敗したと堂上は心から後悔した。



************************************************************************

堂上が部屋に戻ると、しばらくしてから小牧が尋ねてきた。
このタイミングは事情を知っている。


柴崎経由で情報が入ったようだ。
どうやら郁は泣いている様子だと解った。
郁を泣かせた事に心が痛む。


素直に色々失敗したと小牧に告げる。

事情を簡単に説明するとやはり呆れられた。
自分でも呆れるほどの失態だったのだから当然だ。



小牧が部屋に戻った後、堂上はため息をつきながら一本のメールを送った。


『言い方間違えた。ごめん』

それが精一杯だった。




翌日からの郁の態度が一変した。

喧嘩が仕事に影響するほど郁も子供ではなかたが、何やら揉めたらしいという事が周囲に
バレバレになる程度には子供だった。

そして、それが続けば当然探りが入る。

特殊部隊の連中はいつもスチャラカなクセに大人でこういう時の対応は
真摯なものばかりだ。


何とかきっかけを掴もうと、タイミングを計るがうまくいかない。
郁がもうその話題に触れるなと牽制してくるので何も口出しができないのだ。

そして、ついに日頃の態度も大人な事では最右翼の上官
緒方にも声をかけられた。

「しくじったと思っててタイミングが取れないなら、タイミング取らずに突っ込んでみるのも手だぞ」


その言葉が八方塞になっていた堂上の心に響いた。


タイミングを取らずに突っ込む。


これ以上モタモタして、郁を手放す事だけは避けたかった。
色々自分の中で理由をつけて延ばし延ばしにしてきた気持ちを整理する。


堂上は一つの決心をした。


**********************************************************************

散々迷った挙句、柴崎を呼び出した。

基地外に柴崎を呼び出す事は躊躇われたが
基地内では柴崎は目立つので自分と一緒にいる事が
柴崎にとって不愉快な噂に繋がりかねないと判断して外へ呼んだ。

柴崎は内容が郁の事だと察しがついていたようで
特に何も聞かずに呼び出しに応じてくれた。

約束の時間5分程前にカランと店のベルが鳴り
柴崎が姿を現した。

「堂上教官。お疲れ様です」
「ああ、すまなかったな忙しいところ呼び出して」
「いえ、笠原のことですよね」

と綺麗な顔で笑う。
すっかり見透かされた笑顔に苦笑しながら頷くと
柴崎はさらりとした髪を耳にかけるようなしぐさをしてイスへと座った。

「で、何でしょう?」
「あー・・今回の件はまず色々迷惑かけてすまなかった」
「まあ、同じ部屋ですし?同期のよしみですから構わないですけど
 笠原を泣かせた罪は重いですよ。どう責任取ってくれるんですか?」
「一応・・俺なりの決着をつけるつもりだ。それでもう一つ協力を頼みたい事があるんだが」

その堂上の眼差しは真剣で、柴崎は思わず笑ってしまった。

本当に笠原一途なんですねとからかうと堂上は不機嫌な顔をした。

「いいですけど、それはもちろん最後までちゃんと責任とってくれるって事ですよね?」
「当たり前だ。覚悟がなくてこんな事をお前に頼む訳ないだろが」

柴崎は堂上がどれほど悩んで柴崎に話を持ってきたかくらい簡単に予測がついた。
小牧に頼むという手もあったがあえてそこを柴崎に振ったのは
確実に押さえたいという気持ちの現れでもある。


柴崎は成功報酬で飲み一回朝までコースでいいですよ。と笑った。

堂上は眉を寄せると二人ではムリだぞ。お前の取り巻きに睨まれたらこっちが持たん。
とため息をついた。



その日は、後日の約束だけをして柴崎を先に返した。

もう後には引けない。
引くつもりもなかった。


堂上は冷めたカモミールティを飲みながら
その香りの向こうに郁の笑顔を思い浮かべた。


**********************************************************************

堂上と喧嘩をしてからもう何日になるか解らない。

最初は腹がたって悲しくて仕方なかったけれど
日が経つに連れて、自分の浅はかさの方が恥ずかしくて居た堪れなくなった。

仕事に影響は出していないが、自分達が喧嘩をしているというのは
隊中の知るところとなっていた。

自分の方にはそれとなく、何があったが知らんが堂上も反省してるぞ。
などと、堂上をフォローする言葉が頻繁にかけられる。

それに反発して意地になってしまう自分はまだまだ子供なのだろうか。


既に公休3回分、堂上と約束をせずに過ごしている。

今日が4回目だ。

予定もなくテーブルに突っ伏していると、今日休みが重なっている柴崎が
嬉しそうに出かける支度をしている。

柴崎にしては普段着だが郁から見ると随分とお洒落な格好だ。
特別な相手というわけではなさそうだが楽しそうな様子についため息をついた。

「柴崎ドコいくのー?いいなぁ」
「ちょーっとね。まあ買い物よ」
「誰と?」
「それはひ・み・つ」と口に一本指を当てる仕草までが可愛らしい。

こんなポーズを見せられたら男はイチコロだろう。

自分には逆さ立ちしても出来ない芸当だ。

柴崎は時計をみると、そんなに遅くはならないから。と言い残して
部屋を出て行った。

郁はベッドに転がると、読みかけの本を手に取った。





地元の駅では何かと目立つので店のありそうな駅で待ち合わせた。
柴崎から吉祥寺辺りでどうかと言われたのでそれに従う。


約束の10分前に優雅に待ち合わせ場所に現れた柴崎に思わず苦笑した。

その登場の仕方があまりにも郁とかけ離れていたからだ。
意味が解らなかったようで柴崎は綺麗な眉間に皺を寄せた。

「おはようございます。挨拶よりも先に笑われたのは初めてです」
「ああ、すまない。おはよう」
「理由は説明して頂けないんですか?」
「いや、大したことじゃない。郁と待ち合わせるといつもギリギリに走ってくるもんだから
 今日もなんだかそんな気分でな。お前がゆったり登場したからちょっとギャップが」
「ああ、あの子なんかいつもギリギリなんですよね。悩みすぎなんですよ」

いくら彼氏に可愛い所見せたいっていってもチコクして走るんじゃ意味ありませんよね。と
笑われて、当の『彼氏』である堂上は言葉に詰まった。

「さて、ささっと見て回りましょうか。どういうのがいいとかありますか?」
「いや、それがさっぱりでな。すまんアドバイスを頼めるか?」
「そんな事だと思ってました。サイズと笠原の好みはリサーチしてきたんで
 まあ、後は堂上教官よりずっと長い時間を一緒に過ごしてる私が
 あの子に似合いそうなデザインをご提案して差し上げようかと思いますが?」

そういわれて、堂上は頼むと頭を下げた。
やはり柴崎に頼んでよかったと安堵する。

柴崎は店も既にリサーチ済みだったようで、いくつかの店の情報を堂上に説明し
一番人気が高かったという店に堂上を案内した。

「雑誌とか結婚・婚約してるコから情報収集してみましたが、ココのお店が結構
 人気ありましたね。この近辺では。ですけど」
「そうなのか。ちなみに・・値段とかはどんなもんだ?」
「堂上教官のご予算なら問題ない程度だと思いますけど、どのくらいで考えてるんですか?」

あけすけな質問とは思ったが、頼んでいる以上は言わない訳にはいかない。
堂上も結婚済みの先輩隊員から聞かされていた金額の平均と良さそうなのがあれば
もう少し考えるつもりだと告げた。

柴崎は満足した様でそれなら問題ないですよと頷いた。

女性側としても納得できる金額の様なので堂上は安堵する。
流石に渋い顔をされては、普通はどのくらいのものを贈るものかという事まで
柴崎に聞かなければならず、男として情けない。

スタスタと店に入っていく柴崎を追う様に店に入ると
カウンターの中の店員が丁寧に挨拶をした。

「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」

柔らかな物腰で、ショーケースの中を示す。
初めての経験に堂上が動揺していると、柴崎は堂上の背中をぐいっと押すようにして
ケースの前に連れて行った。

「婚約指輪を探しています」
と柴崎が店員に告げると、どうやら柴崎と堂上が結婚すると思った様で
店員は丁寧おめでとうございますと頭を下げた。

堂上がどう言ったものかと思案していると、柴崎は大丈夫と言う様に頷く。

「今日はこの方が私の友人と婚約するという事で、指輪選びのお手伝いなんです」

とスマートに店員の誤解を解く。
自分よりも5つも年下であるとは思えない話術と物腰に堂上は正直感嘆した。

店員もそれは失礼致しましたと微笑み、ショーケースの中をさして
どの様なタイプをご希望ですか?と聞き返してきた。


「堂上教官。いつまでも固まっていないで商品見てください。どうですか?」
「ああ。そうだな・・シンプルなのがいいのか?」
「そうですね。婚約指輪でシンプルといえばダイヤの立爪が一般的です」
と店員がいくつか立爪タイプの指輪をケース上のトレーに載せる。

柴崎はじっとショーケースを眺めた後、いくつかの指輪を選んで
それもトレーに出してもらった。

少しじっくり検討してもいいですか?と柴崎が尋ねると
イスのある席に案内されて、目の前のテーブルにトレーを置いてくれた。

「色々あるもんだな・・。正直良くわからん」
「そうですね、笠原ってアクセサリーしないから。
 アレでも結構可愛いのがすきなんですよ。自分には似合わない!って
 絶対つけようとしないんですけど、雑誌とかで可愛いアクセサリー見てることありますから」


堂上は郁がアクセサリーをつけているのを殆ど見たことがない事に思い至った。
たまにショーケースを見ていることがあっても買った事もない。
買ってやろうかといっても要らないの一点張りだった。

「知らなかったな・・。すまん、柴崎アドバイスいいか?」
「オーソドックスなのは立爪ですけど、あのコの場合はもう少し可愛らしいのでも
 いいかもしれませんよ?立爪は立爪の価値がありますけど、使いにくいですから」
「そういうもんか」
「あんまり大粒でなくても質のいい石を使ってるヤツがお勧めですね。
 ざっと見た感じだと、これと、これと、これなんかいいんじゃないかと
 普段使いも出来そうだし。ちゃんとした場所につけていっても見劣りしないし」

いくつか並べられた指輪から三つほどをよけて堂上の前にトレーを移動した。

柴崎が選んだ指輪はリングの部分がまっすぐ輪になっているタイプではなく
石の上下にリングの端が来ているようなタイプが二つとまっすぐな輪に
なっているタイプの指輪が一つ。

堂上はまずまっすぐな輪になっているタイプの指輪を手にとった。
真ん中にダイヤがあり、その両端にピンク色の小さな石が二つ。
そしてピンクの石の片側に天使の羽らしき細工が片方だけ。

「これは・・天使の羽か何かか?」
「片方の翼だけなのは、もう片方の翼は相手だからって事みたいですよ。
 ロマンチックなあのコのすきそうな感じですよね」

「こっちのは嵌めた時にスッキリしてあの子の指に映えると思います」

と石の上下にリングの端が来ているタイプの指輪を手にとって堂上に見せる。

堂上は三つを見比べながら郁の手を思い浮かべた。


ぼんやりとしたイメージだが、一番似合うと思う指輪を手にとって柴崎に見せる。

柴崎は笑って頷いた。


結局、店はその一店しか見なかった。

柴崎のセレクトなので間違いはないと思うが
もしも郁が気に入らなければもう一つ買ってやるつもりで思い切って購入した。

柴崎はリサーチ済みの郁のリングサイズを告げ、サイズの直しに
急いでも五日はかかると言われ、代金を前払いして店を出た。

店を出てから堂上は大きくため息をついた。
あまりにも慣れない空間過ぎて肩に力が入っていたようだ。


「今日はすまなかった。助かった」
「成功報酬付ですからお礼は結構ですよ」

それじゃあ任務が終了したところで、あたしはこの後予定がありますんでと
柴崎は手をふってその場を去った。

堂上は、その後姿が小さくなるまで見送った。
****************************************************************************

堂上と、プライベートでの会話がなくなって1ヶ月は経過していた。
小牧から笠原さんがすねていたいなら堂上はいくらでも待つよと聞かされて
それでも、これ以上すれ違っていればこのまま自然消滅するという事も
充分有り得そうな気がしていた。


気がついたら、堂上に新しい相手が出来ていて、郁とは別れたつもりだった。
といわれるようなことがあったらと思うと心が締め付けられる。

どうしようと思いながらも、恥ずかしさは日を追うごとに増え
キッカケが見出せなかった。


明日、公休日だという夜に堂上から一本のメールが入った。

『明日、少しでもいいから時間をもらえないか?』

郁は二つ返事でメールを返した。

『何時でも大丈夫です』

その返信もすぐに送信されてくる。

『じゃあ10時に駅で』

郁は了解の旨を返信して、ホッと息をついた。

コレで仲直りできる。

明日会ったら、この間の事は忘れてくださいって言おう。
郁は久々に穏やかな気持ちで目を閉じた。



****


今日、業後に急いで指輪取りに行った。
サイズは合わなければ直せるとの事だったので必要であれば
またお願いしますと店員に告げて、商品を受け取った。


急いで郁にメールを送った。
断られるかもしれないと思ったが、すぐに了解の返信が来て安堵した。


もしかしたら、郁は自分に愛想を尽かして別れを考え始めている可能性もあると
気が気ではなかった。

明日、郁がどんな返事をするかと思うととても眠る気になれず
缶ビールを呷った。


机の上に置かれた小さな箱の中にはビロードのケース。

郁のために生まれて初めて選んだ指輪だ。

喜んでくれるだろうか・・・・・・。


堂上は、目を瞑り明日郁に伝える言葉を今度は間違えないように
慎重に考え、何度も何度も心の中で復唱した。



***********************************************************************

郁との仲直りデートの日がやってきた。

堂上は約束10分前に待ち合わせ場所に到着し
今日の目的地までの切符を二人分購入した。

今日の目的地は二人で初めて行った喫茶店だ。

約束を15分ほど過ぎたところで郁の姿が見えた。
いつもより少し可愛らしさを押さえた服装なのは
久しぶりのデートだからなのだろうか。

お待たせしましたと言われて大して待っていないと応える。

「今日の行き先は俺がきめた、いいか?」

そういうと、郁は面食らったような顔をした後神妙に頷いた。


手を繋いで改札に向かい電車に乗った。
久しぶりの郁の柔らかな手の感触にドキリとする。

ただ、会話はあまり弾まないまま目的地へと到着した。

郁は思いもかけなかったのか驚いた様子で立ち止まった。

ふと見ると、郁が今日もあの日と同じコートをきていたので
あの日と同じコートだなと笑うと郁は照れたように俯いた。


店に入りチラリとあの時の席を探ると、都合のいい事に空席だった。

店員が別の席に案内しようとしたので、あの席でもいいですか?と尋ねると
店員は笑顔で指定した席に案内してくれた。


郁も思い出しているのかチラチラと堂上の様子を伺っている。


食事と食後のカモミールティのケーキセットを頼む。

メニューは違ったが同じカモミールティだ。


何気ないやり取りをしながら、食事を口に運ぶ。

しかし、この後のことを考えると味などしないに等しかった。

堂上は努めて平静に見えるように郁に話しかけた。


食事が終わり、ケーキとカモミールティが運ばれてきた。

2杯目のお茶に取り掛かったところで、堂上から口を開いた。

「この前はすまなかった。言い方を間違えた」

そういうと、郁は真っ赤になりながら、もうその話はいいですから!と
慌てて話を折りたたんだ。

しかしそう簡単に折りたたまれてはこちらの話が切り出せない。

「いいから、聞いてくれ」
「いや!本当に!もう解ったんでいいんです!」
「あの時、言いかけた言葉があったんだ」
「言いかけた・・言葉ですか?」

郁はこれ以上あのときのことは言われたくないという目線のまま
神妙にこちらを見つめている。

「お前と俺には5歳の年の差がある。お前くらいの年代の若いカップルが
 ささやかな同棲部屋を借りる行事は俺も知ってる。
 だが、俺の年代でそういう事をしているカップルはいない。知ってたか?」

そう問われて郁は首を傾げた。
確かに・・少し先輩になってくるとそういうことをしていると言う話を聞かない。

「つまり、同棲よりもっと現実的な未来に進む事を考える様になるからだ」
「現実的な未来・・・ですか?」

堂上は一つ大きく息を吸い込むとポケットに大事に忍ばせてきた小箱を郁の前に置いた。

その箱に郁の視線が集中する。
そして箱と堂上を交互に見比べる。

「開けてみろ。言いそびれてた俺の気持ちだ」

郁が震える手でリボンを解き箱をあける。

中から現れたビロードの小箱の蓋をゆっくりと開けてそのまま固まった。


堂上はゴクリと息を飲んだ。

「教官・・これ」
「受け取って・・・くれるか?」
「あたしで・・いいんですか?」
「俺はお前がいい。ずっといつかは言うつもりで時期を待ってた」

郁が震える指先で指輪取り出す。

堂上は郁のを見つめて、何度も何度も反芻してきた言葉を告げた。

「郁、俺と結婚してくれないか。お前と一生同じ道を歩いて同じ風景を最後まで見たい」

郁は驚いたように瞳を見開いた後、真っ赤な顔で笑って頷いた。

はじめて見る様な綺麗な笑顔だった。


「あたしも、堂上教官がいいです。あたしと一生一緒にいてください
 あたしも教官と同じ風景を最後まで見たいです」


堂上は不覚にも瞳が潤むのを感じた。

傍からみたらどれだけ滑稽に見えるか解らないが
今この瞬間を永遠に忘れないとさえ思えた。


堂上は郁の手から指輪と取ると、左手を差し出し郁に左手を乗せるよう促した。

震える郁の左手を取り、ゆっくりと薬指に指輪を滑らせた。


それはぼんやりと想像したよりもずっと郁に映えた。


郁は恥ずかしそうに何度も指輪を見る。
小さな子供が宝物を見つめる様に手を光にかざして
その輝き楽しみながら嬉しそうに笑う。

その笑顔に堂上も優しく微笑んだ。


ふんわりと漂うカモミールティーの香りの向こうに浮かぶ郁の笑顔。

永遠にこの笑顔を護りたい。

堂上はそれを誓うように強く強く郁の左手を握った。








というわけで、いくつかのリクエストが盛り込まれている作品でした。

王道プロポーズ話と木島事件がなかったらとケンカからプロポーズまでの
堂上の想い。の混ぜ混ぜです。

相当ウソばっかりですが、息抜き程度に読み流してください(笑)

リクを下さった方に捧げます。

郁ちゃんの笑顔にカンパイ!ポチッ!


07:16 図書館SS(堂郁)

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